電子カルテ連携とは?メリットやシステムの種類、注意点も詳しく解説!

2024.07.31

近年、徐々に電子カルテが普及しており、規模の大きい病院を中心に一般病院やクリニックでも電子カルテを導入する施設が増えてきました。すでに電子カルテを導入済みの人は、電子カルテを他のシステムと連携し、効率化を図りたいと考えていることでしょう。

この記事では、電子カルテ連携についてシステム内容や注意点まで詳しく解説します。電子カルテ連携について詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。

電子カルテ連携とは

電子カルテ連携とは、電子カルテと医療システム(会計システムや予約管理システム)と連携させることをいいます。電子カルテの普及率を見てみると、2020年に厚生労働省の発表したデータでは、一般病院で57.2%、一般診療所で49.9%と約半数以上の医療機関で電子カルテを導入していることになります。さらに病床規模別に見てみると、400床以上の大病院の普及率が91.2%を占めており、病院規模が大きいほど電子カルテの普及率が高いことが伺えます。

電子カルテの普及率の上昇に伴い、これまで紙ベースで管理されていたものが、1つにまとめられるようになったといえます。

電子カルテ連携のメリット

電子カルテ連携を行うことで、さまざまなメリットを享受できるため、電子カルテを使っている場合は、電子カルテと連携しておくことをおすすめします。ここでは、電子カルテ連携によるメリットを3つ紹介します。

人件費や紙代のコスト削減につながる

電子カルテ連携を行うことにより、人件費や紙代のコスト削減につながります。これまで紙カルテに書いていた内容をパソコン1台に集約できるので、紙代の節約となり、余った費用をほかに当てられるでしょう。また、紙カルテを保管していたスペースも不必要となるため、医療機器の設置スペースなど別の用途に活用できるでしょう。

必要なデータがあれば、検索するだけですぐに探し出せるので、時間の節約にもなります。紙カルテから情報を探す手間が省けるので、その分医療スタッフは他の仕事に集中でき、長い目で見れば人件費削減へとつながるでしょう。

ヒューマンエラーを未然に防止できる

電子カルテ連携は、記録漏れや誤記の防止につながります。従来は、医療事務が医師の書いたカルテを見ながら患者情報を転記しており、医師の文字が読めないことによる転記ミスや、転記箇所を間違えるというヒューマンエラーが起こりやすくなっていました。電子カルテ連携を行えば、転記の必要がなくなるため、算定漏れや入力ミスなど転記によるミスを防げるでしょう。

患者の満足度向上につながる

電子カルテと連携することで、すべての情報が集約されます。これまでは、必要な情報を集めて診療情報を手動で入力する手間が発生し、患者に診療や会計を待たせていた問題がありました。電子カルテ連携を行えば、患者の待ち時間の短縮や、院内の混雑の緩和につながります。また、医療スタッフ側にも余裕が生まれるため、患者に余裕を持って対応できるようになるでしょう。

電子カルテ連携の種類

電子カルテ連携ができるシステムには、いくつかの種類があります。電子カルテと自院で取り入れているシステムが連携できることがわかれば、スムーズに業務効率化を実現できるでしょう。ここでは、電子カルテと連携できるシステムと、連携するメリットを紹介します。

予約管理・問診システム

予約管理システムとは、患者がWeb予約をした時に患者情報をカルテに反映させるものです。予約だけでなく、キャンセル時の予約取り消し情報も反映できます。これまでは、キャンセル時に事務員が手動で情報を削除しなければなりませんでした。

予約管理を電子カルテと連携して行えば、手動で入力する手間が省けます。問診システムにおいては、住所や既往歴、主訴など記入する内容が多く、転記ミスが起こったり入力に時間がかかったりと課題点が多くありました。予約管理と問診をすべて電子カルテと連携することで、入力ミスを防げるほか、入力時間を省けるため他の業務に注力できます。

検査システム

検査システムと電子カルテを連携することで、一般検査・細菌検査・病理・細胞診検査などの検査データをすぐにパソコンからチェックできるようになります。結果として、時間短縮につながるでしょう。

また、検査依頼を容易に行えるようになるため、検体ラベルの発行が効率化されます。分析機能を備えたシステムと連携すれば、検査結果にて前回の検査値との比較・分析を安易に行えるでしょう。ただし、検査を外注している場合は、外注先も同じシステムを利用する必要があるので、打ち合わせが必要となります。

PACS

PACSとは、一般撮影・CT・MRIなどの画像データを管理するシステムのことです。診療時に必要な医療データが多いほど、検査結果から探し出したり、画像を紙で印刷したりと、多くの時間を取られてしまうものです。また、電子カルテ以外に画像を映す機能を有する端末には限りがあるので、患者に画像データを見せられない問題が発生する可能性があります。

PACSと電子カルテを連携すれば、タブレットやパソコンで容易に画像データが見られるようになります。そのため、患者と画像データを共有しながら治療方針を立てることができ、患者からの信頼も高まるでしょう。

薬剤管理システム

薬剤管理システムとは、医薬品や在庫数などの情報を収集できるシステムのことです。これまでは、医薬品の在庫状況を管理して発注する必要があり、看護師にとって大きな業務負担となっていました。また、医薬品の情報についても担当のMRを介して行わなければ、情報が得られない手間も生じていました。

電子カルテと連携することで、在庫状況をすぐに把握できるため、適切な量の発注が可能となります。また、薬剤情報も収集できるので、薬剤の変更も容易にできるでしょう。ただし、オンプレミス型の電子カルテの場合は、インターネット接続制限が多いといわれており、薬剤管理システムとの連携ができない場合があります。

透析システム

透析システムとは、透析に関わるデータと患者の診療に関するデータをまとめて管理できるシステムのことです。他システムとの情報連携が簡単に行える点が最大の特徴といえます。また、予約の時点で透析処置に関する情報(患者の体重や血圧、処置内容、注射、薬剤など)を収集できるため、過去の状況の把握も容易にできるでしょう。

また、クリニック間で患者の透析に関する情報を引き継ぐことも可能なので、患者がクリニックを変えた時でも引き継ぎに必要な情報が容易に収集できます。

バイタル測定システム

バイタル測定システムとは、バイタル情報を自動的に反映させられるシステムのことです。バイタル測定機器と電子カルテを連携すれば、バイタル測定で得た情報を入力せずとも電子カルテに反映されます。手動での入力の手間が省かれ、業務の短縮につながります。そのため、一般健診や企業健診など健康診断を行っている医療機関にとって、バイタル測定システムとの連携は非常に有効な手段といえるでしょう。

また、バイタル測定記録の誤入力や未入力の予防にもつながります。通信機器のついたバイタル測定機器は、一般的なバイタル測定機器よりも値段が高い傾向にあり、初期費用はかかるものの、その分の業務を効率化できて人件費を削減できる点が特徴です。

会計・決済システム

会計・決済システムとは、会計関係に関するシステムのことです。会計・決済システムを電子カルテと連携することで、会計が容易となり、受付業務の負担を軽減できます。また、クレジット端末での会計が可能になることで、小銭の補充業務もなくなります。会計・決済システムを導入すれば、非接触で会計ができるため、患者は安心できるでしょう。

電子カルテと連携するには、レセプトコンピュータ(診療報酬明細書を作成するためのコンピュータ)が必要となります。レセプトコンピュータがない、または古いタイプのコンピュータで連携できるソフトが入っていない場合は、レセプトコンピュータの準備が必要となるでしょう。

リハビリシステム

リハビリシステムとは、リハビリスタッフとの情報連携ができるシステムのことです。リハビリの記録や実施日などを共有できます。医師のなかには、リハビリのオーダーの内容や継続判断の共有に負担を感じている人もいるでしょう。

電子カルテと連携してリハビリシステムを利用すれば、リハビリに関するすべての情報を安易に共有できるため、オーダー出しがスムーズになります。また、リハビリのスタッフ側としても、患者状況を随時把握できるので、メニューの再考に役立てられるでしょう。

輸血管理システム

輸血管理システムとは、輸血が必要な患者の情報や実際に行った輸血の情報などを管理できるシステムのことです。輸血に関するさまざまな情報管理をコンピュータで一括管理することで、ヒューマンエラーを防ぎ、安全に輸血できます。大病院で多く用いられるシステムなので、一般診療所で扱うケースは少ないとされています。

看護システム

看護システムとは、看護師の記録やケア計画など看護業務に関わる情報を管理できるシステムのことです。看護記録の入力や、看護報告書の作成が容易にできるようになるため、業務の短縮につながります。また、入力データをすぐに医師と共有できる点も特徴です。

処置室・検査室から診察室が遠いクリニックや、看護業務を「処置をする看護師」と「診察室に入る看護師」で分けているクリニックにおすすめです。訪問看護を展開しているクリニックでも訪問先の記録がすぐに反映されるため、医師の指示出しや、定期的な在宅療養者の診療にも役立てられるでしょう。

調剤システム

調剤システムとは、診療時に医師が発行した処方箋のデータがそのまま薬剤師に送られるシステムのことです。院内薬局を採用している病院であれば、すぐに指示した薬を調剤し、届けることが可能となります。薬剤相互作用チェック機能も備えているため、投薬過誤の防止にもなるでしょう。

近年、クリニックでも薬剤師を採用し、院内薬局で薬剤を提供しているところがありますが、調剤システムの導入は、中~大規模病院に多い印象です。そのため、クリニックで調剤システムを導入しているところは少ないとされています。

手術支援システム

手術支援システムとは、手術に関する情報を一括管理するシステムのことです。手術の術式をはじめ、手術時間や出血量、手術記録、麻酔台帳、手術伝票などが記録されています。

手術支援システムを電子カルテと連携すれば、他部門からでも記録を閲覧できるようになります。手術支援システムは、手術の機能を有する病院が主に使っているものです。そのため、小規模病院やクリニックでの導入事例は少ないようです。

電子カルテ連携の注意点

電子カルテは、すべてのシステムと連携できるとは限りません。システムとの互換性が必要なため、必ず電子カルテとの互換性を確認しておきましょう。また、電子カルテと連携する前に、患者の個人情報を守るためのセキュリティ対策を行っておくことが重要です。膨大な量のデータがインターネット回線を通じて届けられるため、セキュリティが脆弱だと個人情報が漏洩する恐れがあります。強固なセキュリティ対策を行ってから、電子カルテ連携を行いましょう。

システムと互換性のある端末(タブレット等)を購入したり、セキュリティ対策を導入したりすることで費用の負担は大きくなります。費用を抑えるため、電子カルテのサポートセンターに必要最低限の用意を確認しながら、進めていくことをおすすめします。

まとめ

電子カルテ連携を行うことで、医療スタッフの業務量の削減や、業務負担の改善へとつながります。また、これまで紙媒体の利用で発生していたコストも大幅に削減できる点もメリットです。しかし、電子カルテと連携するには、機器の導入やセキュリティ強化などで費用を負担する必要があります。電子カルテと連携可能なシステムにはさまざまな種類がありますが、予算と照らし合わせながら自院とマッチしたシステムを選び、電子カルテとの連携で効率化を図りましょう。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

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