オンライン診療の導入を検討するにあたり「自由診療の扱いはどうなるのか」と気になることがあるでしょう。自由診療は医療機関にとって柔軟性が高く、自由な料金設定が可能ですが、オンライン診療となると少し事情が変わります。自由診療でオンライン診療を提供するためには、いくつかの条件を満たす必要があるためです。
本記事では、自由診療でオンライン診療を提供するための条件・メリット・成功戦略について詳しく解説します。
自由診療でもオンライン診療を初診から提供可能
冒頭でも述べた通り、いくつかの条件を満たすことで、自由診療でもオンライン診療を初診から提供可能です。
2018年の診療報酬改定により「オンライン診療料」が新設され、保険適用外の疾患でもオンライン診療が可能となりました。現在は「オンライン診療料」が廃止され、新たに「情報通信機器を用いた初診に係る評価」が新設されるとともに、オンライン診療の初診も認められています。
初診の診療報酬は「251点」となります。ただし、オンライン診療の初診は原則として「かかりつけ医」が実施しなければなりません。保険診療・自由診療問わず、かかりつけ医でない医師が初診でオンライン診療を実施する場合には、いくつかの条件を満たす必要があります。
自由診療でオンライン診療を提供するには?
自由診療でオンライン診療を提供するためには、次の2つの条件を満たす必要があります。
- オンライン診療研修を受講する
- 地方厚生局へ届出を提出する
備えとして、各条件について事前に押さえておきましょう。
オンライン診療研修を受講する
自由診療・保険診療問わず、オンライン診療を実施する医師は、厚生労働省が実施する「オンライン診療研修」を受講しなければなりません。オンライン診療研修とは、オンライン診療の指針や機器の使用、情報セキュリティなどの知識習得を目的とした研修のことです。
研修の流れは次の通りです。
- 動画講義(e-learning形式)を視聴
- 受講後に演習問題を解く
- 一定の正答率で合格・修了証の発行
オンライン診療研修は、厚生労働省の「オンライン診療研修お申込み」から申し込めます。研修の具体的な内容については、「オンライン診療研修とは?必須の講習内容や申し込みの流れを紹介」の記事を参考にしてください。
地方厚生局へ届出を提出する
2023年8月以降にオンライン診療を実施する場合は、「情報通信機器を用いた診療」に必要な施設基準をクリアし、地方厚生局へ届出を提出しなければなりません。
「情報通信機器を用いた診療」とは、オンライン診療のことを指します。満たすべき施設基準は、次の2つです。
- オンライン診療を提供するための十分な体制が整備されていること
- オンライン指針に沿って診療できる体制を整える医療機関であること
施設基準の詳細については、厚生労働省の「情報通信機器を用いた診療(P16)」を参考にしてください。
オンライン診療で自由診療を提供するメリット
オンライン診療で自由診療を提供する具体的なメリットは、次の3つです。
- 遠方の患者に自由診療を提供できる
- 患者・医療機関の負担を軽減できる
- 柔軟な治療プランを提供できる
遠方の患者に自由診療を提供できる
オンラインで自由診療を提供できれば、対応エリアを他の都道府県まで拡大できます。例えば、オンライン完結型の禁煙外来であれば、喫煙に関する悩みを抱える全国の患者に対応できます。オンライン完結型であれば対面診療を要さないため、医療機関・患者双方が負担にならない形で診療が可能です。
対応エリアの拡大により、商圏が広がれば潜在的な患者数が増えるため、結果的に売上の増加が期待できます。
患者・医療機関の負担を軽減できる
オンライン診療は患者と医療機関、両方の負担を大きく軽減するメリットがあります。患者は自宅にいながら診察が受けられるため、通院の負担がかかりません。加えて、事前予約制であることから院内での待ち時間が発生せず、時間的な負担も大幅に軽減されます。
一方、医療機関は事前問診の回答を活用することで、余裕をもって診察の準備ができます。「患者を待たせている」という焦りもないため、精神的な負担も軽減されるでしょう。診療の受診から薬の受け取りまでスムーズに案内できることから、結果的に患者満足度の向上につながります。
柔軟な治療プランを提供できる
オンライン診療を導入することで、患者のライフスタイルや悩みに合わせて、診療計画を立てられるようになります。例えば、AGA治療の場合、初診と血液検査を対面で行い、経過観察や薬の処方はオンラインで行うなどの診療計画を立てられます。
従来は対面診療のみで、遠隔地に住む患者にとっては再診が負担になることが多くありました。しかし、オンライン診療を導入すれば、気軽に再診を受けやすくなるため、定期的に患者の状態を確認できるようになり、必要に応じて治療プランを調整できるようになります。
オンライン自由診療を成功させる周知戦略
オンライン自由診療を成功させるためには、周知戦略が欠かせません。次の3つの周知戦略を参考に、クリニックの知名度を高めていきましょう。
- デジタルマーケティング戦略
- 地域密着型のオフラインプロモーション
- 患者の声を活用した口コミマーケティング
デジタルマーケティング戦略
オンライン診療の集患対策として、オンラインを活用したデジタルマーケティング戦略は欠かせません。オンライン診療を利用する方は、インターネットを日常的に利用している層が多く、オンライン診療との親和性が高いためです。
デジタルマーケティングの具体例としては、次の方法が挙げられます。
- SNSマーケティング(SNS集客)
- コンテンツマーケティング(検索エンジン集客)
- Web広告(検索連動型広告など)の出稿
医療機関の広報担当がマーケティング戦略を実行する方法もありますが、代行会社に依頼する方法もあります。いずれにしても、オンライン診療とデジタルマーケティングは非常に親和性が高いため、オンライン診療の成功に欠かせない要素といえます。
地域密着型のオフラインプロモーション
オンライン診療を周知するために、地域密着型のプロモーションに注力するのも戦略の一つです。地域住民に直接アプローチすることで、近隣の医療機関との差別化を図れたり、対応エリアの幅広い層へ認知を広げたりできます。
具体的には、ポスティング(クーポン付き)や地域イベントへの参加などで、自院のオンライン診療をアピールする方法があります。自由診療の内容やオンライン診療の利便性を訴求すれば、興味を惹きつけることができ、受診数の向上につながるでしょう。
他にも、初回の相談をオンラインで行い、その後の検査や治療をオフラインで実施するという、オフラインとオンラインを組み合わせた手法もあります。地域をターゲットとした周知戦略も、積極的に実践していきましょう。
患者の声を活用した口コミマーケティング
実際に医院を利用した患者の口コミを軸に、周知戦略を実践するのも方法の一つです。患者の実際の声は信頼性が高く、医院が自発的にアピールするよりも、他の患者への影響力が大きい傾向があります。
とはいえ、患者が進んでアンケートに回答したり口コミを投稿したりすることは少ないため、口コミを集めやすいように工夫する必要があります。例えば、アンケートの回答者や口コミを投稿してくれた方を対象に、次回利用できる割引クーポンを配布するなどです。
収集した口コミは、SNSや自院のホームページ、ポスティングのチラシに掲載するなど、さまざまな活用方法があります。特にインターネットの口コミ効果は非常に大きいため、周知戦略として積極的に活用していきましょう。
まとめ
自由診療は自由度が高い分、医療サービスの内容や価格、周知戦略などさまざまな場面で悩まされることがあります。これらの負担を軽減するためにも、ツールやシステムに頼ってみるのも一つの手です。
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この記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属