オンライン診療の普及率から考えられる課題とは?課題への対策法も紹介

オンライン診療は医療機関・患者双方に多くの利点をもたらすことから、導入に踏み切る医療機関も少なくありません。しかし、普及が進む一方で、いくつか課題が浮き彫りになっているのも事実です。

本記事では、オンライン診療の普及率から見える課題と対策法を紹介します。先回りして対策を講じることで、患者に安心して利用してもらえる体制を整えられます。すでに課題を感じている方もぜひ参考にしてください。

データで分かるオンライン診療の普及率

新型コロナウイルスにより対面診療が難しくなったことで、オンライン診療への需要が急速に高まりました。加えて、2020年4月10日に厚生労働省が通知したコロナ規制緩和以降、オンライン診療に対応する医療機関数は緩やかに増加しています。

厚生労働省が2021年(令和3年)に実施した調査によると、オンライン診療を実施できるとして登録した医療機関数は、2021年4月時点で全体の15.2%を占めています。2020年4月時点ではわずか9.7%に過ぎなかったため、1年間で約1.5倍と大幅に増加しました。

オンライン診療へ対する需要を考えると、普及の動きは一時的なものではなく、今後も伸び続けると予測されます。

オンライン診療導入における7つの課題

オンライン診療を導入するにあたっては、現状を明確に把握しておくことが大切です。ここでは、オンライン診療導入における7つの課題を解説します。

対面診療に比較して診療報酬点数が低い

オンライン診療は、対面診療と比べて診療報酬が低いという現状があります。令和4年の診療報酬改定により診療報酬の見直しが実施されましたが、それでもなお対面診療よりも低い水準となっています。具体的には次の通りです。

※2024年8月現在

初診料再診料外来診療料
対面診療291点75点76点
オンライン診療253点75点75点

診療報酬に差がついている理由としては、「オンライン診療は触診・打診・聴診などが実施できず、一定の差を設けるのが妥当である」との考えからです。オンライン診療の診療報酬は、対面診療に比べて低いことはあらかじめ押さえておきましょう。

対面診療より十分な情報が得られない

オンライン診療はその特性上、触診・打診・聴診などが実施できず、対面診療と比較して得られる情報が少ないという課題があります。医師は問診や視診だけに頼ることとなるため、患者の状態を正確に把握することは難しいでしょう。

たとえば、皮膚の状態や呼吸音など、対面で確認しなければ分からない症状に対しては、オンライン診療だけでは限界があります。オンライン診療を実施する際は、問診票を詳細に記入してもらったり、患者に積極的な協力を要請したりなどの工夫が必要です。

医療従事者のITリテラシーを高める必要がある

オンライン診療はIT機器を用いた診療であるため、医師はもちろん、看護師や事務スタッフも含めてITリテラシーを高める必要があります。オンライン診療を円滑に実施するためには、技術的なトラブルに対応する能力が求められるからです。

たとえば、ビデオ通話が途切れたり、患者が接続に関する問題を抱えたりした場合、迅速に対応できるスタッフがいないと診療が中断してしまいます。不測の事態に迅速に対応できないと、患者に不要なストレスを与えてしまいかねません。

患者が機器の扱いに不慣れな場合がある

オンライン診療でIT機器を用いるのは、医師やスタッフのみではありません。患者も手元のデバイスを操作して、診療に参加する必要があります。そのため、高齢者やITに不慣れな患者にとって、デバイスの操作は大きなハードルとなります。

たとえば、ビデオ通話の設定やアプリのダウンロード、インターネット接続の確保など、操作に慣れていないと患者は戸惑ってしまうかもしれません。オンライン診療を実施する際は、事前に操作マニュアルを作成して患者に渡したり、患者が使いやすいオンラインシステムを導入したりなどの工夫が必要です。

オンライン診療に不向きな疾患がある

オンライン診療は画面越しでのやり取りという特性上、不向きな症状・症例があります。具体的な症状としては、次の通りです。

呼吸器系の症状
循環器系の症状
消化器系の症状
腎尿路系の症状 など

参考:日本医師会連合 オンライン診療の初診に関する提⾔

自院でオンライン診療を実施する際は、症状・疾患に対して適切な対応ができるか慎重に判断する必要があります。不向きな症状・疾患に対しては、オンライン診療のみで完結するのではなく、対面診療と組み合わせて、診断の精度を高めるなどの工夫が必要です。

回線不良などのトラブルのリスクがある

オンライン診療は、インターネット回線に依存するため、通信不良によるトラブルは避けられません。たとえば、診療中に突然ビデオ通話が途切れたり、音声が聞き取りにくくなったりなどのトラブルが発生するリスクがあります。

また、患者の住む地域や使用する通信機器によって、安定した接続が難しくなるケースも考えられるでしょう。医療機関側が万全の体制を整えていても、患者側で不測の事態に陥る可能性があるため、回線不良発生時の対応を事前に検討することも大切です。

医療情報が漏洩する可能性がある

オンライン診療はインターネットを介した診療となるため、医療情報が漏洩するリスクも考えられます。たとえば、悪意のある第三者によって不正にアクセスされて、患者の個人情報や診療内容が流出する可能性も否めません。

特に近年は、サイバー攻撃やデータの盗聴といったセキュリティリスクが高まっています。医療情報の漏洩は、患者のプライバシーを侵害するだけでなく、医療機関の信頼を失墜させる原因となるものです。

したがって、オンライン診療を導入する際は、セキュリティに強いシステムを導入したり、強固なセキュリティソフトを活用したりなどの工夫が必要となります。

オンライン診療の課題への対策法

オンライン診療の課題に対して、事前に対策を講じることが大切です。ここでは、オンライン診療の課題への対策法を5つ紹介します。

患者情報の収集手段を工夫する

オンライン診療は対面診療よりも得られる情報に限りがあるため、対策として情報収集の手段を工夫する必要があります。たとえば、事前問診の質問項目を充実させて、より具体的な情報を収集できるようにするなどです。

また、Web問診の項目に「患部の写真や動画を保存しておいてください」と呼びかけて、写真や動画を診療前に提出してもらうのも有効です。

そのほか、オンライン診療時にはカメラの向きや照明の強さなどを具体的にレクチャーして、より詳細に視診できるよう工夫する必要があります。診療計画を説明する際に、患者の協力が必要である旨を伝えておくことも方法のひとつです。

使いやすいオンライン診療システムを導入する

オンライン診療システムの使い勝手に問題があると、医療機関・患者双方に大きな負担となります。ITに不慣れな患者も少なくないため、使いやすいオンライン診療システムを導入して、事前に対策を打っておきましょう。

「march」は、使いやすさを重視したシンプルなUIで、誰でも簡単に操作できるオンライン診療システムです。患者はもちろん、医療機関の方もストレスなく操作できます。

オンライン診療導入にあたり、医療機関にとってネックとなるのが医師・スタッフの教育コストではないでしょうか。使いやすいオンライン診療システムを導入すれば、短時間で操作を習得できて、教育コストの削減になります。ITリテラシーの向上やセキュリティ対策などにリソースを割く余裕も生まれるでしょう。

回線不良に強い環境を構築する

オンライン診療は、いつ回線不良に陥るか分からないリスクがあるため、あらかじめ回線不良に強い環境を構築する必要があります。たとえば、高速かつ安定感のあるルーターを使用するなどです。ほかにも、定期的なメンテナンスを実施したり、回線状態を監視するシステムを導入したりなどの対策も有効です。

また、医療機関側だけでなく、患者側の回線不良にも目を向けなければなりません。具体的な対策法としては、オンライン診療の前に、患者に接続テストに協力してもらうなどです。

また、万が一回線不良があった場合、どのような対応するかを事前に伝えておくと、患者の不安を軽減できます。

対面診療の補助として扱う

オンライン診療を対面診療の補助として扱えば、「十分な情報が得られない」という課題を解決できます。具体的には、初診や重要な診断の場合は対面診療を行い、フォローアップや軽度な症状の診察にはオンライン診療を行うなどです。

また、どのような場合に対面診療を優先して、どのような場合にオンライン診療を適用するかを明確に定めた、自院独自のガイドラインを作成することも大切です。ガイドラインがあれば、医師・スタッフが各状況に合わせた柔軟な対応ができるほか、医療サービスに一貫性を持たせられます。

オンライン診療を対面診療の補助として位置付ける場合は、両方の特性を活かした柔軟な診療体制を構築することが重要です。

セキュリティを強化・定期監査を実施する

オンライン診療を安全に実施するためには、人的・技術的なセキュリティ対策を徹底することが重要です。具体的には、強力なパスワードの使用や定期的な変更、アクセス権限の管理、ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入などです。

また、医師を含むスタッフ全員がセキュリティに対する理解を深めて、フィッシングメールやマルウェアに対する警戒心を高めることも欠かせません。

さらに強固なセキュリティ体制を築くため、情報セキュリティ監査を外部の専門機関に依頼することも有効です。定期的な監査を実施すれば、セキュリティ体制の現状を客観的に評価して、潜在的な脆弱性や改善点を明らかにできます。監査結果を活かして、常にセキュリティ対策を見直し、改善していくことが重要です。

まとめ

オンライン診療を導入するにあたっては、現状の課題を明確に把握したうえで、適切な対策を講じることが重要です。

「march」は、診察予約からオンライン診療・決済・処方薬の配送まで一括で行えるサービスです。直感的なUIで誰でも簡単に操作できるほか、個人情報の暗号化によりセキュリティ面も安心して利用できます。

医療DXのプロが導入から運用まで徹底的にサポートいたしますので、オンライン診療の導入を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

リンク:オンライン診療クリニックmarch clinic

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