オンライン診療のシェア率は?普及しない理由や患者満足度の実情を紹介

新型コロナウイルスの影響により、多くの医療機関がオンライン診療の導入に踏み切っています。しかしその前に、オンライン診療のシェア率が今後どのように推移していくのか、その動向を知りたいと考える人も多いでしょう。

本記事では、オンライン診療のシェア率に加えて、普及が進まない要因や医師・患者の満足度について詳しく解説します。これからオンライン診療の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

データで分かるオンライン診療の普及率

オンライン診療は実際にどのくらい普及しているのか、データから見ていきましょう。ここでは、日本の普及率と世界の普及率を紹介します。

日本のオンライン診療の普及率

日本では、2020年4月10日に厚生労働省がコロナの規制緩和をして以降、オンライン診療の導入が進んでいます。令和3年に厚生労働省が実施した調査によると、2021年4月時点で「初診からオンライン診療を実施できる」と回答した医療機関の割合は、全体の15.2%でした。

オンライン診療の普及が進んだ背景には、コロナ禍における非接触診療のニーズが高まったことが関係しています。感染症対策はもちろん、遠方の患者や通院が困難な方にとって、オンライン診療は大きな利便性をもたらしました。

しかし、全医療機関の15.2%という普及率は、依然として低い水準です。その背景には、技術的な導入コスト、対面診療の安心感を求める患者の意識、医師側の準備不足などさまざまな要因が影響していると考えられます。

世界のオンライン診療の普及率

日本の普及率が低い一方で、世界のオンライン診療市場は急速に拡大しています。モルドールインテリジェンス社の調査によると、世界のオンライン診療の市場規模は2024年に1,724億4,000万米ドルに達し、2029年までに3,302億6,000万米ドルに成長すると予測されています。

特にアメリカの成長が顕著で、2022年から2028年にかけてCAGR(年平均成長率)44.4%という驚異的な成長が予測されています。 オンライン診療は、世界的に見ても新しい医療サービスとしての地位を確立しつつあり、今後もさらなる拡大が期待できるでしょう。

日本でオンライン診療が普及しない理由

厚生労働省の調査によると、日本でもオンライン診療の実施件数は徐々に増加していますが、世界の市場拡大と比較すると、まだまだ普及率が低いのが現状です。

オンライン診療が日本で十分に普及しない要因として、以下の3つの課題が考えられます。

対面診療と比較した診療報酬の低さ

オンライン診療は対面診療と比較して診療報酬が低く、収益性の面から導入に消極的な医療機関が多いと考えられます。令和6年診療報酬改定により、オンライン診療の診療報酬点数は次のように見直されました。

初診再診
対面診療291点75点
オンライン診療253点75点

このように、対面診療とオンライン診療では、診療報酬に大きな差があります。医療機関にとってオンライン診療を導入するインセンティブが低いことが、普及を妨げていると考えられます。

導入コストの高さ

オンライン診療の導入にあたり、大きな課題の一つが導入コストの高さです。オンライン診療環境を整えるためには、専用のシステムや機器の導入が必要であり、経済的なコストがかかります。

加えて、スタッフの教育や新しいワークフローの構築も必要となり、時間的なコストも発生するため、導入時は大きな負担となるでしょう。こうした経済的・時間的なコストが、オンライン診療の導入に対する大きな障壁となっている可能性があります。

一定のリテラシーが求められる

オンライン診療を利用するには、医療機関と患者の双方に一定のITリテラシーが求められます。医療機関のスタッフは、システムの導入や運用に関する基本的なIT知識が必要です。一方、患者はデバイスの操作やアプリの利用に慣れておく必要があるでしょう。

特に高齢の患者にとっては、スマートフォンやアプリの操作に不慣れな場合が多く、分かりやすいマニュアルの作成やサポート体制の整備が必要となります。こうしたITリテラシーの必要性が、オンライン診療の導入に消極的になっている可能性があります。

オンライン診療の満足度患者【患者・医療機関別】

医師と患者は、オンライン診療のどのような点に満足しているのでしょうか。医療機関と患者の視点から、オンライン診療の満足度を紹介します。

患者の満足度

オンライン診療へ対する患者の満足度は、概ね高い傾向があります。総務省が令和2年に発表した調査によると、オンライン診療を受診した63名中54名が「大変満足」「概ね満足」と回答しています。

同様に、日本オンライン診療研究会が医師へ実施した「オンライン診療に関するアンケート集計結果」では、「オンライン診療を利用している患者の満足度は上がったと思いますか」との質問に対して、約60%が満足していると回答しています(5段階評価のうち4、5と答えた医師が61.2%)。

以上の結果から、オンライン診療を受診した患者の満足度は、比較的高いことが分かります。

医療機関の満足度

オンライン診療を実施する医療機関の満足度も概ね良好です。東京医師会が実施したアンケートでは、63.7%の医師がオンライン診療のメリットとして「互いの感染リスクを軽減できること」と挙げています。

また、厚生労働省が実施したアンケートでは、「オンライン診療を導入して診療時間が短縮され、効率性が向上しましたか」との質問に対して、168件の有効回答のうち40件が「一人当たりの診療時間が短くなり、効率が上がった」と回答しました。

オンライン診療にはまだ課題が残りますが、以上の結果から、一定の評価を得られていることが分かります。

オンライン診療を導入する前の準備

オンライン診療をスムーズに導入するためには、事前準備を済ませておくことが重要です。ここでは、導入前に行うべき準備について解説します。

オンライン診療システムの導入

オンライン診療を実施するには、専用のシステムの導入が不可欠です。一からオンライン診療に必要な環境を整えるとなると、非常に手間がかかるでしょう。

自前でオンライン診療の環境を整える場合、通信手段の確保、患者情報の管理方法の構築、セキュリティ対策の実装など、多岐にわたる準備が必要です。既存のオンライン診療システムを導入すれば、こうした準備を一度に解決でき、すぐにオンライン診療に必要な環境を整えられます。

IT機器活用のサポート体制を整える

オンライン診療はインターネットを用いるため、IT機器活用のサポート体制を整えることが重要です。具体的には、安定した回線の確保、セキュリティ対策ソフトの導入、IT機器の使用マニュアルの準備が求められます。

また、医療スタッフに対するIT機器のトレーニングも重要です。システムの基本的な使い方やトラブル発生時の対応について、定期的な研修を通して習得しておきましょう。

オンライン診療の流れを把握する

オンライン診療の準備を進めるにあたり、問診から診察終了までの流れを把握しておきましょう。事前に流れを確認することで、自院に不足している点や改善点を明確にできます。

また、ビデオ通話が途切れることなく安定して行えるか、必要な書類や検査結果を画面上で円滑に共有できるかといった技術的な準備も欠かせません。流れを把握した後は、一度その流れに沿って試験的に運用してみることをおすすめします。

まとめ

オンライン診療は技術的な課題も多く、導入するには医療機関・患者双方が負担にならない体制を整えることが大切です。

「march」は、診察予約から問診・オンライン診療・決済・処方薬の配送まで一括で行えるオンライン診療システムです。直感的に使えるUIを採用しており、医療機関・患者にとって使いやすい設計が特徴です。また、高度なセキュリティも備えているため、個人情報保護の観点からも安心して利用できます。導入から運用までDXのプロが親身にサポートしているので、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

リンク:オンライン診療クリニックmarch clinic

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