オンライン診療の導入を検討しているものの、費用がネックになっている医療機関の方も多いのではないでしょうか。初期費用やランニングコストなど、さまざまな費用がかかりますが、実は費用を抑える方法があります。
本記事では、オンライン診療の導入時にかかる費用の詳細や、費用を安くするコツを紹介します。導入プロセスにかかる費用を事前に把握すれば、より計画的かつ効率的な導入を進められるようになるでしょう。
オンライン診療は「導入費用」と「運用費用」を考慮する必要がある
オンライン診療を導入する際は、初期の導入費用だけでなく、継続的にかかる運用費用も考慮することが重要です。以下に、それぞれの費用項目をまとめました。
導入費用
- システム構築費用
- ハードウェアの導入費用
- 通信環境の整備費用
- セキュリティ対策費用
運用費用
- システムの維持・管理費用
- マーケティング活動費用
- スタッフの教育費用
導入時の初期費用と運用に必要なコストの両方を把握し、無理のない予算を立てることが大切です。
オンライン診療の導入時にかかる費用
オンライン診療の導入には、さまざまな費用が発生します。ここでは、主な費用項目について詳しく見ていきましょう。
システムの構築費用
まず、オンライン診療を提供するためには、専用の診療システムやアプリの導入が必要です。システム構築時にかかる費用は、選択するシステムの機能や規模によって異なります。予約管理や診療記録の保存、患者とのビデオ通話機能など、必要な機能を備えたものを選びましょう。
なお、システムの種類によって初期費用が大きく異なるため、複数のサービスを比較することが重要です。
ハードウェアの導入費用
オンライン診療には、PCやタブレット、カメラ、マイク、ヘッドセットなどの機器が必要です。既に使用している機器がある場合、それらを活用することで費用を抑えられます。
ただし、電子カルテと同じ端末で利用すると、情報漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクを伴うため、一般的には推奨されません。たとえば、通話中に誤って電子カルテ画面を表示してしまい、患者情報が第三者に漏洩してしまう可能性があります。
よって、患者の情報を守るためには、電子カルテと通話用端末を別々の端末で利用することが重要です。
通信環境の整備費用
オンライン診療ではビデオ通話を使用するため、遅延や接続切れが発生しないよう、十分な通信速度と安定した回線が必要です。
また、複数の端末や医療機器を同時に接続することも考慮したうえで、規模に応じた通信環境の整備が求められます。既存のインフラを活用できる場合は、コストを抑えることができますが、いずれにしても信頼性の高い通信環境が不可欠です。
セキュリティの対策費用
オンライン診療では、患者の個人情報を取り扱うため、強固なセキュリティ対策が求められます。具体的には、通信の暗号化や多要素認証、アクセスログの監視などの対策を講じる必要があります。
これらの対策には一定のコストがかかりますが、不正アクセスや情報漏洩等のトラブルを防ぎ、患者の情報を守るためには不可欠な投資です。信頼性の高いオンライン診療を実現するため、セキュリティ面での妥協は避けましょう。
オンライン診療の運営時にかかる費用
オンライン診療は導入時だけでなく、運用時にも費用がかかります。具体的な費用は以下の通りです。
費用項目 | 内容 |
システムの維持管理費用 | システム利用料(月額費用、診察ごとの手数料)、決済手数料。 |
マーケティングの活動費用 | 無料のSNS活用やリスティング広告の運用コスト。 |
スタッフの教育費用 | システム利用に必要な研修コスト。 |
それぞれの費用について詳しく解説します。
システムの維持管理費用
オンライン診療を運営する際は、システムの維持管理費用が継続的に発生します。主な費用としては、オンライン診療システムの月額利用料や、クレジットカードの決済手数料が挙げられます。
これらの費用は、医療機関が全額負担する場合もあれば、患者様に一部を負担してもらうケースもあります。具体的な費用負担の内訳は、以下の通りです。
費用項目 | 費用負担者 |
診療報酬など | 患者 |
システム利用料 | 患者またはクリニック |
決済手数料(クレジットカード等) |
なお、システム利用料や決済手数料を患者が負担する場合、「療養の給付と直接関係ないサービス等の費用」として、500〜1,000円程度の追加料金を徴収することが一般的です。
マーケティングの活動費用
オンライン診療の運営では、患者の獲得やサービスの周知を目的としたマーケティング活動が欠かせません。具体的には、リスティング広告の運用や、専門家によるコンサルティングなどが挙げられます。
一方、SNS(XやLINEなど)や無料ブログ、noteを活用すれば、比較的低コストで行うことが可能です。これらのツールを活用して、患者とのコミュニケーションを深めることで、クリニックの認知度向上や集患につながるでしょう。
どの手法を用い、どれだけの予算をかけるかは、医療機関の規模や集患目標に応じて計画を立てることが重要です。
スタッフの教育費用
オンライン診療の導入するにあたり、医師やスタッフがシステムを正確に操作できるように、定期的な教育やトレーニングが必要です。特に、厚生労働省が定めるオンライン診療に関する研修の受講は必須となっています。
研修は無料で受講できますが、実際にシステムを運用できるようになるためには、一定の時間を費やす必要があります。また、内部研修を実施し、オンライン診療の流れやシステムに精通したスタッフを育てることも大切です。必要に応じて外部講師を招くことも検討する必要があるでしょう。
このように教育には時間的コストもかかるため、あらかじめ計画を立てることが重要です。
オンライン診療に関わる費用を安くするコツ
オンライン診療に関わる費用は、工夫次第で安く抑えられます。ここでは、費用を抑えるための3つのポイントを紹介します。
一気通貫型のシステムを導入する
オンライン診療にかかる費用を抑えるためには、予約システム、診療、決済を一元管理できる一気通貫型のシステムを導入することが効果的です。
もし、オンライン診療システムや電子カルテシステム、決済システムなどを個別に導入する場合、それぞれのシステムのライセンス費用、サーバー費用、保守費用などが発生します。これらに加え、システム間の連携設定やデータ移行など、多額の初期費用が必要となるケースも少なくありません。
「march」では、診察予約から事前問診、オンライン診療、決済、処方薬の配送までワンストップで対応可能です。さらに、セキュリティ対策が施されているので、個人情報保護に関するコストも削減できます。コスト削減と業務効率化を両立できる医療システムをお探しの方は、ぜひ「march」をご検討ください。
補助金や助成金を活用する
オンライン診療の導入にあたり、補助金・助成金を活用できる場合があります。たとえば、東京都では、「オンライン医療相談・診療等環境整備補助事業」として、情報通信機器の購入に対する補助金が提供しています。
東京都の補助金制度では、PCやタブレット、カメラ、マイク、ヘッドセット、ルーターなどの初期経費を対象としており、最大で20万円が支給されます。オンライン診療の補助金に関しては以下の記事で詳しく解説しているため、初期費用を抑えるためにもぜひご一読ください。
オンライン診療の導入時に利用できる補助金とは?
既存インフラを有効活用する
既存のPCやタブレット、カメラなどの機器を有効活用すれば、設備投資を大幅に抑えられます。まず、まず、自院で既に使用している機器がオンライン診療に対応できるか確認しましょう。
ただし、既存機器を利用する場合は、セキュリティ対策に注意が必要です。電子カルテと同じ端末を使用すると、患者情報の漏洩や不正アクセスのリスクが高まる可能性があります。そのため、電子カルテと同じ端末でオンライン診療を行う場合は、セキュリティ対策を徹底し、適切な管理を行うことが重要です。
まとめ
オンライン診療の導入を検討する際は、導入費用と運用費用の内訳を把握することが大切です。そのうえで、効果的なコスト削減策を取り入れつつ、無理のない予算計画を立てましょう。
オンライン診療の導入に初期投資は必要ですが、長期的な視点で見れば、医療機関の競争力強化につながります。未来を見据えた投資として、ぜひ「march」をご検討ください。
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この記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属