電子カルテのシェアは?普及率・メーカー動向・クラウド化を解説 | 【公式】march(マーチ) | 医療機関の“成果に責任を持つ”オンライン診療・集患オペレーションSaaS

電子カルテのシェアは?普及率・メーカー動向・クラウド化を解説

2026.07.12

電子カルテのシェアは?普及率・メーカー動向・クラウド化を解説

電子カルテの導入を検討する開業医にとって、「どの製品がどれくらい使われているのか」というシェアは気になるところではないでしょうか。普及の動向や国の方針を押さえておくことで、自院に合った選択がしやすくなります。

本記事では、病院・診療所の普及率、メーカー別シェアの見方、クラウド化の流れ、2030年に向けた国の政策、シェアだけに頼らない選び方を解説します。

最短10秒、かんたん 資料ダウンロード

電子カルテの普及率

電子カルテの普及率

電子カルテのシェアを考えるうえで、まず土台となるのが全体の普及率です。病院と診療所では状況が異なり、これまでの推移にも特徴があります。最新のデータから確認しましょう。

病院・診療所の普及率

厚生労働省の医療施設調査によると、2023年(令和5年)時点の電子カルテの普及率は、一般病院で約66%、一般診療所で約55%となっています。全体としては年々上昇していますが、医療機関の規模によって差が大きいのが特徴です。

400床以上の大規模病院では9割を超える一方、200床未満の中小病院では半数に届いていません。診療所でも、規模の小さなクリニックほど導入のハードルが高い傾向が見られます。

とはいえ、初期費用を抑えやすいクラウド型の登場により、近年は中小規模の医療機関でも導入しやすい環境が整いつつあります。諸外国と比べると日本の普及はやや遅れているとされ、その差を縮めることも国の課題となっています。

普及率の推移とこれまでの背景

電子カルテは、2000年代以降、大規模病院を中心に導入が進んできました。当初は高額な初期費用やシステム構築の負担から、資金力のある大病院が先行する形で広がったためです。

その後、診療報酬上の評価や国の医療情報化の方針が後押しとなり、中小病院や診療所にも徐々に普及していきました。近年は、サーバーを院内に持たないクラウド型が普及の裾野を広げています。

背景には、慢性的な人手不足を補う業務効率化への期待や、国を挙げた医療DXの推進があります。

新規に開業するクリニックでは、当初からクラウド型の電子カルテを選ぶケースも珍しくなくなりました。紙からデジタルへの移行は、もはや一部の医療機関だけの話ではなくなってきています。

電子カルテのシェア・普及率の見方

電子カルテのシェア・普及率の見方

「シェア」や「普及率」という言葉は便利ですが、数字の出どころや対象によって意味が変わります。データを正しく読み解くための視点を押さえておきましょう。

シェア・普及率データを読むときの注意点

電子カルテのシェアや普及率を見るときは、その数字が「何を母数にしているか」に注意が必要です。普及率は、病院全体なのか、診療所だけなのか、あるいは病床規模ごとなのかで大きく変わります。

先述のように、大規模病院と小規模クリニックでは数十ポイントの差があるため、平均値だけを見ると実態を見誤りかねません。メーカー別のシェアランキングも同様で、集計した調査会社や対象期間、病院向けかクリニック向けかによって順位は入れ替わります。

一つのランキングをうのみにせず、複数の情報源を見比べ、自院の規模や診療科に近い区分のデータを参考にすることが大切です。

病院向けと診療所向けで市場が分かれる理由

電子カルテの市場は、病院向けと診療所向けで実質的に分かれています。病院向けは、各部門システムやレセプトコンピュータとの複雑な連携、高いカスタマイズ性が求められるため、大手ベンダーが提供する高機能なオンプレミス型が中心です。

一方、診療所向けは、限られた予算と人員で運用できることが重視され、導入しやすいクラウド型のシェアが伸びています。このように求められる要件が異なるため、両者のシェアを同じ土俵で比較しても意味がありません。

開業医が参考にすべきは、あくまで診療所向け、なかでも自院の診療科や規模に合った製品の動向です。市場の構造を理解しておくと、データの読み方が変わります。

クラウド型電子カルテのシェア拡大

クラウド型電子カルテのシェア拡大

近年の電子カルテ市場で最も大きな変化が、クラウド型のシェア拡大です。なぜクラウド型が選ばれているのか、そしてオンプレミス型からどのように移行が進んでいるのかを見ていきましょう。

クラウド型が増えている理由

クラウド型電子カルテとは、院内にサーバーを置かず、インターネットを通じて事業者のサーバー上のシステムを利用する仕組みです。

シェアを伸ばしている最大の理由は、導入コストの低さにあります。自前でサーバーを構築するオンプレミス型に比べ、初期費用を大きく抑えられるため、開業時や小規模なクリニックでも導入しやすいのが強みです。

さらに、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、在宅医療やオンライン診療との相性もよく、システムを院外へ持ち出せる利点があります。

自動でアップデートされる製品が多く、診療報酬改定や法制度の変更にも対応しやすい点も見逃せません。国が進める医療情報の標準化や情報共有の仕組みとも親和性が高く、今後さらに普及が進むと見込まれています。

オンプレミス型からの移行の流れ

これまで主流だったオンプレミス型は、院内にサーバーを設置し、自院の運用に合わせて細かくカスタマイズできる点が強みでした。

しかし、その分だけ導入や保守の費用がかさみ、サイバーセキュリティ対策やIT人材の確保、たび重なる制度改定への対応が負担として課題になっています。

こうした事情を背景に、国はカスタマイズによって高コスト化したオンプレミス型から、廉価なクラウド型への移行を促す方針を示しています。

具体的には、すでに電子カルテを導入している医療機関に対し、システムの更新時期に合わせてクラウド型への切り替えを後押しする考えです。

すぐの移行が難しい場合でも、情報共有サービスや電子処方箋に対応する改修を進めるよう求めています。今後は、新規導入だけでなく既存システムの更新でも、クラウド型が選ばれる場面が増えていくでしょう。

シェア・普及を後押しする国の政策

シェア・普及を後押しする国の政策

電子カルテの普及は、医療機関の判断だけで進んでいるわけではありません。国の医療DX政策が強力な後押しとなっています。普及目標と支援策の中身を確認しましょう。

2030年の普及目標と医療法改正

国は「医療DX令和ビジョン2030」のもとで、電子カルテの普及を国家的な目標として進めています。具体的には、遅くとも2030年(令和12年)には、おおむねすべての医療機関で患者の医療情報を共有できる電子カルテの導入を目指すとしています。

この目標は方針にとどまらず、2025年12月に成立した改正医療法のなかで、2030年末までに普及率を約100%とすることが明記されました。

背景には、全国で診療情報を共有できる基盤を整え、医療の質向上と効率化を同時に実現するねらいがあります。今後、電子カルテの導入は、個々の医療機関の任意の取り組みから、制度として後押しされる流れへと変わっていきます。

標準型電子カルテ・補助金

普及目標の達成に向けて、国はいくつかの具体策を進めています。その柱の一つが、標準型電子カルテの整備です。

これは、医療DXに必要な機能に絞り、小規模な医療機関でも過度な負担なく導入できるよう設計されたクラウド型のシステムで、電子カルテが未導入の診療所などが主な対象とされています。

モデル事業を経て、2026年度中の完成が目指されています。費用面では、IT導入補助金や、医療機関のシステム整備を支える医療情報化支援基金といった支援制度が用意されてきました。

ただし、補助金の対象や金額、申請時期は年度ごとに変わるため、活用を検討する際は必ず最新の公募内容を確認しておきましょう。

シェアだけで選ばない電子カルテの選定

電子カルテを選ぶとき、シェアやランキングの高さは一つの目安になります。多くの医療機関に選ばれている製品は、それだけ実績やサポートの安定感が期待できるからです。

しかし、シェアの大きさが自院にとっての使いやすさを保証するわけではありません。大切なのは、自院の診療スタイルや規模、診療科に合っているかという視点です。

たとえば、入力のしやすさや画面の見やすさといった操作性は、日々の診療効率を大きく左右します。ITに不慣れなスタッフが多い場合は、感覚的に使えるかどうかも重要な判断材料です。導入前にデモやトライアルで操作感を確かめておくと、導入後のミスマッチを防げます。

費用面では、初期費用と月額費用のバランスを見ることが欠かせません。クラウド型は初期費用を抑えやすい反面、月額料金が継続して発生するため、長期的な総額で比較することが大切です。

あわせて、導入時の設定支援や運用後の問い合わせ対応といったサポート体制、将来の乗り換えに備えたデータの互換性も確認しておきましょう。

さらに重視したいのが、周辺システムとの連携性です。電子カルテは単体で完結するものではなく、予約や問診、会計、オンライン診療といった業務とつながって初めて、その効果を発揮します。

予約から問診・オンライン診療・決済までをLINEやWebで一体化できるmarchのような仕組みと組み合わせれば、受付から診療後までの流れがスムーズになり、患者にもスタッフにも負担の少ない運用が実現します。

シェアという数字だけにとらわれず、導入後の運用全体を見据えて選ぶことが、後悔しない電子カルテ選びにつながります。

まとめ

電子カルテのシェアは、病院・診療所ともに普及が進み、特にクラウド型の比率が高まっています。2030年に向けた普及目標や標準型電子カルテの整備など、国の政策も普及を後押ししています。

ただし、シェアやランキングは目安にすぎず、診療スタイルや周辺システムとの連携性まで含めて選ぶことが大切です。予約・オンライン診療・決済を一体運用できるmarchとの連携も、選定時の視点として役立ちます。

最短10秒、かんたん 資料ダウンロード

この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属