クリニックのDX化(医療DX化)とは?メリットやデメリット、進め方を解説

2024.08.30

クリニックがDX化すると、クリニックで働く方やクリニックの開業者にさまざまなメリットが得られます。しかし、クリニックのDX化には多くの資金が必要となるので、慎重に検討している人も多いでしょう。

本記事では、クリニックのDX化の具体的な取り組み内容や、メリット・デメリットを解説します。また、クリニックのDX化における進め方についても解説するため、クリニックのDX化を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

クリニックのDX化(医療DX化)とは?

クリニックのDX化における「DX」は、デジタルトランスフォーメーションの略称です。クリニックのみならず、医療業界全体でDX化が加速していることから、医療DX化と呼ばれることもあります。

クリニックのDX化を進めることで、医療サービスの質の向上と、患者への利便性の向上を目指せるでしょう。また、ICT(情報通信技術)を積極的に活用して業務の効率化を図ることで、患者中心の医療体制の強化を実現できます。

電子カルテやオンライン診療、診療支援システムは、医療DX化の代表例です。各システムの連携により、医療機関全体の業務効率化を図ることもできます。競合との差別化にもつながるため、クリニック経営において競争の優位性をもたらしてくれるでしょう。

医療DX令和ビジョン2030の概要

2022年5月、自由民主党政務調査会より、医療のDX化・医療情報の有効利用を推進する「医療DX令和ビジョン2030」が提言されました。これをきっかけに厚生労働大臣をチーム長とする「医療DX令和ビジョン2030厚生労働省推進チーム」が発足し、現在クリニックのみならず医療DX化に向けて急速に動いています。

医療令和DXビジョン2030では、「全国医療情報プラットフォームの整備」と「電子カルテ情報の標準化」、「標準型電子カルテの検討と診療報酬改定DX」の3つを基本の柱として改革を進めています。

全国医療情報プラットフォームの整備

全国医療情報プラットフォームとは、レセプト・特定健診情報・電子カルテ・電子処方箋といった医療情報をすべて集約し、全国の医療機関や自治体で共有できるシステムのことです。これまで、医療情報は部署ごとに分散して保管されていたため、患者の病歴や治療履歴を把握するためには、相当な時間と手間がかかりました。

しかし、医療情報プラットフォームを整備することにより、患者の情報を一元的に閲覧できるようになります。結果的に情報収集にかかる時間が削減されて、患者により適切な医療を提供できるようになるでしょう。

診療報酬改定のDX化

診療報酬制度改定は、定期的に行われるため、レセプトデータの修正などの業務が発生し、大きな負担となります。そのため、診療報酬の関連作業をデジタル化することは、医療スタッフの負担軽減につながるのです。

医療機関やシステムベンダーの負担を軽減するため、診療報酬の計算や患者の窓口負担金の計算など、共通して使えるプログラムを「共通算定モジュール」として提供する取り組みが進んでいます。これにより、医療機関は報酬請求の自動化・迅速化が可能となるでしょう。

電子カルテ情報・交換方式の標準化

電子カルテ情報・交換方式の標準化とは、作成された電子カルテ情報を共通のフォーマットで共有・交換できるように、標準的なデータ項目や電子的な仕様を国が定めることです。

現時点で標準化されているのは、「診療情報提供書」「退院時サマリー」「健診結果報告書」の3つの文書と、「傷病名」「アレルギー」「感染症」「薬剤禁忌」「検査」「処方」の6つの情報です。

厚生労働省が発表したデータを見ると、電子カルテ普及率は、令和2年時点で一般病院が57.2%、診療所が49.9%です。400床以上の大病院では、91.2%と高い割合で普及していることがわかっています。厚生労働省は、2030年までに標準化された電子カルテの100%導入を目指しているので、今後も普及率が高まっていくことでしょう。

クリニックのDX化のメリット

クリニックのDX化には、「業務の効率化」「危機管理対策の強化」「患者の満足度向上につながる」という3つのメリットが得られます。

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

医療機関の業務効率化を図れる

クリニックのDX化として電子システムを導入すると、業務効率化が図れることから、スタッフの業務負担軽減へとつながります。

これまでカルテを紙で管理していた場合は、電子化することで過去の情報を探す手間が省けるでしょう。また、これまで人が行っていた業務を電子化にすることは、転記ミスや、処方薬の重複などの医療的なミスの防止にもつながります。

業務を効率化することによって、スタッフの労働環境が整うため、人件費や残業代などの削減にもつながるでしょう。

危機管理対策の強化が期待できる

プラットフォーム化によって医療情報が集約されることで、カルテなどの患者情報をデータ化してバックアップが取れるようになります。そのため、医療機関が被災しても、インターネット環境さえあれば、別の場所から患者情報にアクセスすることが可能です。

患者の満足度向上につながる

クリニックのDX化は、患者の満足度向上へとつながります。紙カルテでは、患者の情報を知るために病棟まで出向く必要があり、タイムロスが発生していました。しかし、電子カルテを導入すれば、必要な情報をすぐに取り出せるようになり、患者と向き合う時間が増えます。

また、ネット予約システムやWeb問診を活用すれば、患者の待ち時間が生じず、快適に診療が受けられます。日本医師会が行った「第5回日本の医療に関する意識調査」によると、患者の医療機関に対する不満第1位は「待ち時間」、第2位は「医師の説明」となっています。クリニックDX化により、患者の不満を解消することで、患者満足度の向上が期待できるでしょう。

クリニックのDX化のデメリット

さまざまなメリットがあるクリニックのDX化ですが、現在でも「導入コストの大きな負担」や「セキュリティリスク」、「ITリテラシー不足」などの課題は残ったままです。

これらをデメリットとしておさえたうえで、クリニックのDX化を検討しましょう。

システム導入にはコストがかかる

クリニックをDX化するためには、ITツールや通信デバイスなど導入が必要であるため、導入コストがかかります。また、サービスによっては初期費用が高額になることもあります。しかし、クリニックのDX化をすることで業務負担を改善でき、医療従事者の負担も解消できることから、長期的に見れば医院全体のコストダウンにつながるでしょう。

システムに対する知識がない場合は、専門知識を有するスタッフを採用するか、外部のベンダーに依頼する必要があります。これらのスタッフへの人件費も追加でかかることも留意しておきましょう。

セキュリティ対策の万全さが求められる

患者カルテに含まれる個人情報は、厳重に守る必要があるため、一元管理する際には、徹底したセキュリティ対策が必須です。

近年ではサイバー攻撃も巧妙化し、大企業や政府の情報さえも簡単に抜き取られる時代です。これらの巧妙なサイバー攻撃などから患者情報を守るため、セキュリティ対策の万全性が求められます。

患者にもITリテラシーが必要となる

システムを扱う医療機関だけでなく、患者側にも医療DX化について理解してもらうことが不可欠です。

インターネットに接続できる環境を整えることはもちろんですが、パソコンやスマートフォンのデジタルデバイスの操作もできなければ、双方でITの活用はできません。特にデジタルツールに慣れていない高齢者にとっては、かえって負担となる場合があるため、多くの質問に対応する必要が出てくるでしょう。

システムを簡略化するなど、 ITに不慣れな方でも扱いやすく改良したり、マニュアルを作成したりする業務も増えるかもしれません。

クリニックのDX化を進めるには?

クリニックのDX化を進めるためには、データのクラウド化や電子カルテの導入、清算業務の自動化、オンライン診療サービスの導入が必要です。現在、紙のカルテで情報を扱っている場合は、災害などによって情報がすべて失われる可能性があります。情報が失われる前に、早めにクリニックデータをクラウド化して保管することが大切です。

クリニックデータをクラウド化したら、電子カルテも併せて導入しましょう。電子カルテの導入は、業務効率化につながります。さらに、電子カルテは過去の情報も含めて一元管理できるため、セカンドオピニオンを求められた際に、必要な情報をすぐに提供できるようになるでしょう。

電子カルテの導入後は、清算業務の自動化に取り組みましょう。受付では、診療の予約や質疑応答などさまざまな対応を行っています。清算業務を自動化することは、受付スタッフの業務軽減ができると同時に、患者の待ち時間を減らし、患者満足度の向上にもつながるでしょう。

また、オンライン診療の導入も、クリニックのDX化および集患対策として効果的です。オンライン診療サービスは、患者がクリニックを選ぶきっかけの1つになります。特に診療科では、婦人科など診療をするうえで恥ずかしいと考える患者が多いため、オンライン診療サービスが患者の受療行動の後押しとなるでしょう。

まとめ

クリニックのDX化は、「医療DX令和ビジョン2030」と名付けられ、厚生労働省を中心にスピード感をもって行われているものです。

クリニックにとってさまざまなメリットが得られますが、その一方で、導入コストの負担やセキュリティリスクなどデメリットも発生します。まずは、少しずつシステムを導入していくことで、スタッフや患者の負担も軽減できるでしょう。

システム導入および運営に不安を抱える方は、ぜひオンライン診療システム「march」をご検討ください。marchは、オンライン診療に必要な機能がそろっており、クリニックのニーズに合わせて決済機能や問診機能など柔軟なカスタマイズも可能です。フリートライアルもご用意されていますので、ぜひご活用ください。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

リンク:オンライン診療クリニックmarch clinic

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