オンライン診療で処方できない薬とは?受け取り方や注意点も紹介

オンライン診療を実施するにあたり「薬の処方はどうするのか」「処方できない薬はあるのか」と疑問をお持ちではないでしょうか。適切な準備をするためにも、処方に関する知識を事前に身につけておかなければなりません。

本記事では、オンライン診療で処方できない薬に加えて、薬の受け取り方、処方時の注意点を詳しく解説します。本記事を読めば、オンライン診療における処方に関する基礎知識が身につき、適切な準備につながります。

オンライン診療で処方できない薬とは

オンライン診療の初診では全ての薬を処方できるわけではなく、一部処方できない薬もあります。特に安全管理が必要な薬や依存性の高い薬に関しては、オンライン診療での処方が厳しく制限されているため要注意です。

処方できない薬の種類と、処方できない理由を併せて押さえて、適切な処方に備えましょう。オンライン診療の初診で処方できない薬は、次の2つです。

  1. 麻薬及び向精神薬
  2. 診療報酬における薬剤管理指導料の1の対象となる薬剤

麻薬及び向精神薬

オンライン診療の初診では、麻薬及び向精神薬は処方できません。麻薬や向精神薬は中枢神経に直接作用し、依存性が高く、患者の安全を脅かす可能性があるためです。適切な診断と監視のもとで処方することが前提であり、オンラインでの初診や再診では処方できないことが規定されています。

処方できない薬の具体的な例としては、次の通りです。

  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬
  • 睡眠薬など

薬剤の適正使用のためには、医師と患者の信頼関係はもちろん、対面での詳細な診断と継続的なモニタリングが不可欠です。オンライン診療は、対面診療と比較するとどうしても限界があります。限界があるからこそ、オンライン診療の特性をよく理解し、薬の処方にもより慎重になる必要があります。

診療報酬における薬剤管理指導料の1の対象となる薬剤

診療報酬における薬剤管理指導料の1の対象となる薬剤も、オンライン診療で処方できない薬に該当します。具体的には次の通りです。

  • 抗悪性腫瘍剤
  • 免疫抑制剤
  • 不整脈用剤
  • 抗てんかん剤 など

上記の薬剤は高度な安全管理が必要であるほか、患者の状態を確認しながら適切に投与することが大前提です。オンライン診療は、非対面という特性上、投与後の観察やフォローアップが困難であり、患者の状態を正確に把握することがどうしても難しくなります。

よって、抗がん剤や免疫抑制剤などの薬剤は、オンライン診療では処方できません。対面診療で直接患者と接して、詳細な診察と適切なモニタリングを行った上で処方しなければなりません。

オンライン診療では8日以上の処方ができない

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、オンライン診療の初診において8日分以上の処方を行わないよう提言しています。患者の安全が第一であることはもとより、医薬品の違法な転売、意図的な重複処方を防ぐためです。

また、オンライン診療では、患者の基礎疾患を十分に把握することが難しいという特徴があります。情報が不足している状況下においては、必然的に患者に適した薬の処方も難しくなるため、8日以上の処方ができないという制限を設けています。

加えて、オンライン診療は非対面という特性上、なりすましや虚偽申告のリスクも無視できません。患者の安全と健康を守るため、そして処方によるリスクを未然に回避するために、厳格な制限が設けられているのです。

オンライン診療で薬を受け取る方法

オンライン診療で薬を受け取る方法は、患者のニーズや医療機関の設備状況に応じて、「院内処方」と「院外処方」のどちらかを選択できます。院内処方は患者の利便性が高い反面、医療機関側にコストと手間がかかるのが特徴です。

一方、院外処方は医療機関の運用負担が軽減される反面、患者が高齢者で身体が不自由であれば、指定の薬局で薬を処方できない可能性があります。どちらにもメリット・デメリットがあるため、それぞれの特徴を押さえて自院に適した方法を選択しましょう。

院内処方(診察と同時に薬を受け取る)

オンライン診療における院内処方では、診察後に患者の自宅へ薬を配送する形をとります。患者は自宅にいながら薬を受け取れるため、薬局で受け取る手間が発生しません。

一方、医療機関には、院内で調剤した薬を患者の自宅へ郵送する手間が発生します。加えて、薬剤の在庫管理や調剤設備の整備などが必要となるため、時間的・運用的コストの面で大きな負担となるでしょう。

また、医療機関側には複数の運営上の課題が発生します。院内処方におけるコストをどのようにカバーするかが重要なポイントとなります。

院外処方(薬局で受け取る)

院外処方は、患者が希望する薬局に処方箋を送付し、その薬局で薬を調剤して渡す方法です。オンライン診療における院外処方の場合、診療後に患者が指定した薬局へ処方箋をメールまたはFAXで送信します。

薬局では、受け取った情報をもとに薬を調剤して、患者へ直接渡したり自宅へ郵送したりなどの方法で薬を届けます。オンライン診療における院外処方のメリットは、医療機関に薬局機能を設ける必要がない点です。薬剤の在庫管理や調剤設備の整理など、時間的・運用的コストの削減につながります。

デメリットは、患者へ処方するための薬が指定の薬局で取り扱っていない可能性があることです。特に人口の少ない地域では、そのような問題に直面する可能性が高くなるでしょう。そのため、院外処方を行う際は、指定の薬局へ事前に問い合わせて、対応の可否を尋ねておくなどの対策が必要です。

オンライン診療で薬を処方する際の注意点

オンライン診療に限った話ではありませんが、薬を処方する際に不手際が生じると、患者に負担をかけてしまいます。オンライン診療は医療機関にとって新たな取り組みであるため、ケアレスミスを未然に防ぐ対策が重要です。

オンライン診療で薬を処方する際は、特に以下の2点に注意してください。

  • 処方箋の備考欄に「オンライン対応」と明記する
  • 患者の病歴やアレルギー情報を詳細に把握する

それぞれ詳しく解説していきます。

処方箋の備考欄に「オンライン対応」と明記する

患者がオンライン服薬指導を希望する場合、処方箋の備考欄には必ず「オンライン対応」と明記しなければならないため注意しましょう。厚生労働省は「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」の改定を行い、「処方箋の備考欄にオンライン対応と明記すること」と規定しています。

加えて、「対面・オンライン診療を問わず、処方箋の原本は処方箋情報を送付した薬局に送付すること」とも提言しています。

以上をまとめると、次の通りです。

  • オンライン服薬指導の場合、処方箋の備考欄には必ず「オンライン対応」と明記する
  • 処方箋原本は患者ではなく、処方箋情報を送付した薬局へ渡す

詳しくは、厚生労働省のこちらの資料をご覧ください。

患者の病歴やアレルギー情報を詳細に把握する

オンライン診療は対面診療と比較すると、情報収集の精度がどうしても落ちます。しかし、患者の病歴やアレルギー情報、服薬歴などは、適切な薬を処方するために欠かせません。

よって、オンライン診療でも患者の情報を十分に収集できるよう、努めなければなりません。例えば、事前問診で得た情報を参考にして、診察に必要な情報を引き出すための質問を考えるなどです。診療の前にWeb問診を実施すれば、予約時間までの間に質問を考えておくことができます。

また、画面越しのやり取りの際、患者の表情・声のトーン・しぐさをよく観察したり、写真や動画を送ってもらう際に角度や距離を工夫してもらったりすることも大切です。正確な診療のためにも、患者の協力を得ながら進めていきましょう。

まとめ

オンライン診療で適切な処方を実施するためには、薬の処方に関する基本的な知識のほか、スムーズな診療体制を整えることが大切です。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

リンク:オンライン診療クリニックmarch clinic

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