オンライン診療計画書は、オンライン診療を実施する際に必要となるため、事前に作成しておく必要があります。しかし、どのような形式で作ればよいのか、どんな項目を盛り込めばいいのかなど、疑問に思う方も多いかもしれません。
本記事では、オンライン診療計画書の必要性に加えて、記載すべき項目や作成手順を分かりやすく解説していきます。本記事を読めば、オンライン診療計画書への理解が深まり、スムーズに作成できるようになるでしょう。
オンライン診療計画書とは
オンライン診療計画書とは、オンライン診療の内容や診療時間、方法などを細かく記載した計画書のことです。オンライン診療を実施する医師は、オンライン診療計画書をもとに患者に内容を説明して、合意を得なければなりません。
合意に当たっては、患者自身がオンライン診療を希望する旨を明確にする必要があります。
なお、厚生労働省が発出する「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、診療計画の2年間の保存を義務付けています。オンライン診療が完了した後も、破棄せず保管しておくよう注意しましょう。
オンライン診療計画書に記載すべき項目
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、診療計画に記載するべき項目として、以下の10個を挙げています。
具体的な診療内容(疾病名、治療内容など)
オンライン診療と対面診療、検査の組み合わせの頻度やタイミング
予約方法・診療時間など
使用するツール(情報通信機器など)
オンライン診療を行わないと判断する条件
上記の条件に該当する場合、対面診療に切り替えること(通信障害など、診療できなくなる場合も含む)
患者の積極的な協力が必要であること(オンライン診療は触診できず、得られる情報が限られるため)
急病急変時の対応(医師が対応できない疾患の場合、対応可能な医療機関を紹介)
オンライン診療を実施する医師の名前(複数の医師が実施する場合、どの医師がどんな場合にオンライン診療を行うかも併せて明記)
セキュリティリスクに関する責任の範囲や、そのとぎれがないこと(情報漏洩のリスクを踏まえた説明)
参考:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針 最低限遵守する事項」
オンライン診療計画書を作成する際は、10個の項目すべてを記載するよう注意しましょう。
オンライン診療計画書の作成手順
次に、オンライン診療計画書の作成手順を3STEPに分けて紹介します。完成までの流れを事前に把握しておけば、スムーズに作成できるでしょう。
1.オンライン診療計画書の雛形を準備する
オンライン診療計画書は、一から作る必要はありません。まずは、日本医師会や厚生労働省が用意する雛形を準備しましょう。それぞれ下記から確認できます。
雛形1:日本医師会 オンライン診療入門 ~導入の手引き~
雛形2:厚生労働省 オンライン診療導入時の診療計画説明
厚生労働省のPDFでは、実際に医療機関で使用されているオンライン診療計画書を確認できます。雛形を準備するだけでなく、オンライン診療計画書の完成図も把握しておきましょう。
2.指針に則り計画書を書く
雛形の準備ができたら、診療内容や診療方法、対面診療に切り替える条件などを余すことなく細かに記載していきます。雛形に記載された内容の一部を拝借して、自院に適した表現に書き換えると、スムーズに作成できるでしょう。
例えば、厚生労働省の雛形では、冒頭で「基本的な考え方」と称して、オンライン診療の中でも特に重要な点をまとめていることが確認できます。言葉や表現を置き換えて、自院の方針に合わせて記載すると、冒頭部分の作成がスムーズです。
当然のことながら、計画書を作成する際は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を遵守することを念頭に置きましょう。
3.同意書を作成する
オンライン診療計画書を作成する段階で「同意書」も併せて作成しておきましょう。同意書とは、診療計画の説明後に患者から同意を得るための文書のことです。同意書の雛形も、日本医師会・厚生労働省で雛形が用意されています。
雛形1:日本医師会 オンライン診療入門 ~導入の手引き~ (PDF:6P)
雛形2:厚生労働省 オンライン診療導入時の診療計画説明 (PDF:58P)
同意書には、オンライン診療計画について明確な説明を受けたことを確認する文言や、署名欄・年月日などの項目を記載します。オンライン計画書と同様、作成の際は自院に適した言葉・表現に置き換えるとスムーズです。
オンライン診療計画書の内容を説明する際のポイント
オンライン診療計画書は、オンライン診療を円滑かつ安全に実施するための重要なガイドラインです。しかし、説明に分かりにくい部分があると、患者の理解が不十分となり、同意が得られなくなる可能性もあります。
作成した計画書を患者に説明する際は、ここで紹介する5つのポイントを意識しましょう。
オンライン診療の指針や計画を伝える
オンライン診療の指針で示されている項目は、余すことなく伝えるように意識しましょう。特に、初診は原則として対面診療であることや、具体的な診療計画(流れや手順)について細かく伝えることが大切です。
患者が診療の流れを理解することで、診療の進行がスムーズになり、トラブルを未然に防げます。医療機関と患者の双方がより良い形でオンライン診療を実現するためにも、伝えるべき重要事項や診療計画は細かく伝えましょう。
デメリットまで詳細に説明する
オンライン診療は通院の負担を軽減できる一方、デメリットも存在します。説明する際は、メリットだけでなくデメリットも併せて伝えましょう。患者がオンライン診療の全体像を正確に理解し、納得した上で実施する必要があるためです。
また、オンライン診療は対面診療よりも得られる情報が限られるため、診断の精度に影響を及ぼす可能性があることや、通信障害の発生リスクがあることも事前に伝えておきましょう。
診療中の注意事項を伝える
オンライン診療をスムーズに進行するためには、診療中の注意事項を事前に伝えておく必要があります。特に、次の点は事前に伝えておきましょう。
診療に支障を来さない静かな場所で診療を受けること
カメラやマイクなどの正しい使い方
回線トラブルが発生した際の対応 など
患者が使用するデバイスの操作に慣れていない場合は、ストレスに感じてしまうことも考えられます。患者の技術的な問題に備えて、ビデオ通話の開始方法、マイクとカメラの設定方法など、事前に簡単な操作マニュアルを準備しておきましょう。
適度に質問をはさむ
患者は、オンライン診療に対して不安や疑問を抱えていることが多いです。よって、説明の途中で定期的に質問の機会を設けて、患者の不安や疑問を解消することが大切です。
例えば、「今説明した部分について、何かご質問はありますか?」と投げかけることで、患者は質問しやすくなります。質問しやすい空気を作れば、医師による問いかけがなくとも、患者が積極的に質問を投げかけてくれるでしょう。
平易な言葉を心掛ける
オンライン診療の説明を実施する際は、専門用語を避けることはもちろん、できるだけ平易な言葉を使用しましょう。聞き馴染みがない言葉で説明されると、患者が上手く理解できなくなり、ストレスを感じるかもしれません。
特に、オンライン診療は特性上、ITに関する用語が多く含まれます。ITに不慣れな高齢の方へ説明する際は、IT用語の使用にも気を配ると、より患者の理解が深まるでしょう。
まとめ
オンライン診療計画書や同意書は、雛形を参考にしつつ、自院の方針や患者の特性に合わせてカスタマイズするとスムーズに作成できます。オンライン診療計画書の内容を説明することを前提に、計画書の段階で平易な言葉の使用を心掛けましょう。
また、患者に不要なストレスを与えないよう、オンライン診療の快適な環境を整えることも重要です。
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この記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属