オンライン診療と電話診療の違いとは?メリットと診療の流れを解説

新型コロナウィルスの感染拡大により、直接病院へ受診しなくても診療を受けられる「オンライン診療」が普及しました。また、オンライン診療のほかにも「電話診療」で遠隔診療を行うクリニックも増加している傾向にあります。

しかし、「オンライン診療と電話診療の違いは?」「それぞれのメリットがわからない」と疑問になる方も多いでしょう。

本記事では、オンライン診療と電話診療の違いやメリット、診療の流れについて解説します。オンライン診療の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

オンライン診療とは

オンライン診療とは、スマホやPCなどの通信機器を用いて、インターネット上のビデオ通話で行う診療を指します。従来は遠隔診療と呼ばれていました。オンライン診療の導入により、患者は直接病院へ足を運ぶことなく自宅から診療を受けられるため、体調不良や地理などによる制約を受けない受診が可能です。

元々は離島やへき地のみの利用に制限されていましたが、2015年に厚生労働省が全国におけるオンライン診療を解禁しました。2020年には新型コロナウィルス感染症の流行をきっかけに注目が高まり、2022年の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂後は、初診からオンライン診療が可能となっています。

オンライン診療と電話診療の違い

オンライン診療と電話診療の大きな違いは、診療に使用する通信機器が異なる点です。オンライン診療ではインターネットを活用し、電話診療では電話を活用します。そのほか、診察に必要な物や支払い方法、事前に必要な準備の有無などの違いを下記の表にまとめました。

オンライン診療電話診療
診察に必要な物スマホタブレットPC電話
診察料金の支払い方法アプリ経由支払いクレジットカード窓口支払い
事前の準備必要不要

オンライン診療・電話診療のメリット

オンライン診療および電話診療のメリットは、以下の3つが挙げられます。

  1. 患者の治療継続の負担を軽減できる
  2. 問診で診療方針が立てやすくなる
  3. 院内の業務効率化を図れる

患者の治療継続の負担を軽減できる

患者はオンライン診療および電話診療を活用することにより、地理的な制約を受けることなく受診が可能となります。そのため、近隣に住む患者だけでなく、全国の患者を対象に医療を提供できるようになるでしょう。

仕事や家事などで通院スケジュールを立てにくい患者でも、時間や場所にとらわれずに受診できるため、通院離脱を防止になります。交通費の負担も減り、治療継続できる環境づくりを実現できます。

問診で診療方針が立てやすくなる

オンライン診療・電話診療では、あらかじめ患者から問診票を入力してもらうため、事前に確認できるメリットがあります。診察しながら問診を行うよりも、効率的に診察ができるため、患者に寄り添う時間の余裕が生まれるでしょう。

また、オンライン診療および電話診療では、対面診療と同様に診察経過をタイムリーに確認できます。スムーズな診察が可能なため、問診での診療方針が立てやすくなる点がメリットです。

院内の業務効率化を図れる

オンライン診療・電話診療によって院内業務が減り、業務効率化の向上につながる点もメリットです。患者は来院不要となるため、医療機関側では高齢者や車椅子を利用する患者のフォローや、院内感染リスク防止のための消毒作業など、混雑による院内業務の煩雑化を緩和できます。

院内業務の効率化により、来院患者の集中による混雑が解消すれば、クレームの防止とともに患者満足度の向上にもつながるでしょう。

オンライン診療・電話診療の流れ

オンライン診療および電話診療の流れは以下の通りです。

  1. 診療方法をHPなどに記載する
  2. 診察の予約を確認・準備をする
  3. 予約日時に診療を開始する

1.診療方法をHPなどに記載する

患者は、公式ホームページなどの媒体から、クリニックがオンライン診療や電話診療などに対応しているかを確認します。そのため、公式ホームページには対応している診療方法について記載しておくと良いでしょう。

また、診察方法のほかに使用ツールや支払い方法なども明記しておくと、患者はスムーズに準備できるようになるため、問い合わせの削減につながります。

患者に向けて、柔軟な診療スタイルや先進的な医療機関といったPRをすることで、クリニックの信頼性が高まり、患者数の増加が期待できるでしょう。オンライン診療を導入する際は、診察方法や診察に関する注意事項を記載すると、患者は安心して利用できるようになります。

2.診療の予約を確認・準備をする

患者はオンライン上のプラットフォームから、診療の予約を取ります。そのため、医療機関側は適宜、予約の有無や変更などの確認が必要です。公式ホームページには、利用登録や使用ツールの用意といった事前準備が必要である旨を記載しておくと、患者はスムーズに診察を受けられます。

また、予約を取得したら事前問診として問診票を記入する必要があります。気になっている症状やこれまでの病歴、現在服用している薬剤といった情報を記入してもらいましょう。これらの準備が整い、オンライン診療および電話診療が可能となります。

なお、初めてのオンライン診療利用で事前準備に戸惑ったり、利用方法がわからず困ったりする患者もいるため、スムーズに準備ができるよう、ガイドやQ&Aなどのリンクを添付しておくと親切です。

3.予約日時に診療を開始する

予約された日時に医師と患者がビデオ通話を接続して、診療を開始します。事前に患者が記入した問診票をもとに診療を行いますが、もし問診票に記載漏れがある場合や、より詳しい情報が必要な場合は、その場で患者に質問して収集しましょう。

たとえば、皮膚の状態や顔色などといった視覚情報は、ビデオ通話中に観察が必要です。必要に応じて追加の質問をすることで、より正確な診断を行うことができます。

診察が終了した後は、診断内容や状態に応じて電子処方箋を発行します。患者は発行された処方箋を近隣の処方箋薬局へ持参するか、郵送で受け取るかのどちらかを選択して治療を進めていきます。

一度の診察で治療が完結せず、継続的な治療が必要な患者の場合は、再予約が必要になります。必要に応じて対面診療に切り替えるなどして、オンライン診療と組み合わせて行うことが大切です。

オンライン診療・電話診療を行う際の注意点

オンライン診療・電話診療を行う際の注意点として、以下の3つが挙げられます。

  1. オンライン診療研修を受ける必要がある
  2. 対面診療より診療報酬点数が低い
  3. 通信トラブルが発生することがある

オンライン診療研修を受ける必要がある

オンライン診療・電話して診療を実施するには、オンライン診療研修を受けなくてはなりません。また、厚生労働省が指定する施設基準を満たす必要があります。

厚生労働省による「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で定められており、医師はオンライン診療に責任を有する者として、研修を受講することが義務付けられています。

なお、オンライン診療研修はeラーニング形式で行われます。オンライン診療の基本概念や専用システム導入によるセキュリティリスクなど、知識を習得できる内容です。緊急避妊薬を処方する可能性のある医療従事者は、「緊急避妊薬の処方に関する研修」をオンライン診療研修と併せて受講する必要があります。

対面診療より診療報酬点数が低い

オンライン診療は、対面診療と比較して診療報酬点数が低い点に注意する必要があります。令和4年の診療報酬改定により、オンライン診療の需要の高さから評価や条件が見直されましたが、点数は依然として低い水準のままとどまっています。以下の表は、対面診療とオンライン診療の診療報酬点数をまとめたものです。

対面診療オンライン診療
初診料288点251点
再診料73点73点
医学管理料87〜1681点対面の約87%

※引用元:厚生労働省「情報通信機器を用いた初診に係る評価の新設」より

対面診療と比較すると、オンライン診療の初診料は37点低いことがわかります。しかし、オンライン診療の需要の高さや利便性を考慮すると、患者ニーズは高いため、通常の対面診療と併用することで対策を講じることができるでしょう。

通信トラブルが発生することがある

オンライン診療・電話診療では、通信環境に大きく左右されます。そのため、医療機関側・患者側双方のインターネット状況や使用するデバイスに問題がある場合、スムーズな診療が行えない可能性があります。また、高齢者やIT技術に不慣れな患者の場合、専用プラットフォームの利用や、インターネットの設定などが行えない可能性も考えられるでしょう。

また、通信トラブルのほか、通信のセキュリティについても注意が必要です。システム上では、患者の個人情報や病歴など重要な情報がやり取りされます。セキュリティの問題により、これらの情報が外部に漏洩してしまうと、患者のプライバシー侵害や、医療機関の信用失墜などで大きな損失を招きかねません。

オンライン診療を利用の際は、患者への指導が必要な場合があることを想定して、専用プラットフォームの利用ガイドやQ&Aなどで、問題解決の方法をまとめておくことが大切です。

オンライン診療サービス「march」では、導入後の困りごとやトラブルがあった際、医療DXのプロによるカスタマーサポートを受けられます。患者様が安心して利用できるオンライン診療サービスをお探しの方は、ぜひ検討してみてください。

まとめ

オンライン診療と電話診療には、通信機器の違いがあります。オンライン診療・電話診療を導入することで、患者の治療継続の負担軽減や院内業務の効率化により、医療の質向上やコスト削減などが期待できるでしょう。

オンライン診療システムの導入を検討している方は、ぜひ「march」をご検討ください。「march」はオンライン上で診療予約・問診・決済・処方薬配送までを一元化しているシステムです。医療DXのプロによるサポートを受けられるため、ITに詳しくない方でも安心して導入できます。無料トライアルも実施しているので、ぜひこの機会に導入してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

リンク:オンライン診療クリニックmarch clinic

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