毎日多くの患者が来院する医療機関では、どうしても待ち時間が発生します。院内の混雑がひどいときには、患者から直接クレームをもらうこともあるでしょう。病院の待ち時間によるクレームを減らすためには、原因を把握し、対策法を実践することが大切です。
本記事では、病院の待ち時間が長くなる原因から対策法、クレームを受けたときの適切な対処法まで紹介します。この記事で紹介する対処法を実践することで、待ち時間の短縮を実現し、患者満足度の向上につながるでしょう。
病院の待ち時間の平均時間
厚生労働省の調査によると、待ち時間を「15分〜1時間」と回答する患者が多い結果となりました。
厚生労働省が発表した「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」によると、病院の待ち時間は「15分未満」と答えたのが27.9%で最多でした。次いで「15分~30分未満」が25.8%、「30分~1時間未満」が20.9%となっているため、約7割の患者が1時間未満で診察を受けていることになります。
併せて、待ち時間と満足度の関係を見ると、小規模な病院では「待ち時間が15分未満」の割合が42.5%と高く、待ち時間が短いほど患者の満足度が高い傾向が見られます。
以上の結果から、待ち時間の短縮に取り組むことは、患者満足度の向上につながるといえるでしょう。
病院の待ち時間が長くなる主な5つの原因
病院の待ち時間が長くなる原因を特定することで、取るべき対策が明確に見えてきます。病院の待ち時間が長くなる原因として、次の5つが挙げられます。
- 患者データの入力や転記を手作業で行っている
- 来院患者が多く混雑している
- 電話の問い合わせに人手が取られている
- 会計業務に時間がかかっている
- 患者一人ひとりの対応に時間がかかっている
1.患者データの入力や転記を手作業で行っている
紙カルテを使用し、患者データの入力や転記を手作業で行っていると、待ち時間が多くなりがちです。また、手入力はミスを引き起こす原因となるため、確認作業や修正処理に時間をかけてしまうことになります。
手作業を主体とした体制では、業務効率が低下しやすく、結果として患者の待ち時間が長くなりがちです。
2.来院患者が多く混雑している
来院患者が多くなると、問診や診察・検査など全ての業務が滞り、待ち時間が増える可能性が高くなります。
受付開始直後や受付締め切り直前の時間帯や、週の初め・終わりなど、混雑しやすいタイミングには特に注意が必要です。また、予約が埋まっているにも関わらず、飛び込みの患者を受け入れると、待ち時間の増加につながります。
3.電話の問い合わせに人手が取られている
午後の診察開始時など、電話対応が集中する時間帯に人手を取られてしまうと、人員不足により長い待ち時間が発生してしまいます。
電話対応では、予期せぬ対応を求められることが多く、その場で判断を下さなければならない場面も少なくありません。そのため、スタッフ数が限られているクリニックの場合、一人でも欠けると他の業務が滞る可能性があります。
4.会計業務に時間がかかっている
医療機関の会計業務は、保険適用や処方箋の確認などのやり取りが生じるため、会計業務に時間がかかりがちです。
手動で会計業務を行っている場合は、ケアレスミスを引き起こすことがあります。特に混雑している時間帯は、他の業務と並行しなければならないため、ミスが発生しやすくなるでしょう。
ミスが発生すれば、リカバリーにも対応せざるを得なくなり、結果として長い待ち時間を発生させます。
5.患者一人ひとりの対応に時間がかかっている
患者一人ひとりの対応に時間をかけすぎると、必然的に次に対応する患者の対応も遅れてしまいます。診察内容が複雑な場合や、初診の患者に診察券を発行する場合などは、待ち時間が予想以上に延びることがあるでしょう。
患者の対応時間を短縮するには、事前に患者情報を把握できるよう予約システムを導入するなどして、業務効率化を図ることが大切です。
病院の待ち時間に対するクレームを減らすには?
病院の待ち時間に対するクレームを減らすためには、業務効率化を図ったり、病院内を快適な空間にしたりすることが挙げられます。
どのような対処法があるのか、具体的に見ていきましょう。
医療事務の自動化を図る
現在手動で行っている業務を自動化することで、事務作業の負担を軽減できます。
また、自動化によって人為的なミスを未然に防げるため、「ミスへの対応」という突発的な業務が発生することもありません。結果として、患者の待ち時間が解消されて、クレームを減らす対策につながります。
自動化の手段としては、次の4つが挙げられます。
- 診察予約システム
- 事前問診システム
- 電子カルテ
- 自動精算機
1.診察予約システム
診察予約システムとは、インターネットやアプリを利用して、診療の予約・管理ができるシステムのことです。診察予約システムを導入すれば、患者側はスマートフォンやパソコンで診察予約ができ、病院側は予約対応の業務が不要となります。
また、予約キャンセルや新規受付もシステム上で完結するため、突発的な対応で人員不足に陥ることが少なくなるでしょう。
2.事前問診システム
事前問診システムとは、患者が来院前にインターネットやアプリを利用して、問診に回答するシステムのことです。通常、来院時に問診票への記入を患者へお願いしますが、事前問診システムを導入すれば、問診票に関するやり取りは不要です。
また、事前に患者の情報を把握することにより、診察をスムーズに進められます。結果として、待ち時間の短縮につながるでしょう。
3.電子カルテ
電子カルテとは、従来の紙のカルテに代わって、患者の診療情報を電子データ化したカルテのことです。電子カルテはパソコンで入力できるため、手書きで記録する紙のカルテよりも業務時間を短縮できます。
また、診療内容や検査結果などの情報を電子化することにより、情報の検索や共有をスムーズに行えます。従来は、保管している書類の中から患者のカルテを見つけ出し、情報を確認する必要がありました。電子カルテを導入すれば、瞬時に情報へアクセスでき、業務効率が飛躍的に向上します。
結果的に、待ち時間の短縮や診療の質の向上が期待されます。
4.自動精算機
自動精算機とは、病院やクリニックでの会計処理を自動化する機械のことです。患者が自ら精算を完了できるため、金銭の受け渡しやクレジットカードの読み取りなど、精算に関する業務負担を大幅に軽減できます。
加えて、精算時のやり取りにおけるヒューマンエラーを防げるため、正確な会計処理が可能です。患者・医療機関の双方にとって利便性が高まるほか、業務の効率化により、待ち時間の短縮にもつながります。
待合室を快適な空間にする
待合室を快適な空間にすることで、待ち時間によるストレスの緩和につながります。
具体例としては、テレビや雑誌、その他の娯楽を用意する方法があります。また、座りやすい椅子を用意したりウォーターサーバーを設置したりなど、リラックスして過ごせる環境を整えること大切です。
患者が居心地のいい空間と感じ、結果的に待ち時間へ対するクレームの減少につながります。
クレームへの適切な対処方法
いくら待ち時間を減らそうと努力しても、ヒューマンエラーが重なってクレームになることも考えられます。
ここでは、クレームへの適切な対処方法を3つ紹介します。
- 謝罪時は患者の話を落ち着いて聞く
- 空いている時間帯や具体的な待ち時間を伝える
- 感謝の気持ちを伝える
1.謝罪時は患者の話を落ち着いて聞く
クレームに対して謝罪する際は、患者の話を落ち着いて聞くことが重要です。理不尽なクレームを受けてしまうと感情的になりがちですが、それでは火に油を注ぐ形になり、些細な言葉や態度でもヒートアップする恐れがあります。
クレームを受けてしまった場合は、話を遮ったり反論したりせず、ひとまず共感を示しながら最後まで話を聞きましょう。患者の話に真摯に耳を傾けることで、患者自身も自分の意見が尊重されていると感じ、信頼関係の構築につながります
謝罪は単なる形式的なものとして済ませるのではなく、真摯な姿勢で患者に向き合うという気持ちで取り組みましょう。
2.空いている時間帯や具体的な待ち時間を伝える
「いつまで待てばいいかわからない」という心理的な不満が、患者の怒りの感情を呼び起す可能性があるので、事前に具体的な待ち時間を伝えることも有効です。
例えば、「現在の待ち時間は約10分です」と知らせれば「あと10分くらいなら」と納得してもらえるかもしれません。ある程度の待ち時間がわかれば、患者側も計画的に行動できて、心理的な不満も和らぎます。
また、定期的に通院している患者に対しては、応対可能な曜日や時間帯を提示しておくことも大切です。同時に、混雑しやすい曜日や時間帯を伝えておくと、患者は次回来院の際に混雑を避けることができます。
3.感謝の気持ちを伝える
クレームは改善のための貴重なフィードバックであるため、クレームを受けたときは、感謝の気持ちを伝えることも大切です。クレームを真摯に受けとめて再発防止に努めることで、患者との信頼関係構築のきっかけになるでしょう。
また、感謝の言葉は反論しづらく、相手の要求を増大させにくい効果があります。理不尽なクレームに対して感謝を伝えることは心情的には納得できないかもしれませんが、有効な対処法として押さえておきましょう。
まとめ
病院の待ち時間を短縮するには、医療システムの導入による業務の自動化が効果的です。診療の予約や受付の管理を自動化することで、医療スタッフは対人業務に集中できるようになり、結果的に待ち時間の短縮によるクレーム対策につながります。
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この記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属