オンライン診療の施設基準とは?届出の種類・様式・期限を解説 | 【公式】march(マーチ)

オンライン診療の施設基準とは?届出の種類・様式・期限を解説

2024.07.18

オンライン診療の施設基準とは?届出の種類・様式・期限を解説

オンライン診療の届出を調べると、都道府県に出すという説明と、地方厚生局に出すという説明の両方が見つかります。どちらが正しいのか分からず、手が止まっている方もいるはずです。

答えは、どちらも正しく、別々に必要だという点にあります。令和8年4月の医療法改正で医療法上の届出制度が新設され、従来からある診療報酬の施設基準の届出と2本立てになりました。

本記事では、2つの届出の違い、施設基準の要件、様式と添付書類、そして経過措置の期限までを解説します。

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オンライン診療のみでの開業はできるか

オンライン診療のみでの開業はできるか

この論点は、令和8年4月の改正で答えが変わりました。従来と同じ理解のままだと判断を誤ります。

オンライン診療受診施設という新しい区分

改正前は、患者がオンライン診療を受ける場所に診療所などを開設する必要がありました。改正後は、その場所がオンライン診療受診施設であり、医師がそこでオンライン診療のみを行う場合には、診療所を開設しなくても実施できます。

オンライン診療受診施設とは、患者がオンライン診療を受ける場所を提供する施設です。設置者が業として、オンライン診療を行う医師等の勤務する病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院に対して提供します。

医療資源が少ない地域で医療アクセスを高めることが狙いで、へき地などにおいて住民に身近な郵便局や公民館などを活用した設置が期待されています。医療を提供する施設ではない点が、診療所との大きな違いです。

設置者の届出義務と罰則

設置者は、設置後10日以内に所在地の都道府県知事等へ届け出ます。届出事項は次のとおりです。

  • 設置者の住所および氏名(法人であるときは、その名称と主たる事務所の所在地)
  • 名称
  • 設置の場所
  • 敷地の面積および平面図
  • 建物の構造概要および平面図
  • 設置者が法人であるときは、定款、寄附行為または条例
  • 設置の年月日

休止・再開・廃止のときも10日以内の届出が要ります。これらに違反した場合は20万円以下の罰金の対象です。オンライン診療受診施設でないものに紛らわしい名称を付けることも禁じられており、同じく罰金の対象になります。

設置者に医療従事者であることなどの要件はありません。加えて、設置後1か月以内を目途に、受診施設向けのチェックリストを都道府県知事等へ提出することとされています。

必要な届出は2つある|医療法と診療報酬

必要な届出は2つある|医療法と診療報酬

ここからが本題です。オンライン診療を始めるにあたって必要な届出は2つあり、混同すると片方が漏れます。

医療法上の届出

1つ目が医療法上の届出です。病院または診療所を開設したときに都道府県知事等へ届け出る事項に「その勤務する医師又は歯科医師がオンライン診療を行うときはその旨」が追加されました。届け出た事項に変更が生じたときも、10日以内の届出が必要になります。

保険診療か自由診療かは問いません。新規に開設するクリニックは開設届にその旨を記載し、すでに開設している医療機関が新たに始める場合は開設届出事項の一部変更届で対応する形です。

令和8年4月1日の時点ですでにオンライン診療を実施していた医療機関には、経過措置が置かれました。令和9年3月31日までの間は変更の届出を要しないとされています。裏を返せば、その期限までには届け出る必要があります。

診療報酬の施設基準の届出

2つ目が診療報酬上の施設基準の届出です。提出先は地方厚生局長等で、情報通信機器を用いた場合の点数を算定するための手続きになります。

自由診療だけで実施するなら、こちらの届出は必要ありません。保険で算定するクリニックは、医療法上の届出とあわせて両方が要ります。

始める前にクリアすべき施設基準

始める前にクリアすべき施設基準

診療報酬の施設基準は、令和8年度改定で内容が更新されました。満たすべき項目を確認しましょう。

満たすべき6つの内容

情報通信機器を用いた診療に係る施設基準は、次の6つで構成されています。

  • 保険医療機関外で診療する場合、実施場所が指針に該当し事後的に確認できること
  • 対面診療を提供できる体制を有すること
  • 患者の状況によって対面が難しい場合に、他の医療機関と連携して対応できること
  • 定められた内容を自院のウェブサイトに掲示していること
  • 医療広告ガイドラインを遵守していること
  • 向精神薬を処方する際に、電子処方箋管理サービスの重複投薬等チェック機能を用いること

最後の1つには経過措置があります。電子処方箋を導入していない場合は、令和10年5月31日までに限り、オンライン資格確認等システムなどで薬剤情報を確認する取扱いも認められています。

あわせて、オンライン指針に沿った診療の体制を有する保険医療機関であることも要件です。

ウェブサイトに何を掲示するか

見落とされやすいのがウェブサイトへの掲示です。掲示するのは2点あります。1つは、情報通信機器を用いた診療の初診で向精神薬の処方を行わない旨になります。もう1つが、オンライン診療指針の遵守を確認するためのチェックリストに、自院の対応状況を記入したものです。

チェックリストは厚生労働省が示しており、医療機関向けだけでも基準等遵守の確認用と、患者に対して説明すべき内容の2種類が用意されています。自院がどれを使うのかを取り違えないようにしましょう。

診療報酬における算定要件

施設基準を満たして届け出たあとは、実際の診療で満たすべき要件があります。

算定の前提になる条件

算定要件は、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って実施することが出発点です。診療内容や診療日などの要点を診療録に記載し、その診療が指針に沿った適切なものであることを診療報酬明細書の摘要欄にも記載します。

情報通信機器を用いた診療の実施場所は、原則として保険医療機関内です。患者の急変時には、原則として自院が対応する体制も求められます。

▶︎関連記事:オンライン診療の診療報酬とは?2026年度の点数・算定要件を解説

管理者に求められる措置

医療法改正では、オンライン診療を行う医師が勤務する病院・診療所の管理者に対して、必要な措置を講じることも求められました。その1つが、オンライン診療を行う医師に厚生労働省が定める研修を受講させることです。

届出を出して終わりではなく、研修と体制整備が続く構造になっています。

▶︎関連記事:オンライン診療研修とは?費用・所要時間・受講手順を解説

届出を提出する方法

届出を提出する方法

2つの届出は、様式も提出先も別です。診療報酬の届出は地方厚生局長等へ、医療法上の届出は都道府県知事等へ提出します。

診療報酬の届出は別添7の様式1

情報通信機器を用いた診療に係る施設基準の届出には別添7の様式1を用い、提出先は地方厚生局長等になります。

へき地医療拠点病院やへき地診療所で看護師等遠隔診療補助加算を算定する場合は、別添7の様式1の7を別に用います。この加算では、へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に係る研修を修了した医師の配置も要件です。

医療法の届出とチェックリスト

医療法上の届出で使う様式は、自治体が定めています。群馬県の例では、既存の医療機関が新たにオンライン診療を始める場合に開設届出事項等一部変更届を用い、オンライン診療受診施設の設置届には別記様式が用意されています。

受診施設の設置届に添える主な書類は、敷地の面積と平面図、建物の構造概要と平面図、法人の場合の定款または寄附行為です。同じ県内でも保健所設置市では様式が別になる場合があるため、管轄の窓口を先に確認しましょう。

提出先と期限を取り違えない

医療法上の届出は都道府県知事等が窓口で、実務上は管轄の保健所や保健福祉事務所へ提出します。新規の届出や変更は10日以内、既存の医療機関の経過措置は令和9年3月31日までです。

診療報酬の施設基準の届出は地方厚生局長等が窓口になります。届出が受理された後でなければ、情報通信機器を用いた場合の点数は算定できません。窓口を間違えると書類がそのまま戻ってきて日数を失うため、自院が今どちらの手続きをしているのかを書類ごとに確認しながら進めましょう。

まとめ

届出は2種類です。1つが令和8年4月1日に施行された医療法改正による届出で、オンライン診療を行う旨を都道府県知事等に届け出ます。もう1つが診療報酬の施設基準の届出で、地方厚生局長等に別添7の様式1を提出する手続きです。保険で算定するクリニックは両方が必要になります。

医療法改正では、患者がオンライン診療を受ける場所を提供するオンライン診療受診施設も新設されました。これにより、診療所を開設しなくてもオンライン診療のみを実施できる場面が生まれています。設置者は設置後10日以内の届出が求められ、違反すると20万円以下の罰金の対象です。すでにオンライン診療を実施していた医療機関には経過措置が置かれ、令和9年3月31日までに届け出ます。

診療報酬の施設基準は6つの内容で構成されており、ウェブサイトへの掲示も要件の1つです。届出後も、管理者による研修の受講機会の確保など、継続して求められる措置が残ります。marchのような仕組みで日々の記録と運用をまとめておくと、次の届出や更新のたびに慌てずに済みます。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属