オンライン診療のみで開業することは可能?開業するメリットや注意点も解説 | 【公式】march(マーチ)

オンライン診療のみで開業することは可能?開業するメリットや注意点も解説

2024.07.17

オンライン診療のみで開業することは可能?開業するメリットや注意点も解説

オンライン診療は、パソコンやタブレットを使用し遠隔での診療が可能なため、感染症対策や院内業務改善などのメリットがあります。開業を考えている人のなかには、オンライン診療のみでの開業を検討している人もいるでしょう。

2026年4月には改正医療法が施行され、オンライン診療に法律上の定義と基準ができました。診療報酬も同年度に改定され、開業の前提が2024年時点から変わっています。

本記事では、オンライン診療のみで開業することは可能なのか、開業までの手続きと収支、また開業によるメリットや開業時の注意点について解説します。

オンライン診療のみで開業することは可能なのか?

オンライン診療のみで開業することは可能なのか?

医療法上の開設要件とオンライン診療の実施要件を満たし、必要な手続きを済ませれば、オンライン診療のみでも開業できます。しかし、オンライン診療の扱いが可能な施設基準の一つとして、対面診療ができる体制であることが条件です。

そのため、オンライン診療のみでの開業を検討していても、開業時にはオンライン診療だけでなく対面診療ができる体制を整え、条件をクリアすることが必要です。開業時は、オンライン診療に関する施設基準に準じた体制を整え、開業するようにしましょう。

医療法施行規則のオンライン診療基準も指針も、対面診療との組み合わせを前提にしています。保険診療では、自院で対面が難しい場合に他院と連携して対応できることも要件です。自由診療だけでも、急変時に患者がすぐ受診できる医療機関で対面診療ができる体制が必要です。

オンライン診療そのものは違法ではありません。医師法第20条は、医師が自ら診察せずに治療や処方をすることを禁じています。指針の最低限遵守すべき事項を守ったオンライン診療は、これに抵触しないとされています。

オンライン診療とは?

改正医療法は、オンライン診療を、映像と音声で医師と遠隔の患者が互いの状態を認識しながら行う診療と定義しています。

つまり、患者は、医師の診察から薬剤の処方までの行為を、在宅で受けることが可能です。オンライン診療は、2026年4月から省令のオンライン診療基準に沿って行うものになりました。違反すれば、都道府県知事等による是正命令などの対象です。電話(音声のみ)は定義に当たらず、コロナ特例の電話初診も2024年3月末で終わっています。

▶︎関連記事:オンライン診療の指針とは?2026年改訂・届出・遵守事項を解説

オンライン診療のみの医療施設の種類

オンライン診療のみの医療施設の種類

遠隔医療のサービスには、「オンライン診療」「遠隔健康医療相談」「オンライン受診勧奨」などがあります。

一般的な診療所

一般的な診療所でもオンライン診療を実施できますが、医師は厚生労働省が定めるオンライン診療研修の受講が必要です。ただし、オンライン診療を実施する際には、対面診療ができる体制を有する必要がある点に注意しなくてはなりません。

また、一般的な診療所での対面診療にあわせ、オンライン診療や遠隔健康医療相談サービス、またオンライン受診勧奨などを組み合わせることも可能です。どのような診療所を開業したいか、という視点から選択するとよいでしょう。

遠隔健康医療相談サービス

遠隔健康医療相談サービスとは、医師をはじめとする医療従事者へ健康相談ができるサービスを指します。遠隔健康医療相談サービスは、診断したり処方したりする診察ではなく、あくまでも健康相談サービスの形をとるものです。

当該サービスの例には、小児救急電話相談事業やクリニックなどでの受診前の電話相談があります。患者にとっては、状態の判断に迷うときや対応に困るときなど、手軽に相談できるのがメリットといえるでしょう。

オンライン受診勧奨

オンライン受診勧奨とは、医師から医療機関への受診の指示や状態への助言を受けられるサービスです。状態への判断がつかず、医療機関を受診すべきかどうか迷う際に、受診の必要性について助言してくれます。

当該サービスは、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を利用して行うものです。医師は、患者の症状や訴えから、疑われる疾患や適切な医療機関と診療科について医学的判断をします。ただし、診断や薬剤の処方はできません。

医学的判断の有無が、遠隔健康医療相談サービスとは異なる点です。

開業までの流れと2026年の制度改正で変わった手続き

新型コロナウィルス感染症によるオンライン診療の特例措置が終了した後も、所定の手続きによりオンライン診療の開始と継続が可能となりました。そのため、オンライン診療のみでもクリニックを開業しやすくなったといえるでしょう。

個人の医師が保険診療で開業する場合の主な手続きは次のとおりで、法人なら事前に開設許可が要ります。

  1. 開業予定地が外来医師過多区域に当たるかを確認する(該当すれば開設6か月前までに事前届出)
  2. 医師がオンライン診療の研修を修了する
  3. 開設後10日以内に、保健所へ診療所開設届を出す(オンライン診療を行う旨も届出事項)
  4. 地方厚生局へ保険医療機関の指定を申請する
  5. 地方厚生局へ情報通信機器を用いた診療の施設基準を届け出る

開設届と保険医療機関の指定

2026年4月の改正で、診療所の開設届の届出事項に、勤務医がオンライン診療を行う旨が加わりました。様式と提出方法は、管轄の保健所で確認しましょう。保険医療機関の指定は、原則として申請の翌月1日付けです。指定日より前の診療は保険で請求できないため、地方厚生局の締切日から逆算して開業日を決めます。

外来医師過多区域の事前届出は、厚生労働省のQ&Aでは2026年10月以降の開設者が対象です。

施設基準の届出と研修

施設基準の届出は、月末までに受理されれば翌月1日から算定できます。施設基準には、対面診療の体制と他院との連携、ウェブサイトへの掲示などが含まれます。

研修は厚生労働省のサイトで受講でき、受講料は無料です。自由診療だけなら、保険医療機関の指定と施設基準の届出は要りません。それでも開設届とオンライン診療基準の遵守は必要です。

▶︎関連記事:オンライン診療の施設基準とは?届出の種類・様式・期限を解説

開業時の収支と1件あたりの受取額

オンラインの点数は対面より低い項目がありますが、システム利用料を含めた受取額では差が縮まります。2026年度(令和8年度)改定後の主な点数は次のとおりです。

項目対面情報通信機器を用いた場合
初診料291点253点
再診料76点76点
外来管理加算52点算定不可
特定疾患療養管理料(診療所)225点196点
生活習慣病管理料(Ⅱ)333点290点

特定疾患療養管理料を算定する再診では、外来管理加算を含む対面の353点に対してオンラインは272点で、差は1件810円です。

2026年6月からは、実費徴収できる例に「オンライン診療の受診に係るシステム利用料」が明記されました。徴収には院内掲示と原則ウェブサイトへの掲載、文書による患者の同意が必要です。

厚生労働省の実態調査では、利用料を徴収する医療機関は約29%で、1人あたり中央値600円でした。600円を徴収すれば、先の再診で対面との差は210円です。システムの初期費用は中央値27.5万円、月額の維持費用は中央値1万円でした。

採算は、月の固定費を1件の受取額で割った件数で見ます。固定費が仮に月100万円なら、受取額3,320円の再診で月約300件が損益分岐の目安です。

オンライン診療を開業する2つのメリット

オンライン診療を開業する2つのメリット

オンライン診療を開業する場合、2つのメリットがあります。

開業を検討している人は、それぞれのメリットについて把握しておきましょう。

患者獲得がしやすくなっていく見込みである

オンライン診療は、今後さらに患者を獲得しやすくなることが見込まれる点がメリットといえます。オンライン診療で患者獲得がしやすくなる理由は以下の通りです。

  • 通院の手間なく利便性が高い
  • 通院の必要なく地理的な問題を克服
  • 待ち時間や診察終了までの時間短縮
  • 症状の相談など医師との連絡が容易

これらの理由により、オンライン診療にメリットを感じる患者が増加し、患者獲得がしやすくなると考えられます。商圏が周辺に限られないため、患者が広い地域に散らばる専門外来や自由診療とも相性がよいでしょう。

院内での感染症のリスクや患者の負担が減る

オンライン診療で受診することにより、院内での感染症拡大や患者の通院負担などのリスクを減らすことが可能になりました。また、原則として通院の必要がないため、来院時の案内などが減り、スタッフの業務負担が軽減される場合があります。

このように、オンライン診療を導入することで、患者と医療機関双方においてメリットを享受できるのです。来院患者が少ない前提なら、テナントの面積や受付の人員を抑えた設計も検討できます。

オンライン診療専門で開業する際に覚えておきたい3つの注意点

オンライン診療専門で開業する際に覚えておきたい3つの注意点

オンライン診療専門で開業したいと考えている人は、以下の3つに注意が必要です。

  • 対面でないとわからない症状が隠れているケースもある
  • オンラインのみでは処方できない薬がある
  • 医師・患者共に通信機器の使い方を覚える必要がある

それぞれ詳しく解説するので、開業の際には留意するようにしましょう。

対面でないとわからない症状が隠れているケースもある

オンライン診療では、患者から得られる情報が不十分な場合があります。例えば、触診や聴診といった直接の診察ができないため、得られる情報は患者からの自覚症状や画面越しの視診をはじめとした診察のみになります。

対面診療だと気づくことができる状態の変化も、オンライン診療では診察環境に制約があるため、重要な症状を見落としてしまうリスクがあることを留意するようにしましょう。必要な情報が得られなければ、速やかに中止して対面診療につなぐよう指針で求められています。

オンラインのみでは処方できない薬がある

初診のオンライン診療では、医療用麻薬や向精神薬を処方できません。基礎疾患などの情報が把握できていない患者には、特に安全管理が必要な医薬品と8日分以上の処方もできません。2026年4月からは、この制限が医療法施行規則にも定められました。

開業するクリニックの専門分野や処方することの多い薬剤によっては、はじめから対面診療のクリニックで開業する方がスムーズなケースがあります。オンライン診療の導入を検討する際には、オンラインのみでは処方できない薬があることや、処方できないことによる影響について考えることが大切です。

▶︎関連記事:オンライン診療で処方できない薬とは?受け取り方や注意点も紹介

医師・患者共に通信機器の使い方を覚える必要がある

オンライン診療をするためには、スマートフォンやパソコンなどの情報通信機器の使い方を覚えておく必要があります。また、リアルタイムでのオンライン診療のため、滞りなく診察できるよう通信環境を双方で整えていくことが重要です。

特に、高齢の患者など、スマートフォンやパソコンそのものに不慣れな場合も考えられます。そのため、オンライン診療導入の際はスムーズに行えるようサポート体制も整えるとよいでしょう。アプリを入れる手間を減らすなら、普段使うLINEで完結する仕組みも選択肢です。

まとめ

オンライン診療のみでも開業できますが、急変時の対面診療体制と、保険診療なら自院の対面体制が前提です。2026年4月の改正医療法と2026年度の診療報酬改定で、開業の前提も変わりました。オンライン診療に関する情報は今後も随時変更されていくことが予想されるため、最新情報の確認が大切です。

収支は点数だけでなく、システム利用料を含めた受取額と、システムの初期費用・月額で見ることが大切です。処方の制限や診断の限界も踏まえ、自院の診療科に合う形を選びましょう。

「march(マーチ)」は、LINEを基盤にしたオンライン診療システムです。診療予約・問診・決済・処方薬配送までを一つの流れでまかなえます。

この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属