医療機関でオンライン診療の初診を実施するにあたり、「どのような流れで行えばいいのか」と疑問をお持ちではないでしょうか。従来の対面診療とは異なる点が多く、初めてのオンライン診療となると不安が大きいかもしれません。
本記事では、オンライン診療で初診を実施する流れや診療報酬、そして留意すべきポイントについて詳しく解説していきます。本記事を最後まで読めば、スムーズにオンライン診療を始められるようになるでしょう。
オンライン診療の初診は原則として「かかりつけ医」が行う
厚生労働省のホームページ上では、オンライン診療の初診は原則として「かかりつけ医」が行うことと明記しています。かかりつけ医とは、すでに患者との接点があり、日常的な診療・健康管理を行っている医師のことです。
オンライン診療は非対面という特性上、触診を実施できず、患者から得られる情報はどうしても限られてしまいます。得られる情報が足りないがゆえに、適切な診断ができない可能性も否定できません。
しかし、かかりつけ医は日頃から対面診療を行っているため、患者の健康状態や診療歴をよく理解しています。また、頻繁に顔を合わせているため、患者との信頼関係も築けているでしょう。
こうした背景から、オンライン診療は原則として「かかりつけ医」が行うものとされています。かかりつけ医でない場合は、診療前の相談を実施して、相互に合意が必要となります。
オンライン診療で初診を行う流れ
オンライン診療で初診の実施を考えている方は、実際の流れを把握しておきましょう。全体像を理解しておくことで、診療前に必要な準備ができるようになり、スムーズな初診を実施できます。
ここでは、オンライン診療の初診の流れを4ステップに分けて解説します。
1.患者との合意形成
オンライン診療は医師の独断で実施できるものではなく、まず患者との合意形成が必須です。合意形成のプロセスでは、オンライン診療のメリット・デメリットを的確に説明していきます。
特に、オンライン診療のデメリットについては包み隠さず話していかなければなりません。例えば、オンライン診療は対面診療よりも得られる情報が不足すること、技術的なトラブルが発生する可能性もあることなど、事前に伝えておきましょう。
メリット・デメリット両方を提示することは、患者から合意を得るために必要であり、信頼関係の構築にも欠かせません。
2.オンライン診療前の事前相談
オンライン診療の初診を実施するにあたり、まずは「診療前相談」を実施しなければなりません。診療前相談とは、オンライン上で患者から聞き取りを行い、医学的情報を確認することです。適切な情報が把握でき、医師・患者双方がオンラインでの診療が可能であると判断した場合に、オンライン診療を実施できます。
診療前相談では、下記の点について患者に説明しておきましょう。
- オンライン診療で得られる情報には限界があり、場合によっては対面診療と組み合わせる必要があること
- 診療ごとに医師がオンライン診療を実施するかどうかを判断すること
- 診療計画の内容についても詳しく説明し、患者の理解を得ること
3.診療計画のすり合わせ
オンライン診療を実施するにあたり、患者へ診療計画を詳細に説明して、合意を得なければなりません。診療計画とは、どのような機器で実施するのか、どのような場合に対面診療へ切り替えるのか等を明確にして、診療の方向性を計画するものです。
厚生労働省の指針では、次の9項目を診療計画として定め、2年間の保存を義務付けています。
- オンライン診療で実施する具体的な診療内容
- オンライン診療・対面診療・検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)
- 診療時間・予約に関する事項
- オンライン診療で使用する情報通信機器
- オンライン診療が不可となる場合の条件
- オンライン診療は患者の協力も必須である旨
- 急病急変時の対応方針
- オンライン診療を担当する医師全員の氏名
- セキュリティリスクに関する責任の範囲の明確化
診療計画のサンプルは、日本医師会が発出する「オンライン診療入門 ~導入の手引き~」で確認できます。診療計画を作成する際は、ぜひ活用してください。
4.オンライン診療の初診を実施する
患者に診療計画に目を通してもらい、同意を得られたらオンライン診療を実施できます。実際のオンライン診療では、患者の本人確認を行ったうえで、記入してもらった問診票に基づいて話を進めていきます。
オンライン診療は対面診療と異なり、触診や視診ができないため、視覚・聴覚に頼って患者の状態を見極めなければなりません。また、必要に応じて、患者に実際のデータを見せながら話を進める必要もあります。
対面ではパソコンの画面を説明できますが、オンライン診療ではデータ共有という形をとらなければなりません。スムーズに初診を終えるためにも、オンラインの特性を踏まえた準備が必要となります。
オンライン診療による初診の診療報酬について
オンライン診療の初診をスムーズに進めるために、診療報酬についても押さえておきましょう。従来の「オンライン診療料」は、コロナ特例による臨時的な措置でしたが、オンライン診療の恒久化に伴って廃止されました。
そして、オンライン診療料に代わる新たな評価として、「情報通信機器を用いた初診に係る評価」が新設されました。情報通信機器を用いた場合の初診料・再診料・外来診療料の診療報酬は、次の通りです。
- 初診料:251点
- 再診料:73点
- 外来診料:73点
ただし、初診料として251点を算定する場合は、算定要件を満たす必要があります。例えば、「厚生労働省が発出する指針に沿って診療を行った場合に算定する」など、いくつか要件が定められています。
詳しくは、厚生労働省の「令和4年度診療報酬改定の概要」の資料を参考にしてください。PDFの4Pに、診療報酬に関する内容が掲載されています。
オンライン診療で初診を行う前に留意すべき点
オンライン診療で初診を実施する前に、留意すべきことがあります。留意点を押さえて事前に対策すれば、スムーズな診療につながり、患者にも安心して診療を受けてもらえるでしょう。
ここでは、下記の留意点について解説します。
- 丁寧な問診と情報収集に努める
- 事前にオンライン診療の流れを説明する
丁寧な問診と情報収集に努める
患者の症状や病歴、生活習慣などを正確に把握するため、丁寧な問診と情報収集に努めましょう。対面診療では問診や視診、触診を通して情報を収集しますが、オンライン診療はその特性上、収集できる情報がどうしても少なくなります。
そのため、問診票の質問を詳細化したり、写真や動画を撮影してもらう際に部位や角度を具体的に指示したりなどして、情報収集に努めなければなりません。
また、画面を通して患者の表情・しぐさ・声のトーンなどを深く観察し、オンライン診療の欠点を補うことも重要です。したがって、患者の状態を正確に把握するには、丁寧なコミュニケーションを取りながら実施する必要があります。
事前にオンライン診療の流れを説明する
オンライン診療は、医師だけでなく患者にとっても新しい試みであり、不安が大きいものです。そのため、事前にオンライン診療の流れを詳細に説明するなどして、患者の不安を少しでも払拭するよう努める必要があります。
加えて、患者全員がITの扱いに慣れているとは限りません。患者によっては、適切にツールを使用できず、上手く診療が進まないことも考えられます。オンライン診療をスムーズに進めるためにも、ITに不慣れな患者が簡単に操作できるツールを導入しましょう。
marchは、直感的なUIで誰でも簡単に利用できるオンライン診療サービスです。患者向けの専用アプリも簡単に構築でき、ITに不慣れな方でもストレスなく利用できます。オンライン診療の導入を検討している方は、ぜひご相談ください。
まとめ
オンライン診療の初診は、原則として「かかりつけ医」が行わなければなりません。オンライン診療の初診をスムーズに実施するにあたっては、事前に全体像を把握しておくことが重要です。医師・患者双方の負担を軽減するために、留意すべき点を事前に押さえておきましょう。
オンライン診療は、まだまだ新しい試みである以上、基本的な知識をつけて適切な準備をしておくことが大切です。オンライン診療を導入する前に、初診の流れや注意点を改めて確認したい場合は、ぜひ本記事をご活用ください。
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この記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属