オンライン診療研修とは?費用・所要時間・受講手順を解説 | 【公式】march(マーチ)

オンライン診療研修とは?費用・所要時間・受講手順を解説

2024.09.03

オンライン診療研修とは?費用・所要時間・受講手順を解説

オンライン診療を始めると決めたあと、最初に手を付けることになるのが医師向けの研修です。義務なのか、どれくらい時間がかかるのか、費用は自己負担かといった点が気になるところでしょう。

結論から書くと、研修は厚生労働省の指針で義務づけられており、費用はかかりません。eラーニング形式のため、受講者登録が済めば時間を選ばずに進められます。

本記事では、研修の3種類とプログラムの中身、費用と所要時間、申し込みから届出までの流れ、そして受講の注意点までを解説します。

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オンライン診療研修とは

オンライン診療研修とは

オンライン診療研修とは、厚生労働省が公表している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で定められている研修のことです。情報通信機器の使用や情報セキュリティなど、オンライン診療を実施する際に必須となる知識の習得を目的としています。

受講するには、厚生労働省の専用ページから申し込みます。研修はeラーニング形式のため、パソコンやスマートフォンで受講が可能です。申請の際は医籍登録番号が必要になるため、申し込む前に医師等資格確認検索システムで登録番号を控えておきましょう。

対象は医師のみ。歯科医師は別の研修

この研修は医師を対象としたもので、歯科医師や他の職種向けではありません。研修サイトにもその旨が明記されています。

歯科については「歯科におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」が別に策定されており、研修も日本歯科医師会のシステムで別立てです。歯科を標榜する医療機関では、受ける研修そのものが違う点に注意が要ります。

研修が必須となった背景

研修が必須となった背景

オンライン診療研修が必須になったのは、コロナ禍の特例措置が終わり、実施のルールが指針に一本化されたためです。

特例措置の終了と指針への一本化

2023年7月31日以前は、電話やオンラインによる診療の診療報酬上の算定が特例として認められていました。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた、時限的・特例的な取り扱いです。

しかし8月以降も引き続きオンライン診療を実施する場合は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿った診療が必要になります。したがって、今後もオンライン診療を実施するのであれば、指針に則って研修を受講しなければなりません。

指針は「医師は、オンライン診療に責任を有する者として、厚生労働省が定める研修を受講することにより、必須となる知識を習得しなければならない」と定めました。あわせて、2020年4月以降はオンライン診療を実施する医師に受講が求められる旨も記載されています。

令和8年4月の指針改訂

指針は平成30年3月の策定後に複数回の改訂を経ており、直近では令和8年4月に一部改訂されました。令和8年4月に施行された医療法等の一部を改正する法律でオンライン診療に関する規定が新設されたことを受けたものです。

この改訂では、災害時に研修を受講していない医師によるオンライン診療の実施を許容する通知を適時発出する旨も追記されました。実際に令和8年熊本地震でも、研修受講の取扱いに関する通知が出ています。

研修プログラムの内容

研修は1種類ではありません。自院に必要なものだけを選んで受ければ足ります。

オンライン診療を行う医師向けの研修

中心になるのが、オンライン診療を行う医師向けの研修です。5科目の内訳は次のとおりになります。

科目講義時間テキスト
オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度34分55秒56ページ
オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項38分49秒82ページ
オンライン診療の提供体制15分33秒17ページ
オンライン診療とセキュリティ34分34秒31ページ
実臨床におけるオンライン診療の事例26分32秒38ページ

分量が多いのは、遵守すべき事項とセキュリティの2科目です。テキストのページ数で見ても、この2つで113ページを占めます。診察の技術ではなく、守るべきルールと情報の扱いに重点を置いた構成です。

各科目には10題の演習問題が付きます。動画を流すだけでは終わらないため、実質の所要時間は講義時間より長めに見ておくのが現実的です。

緊急避妊薬の処方に関する研修

2つ目が、緊急避妊薬の処方に関する研修です。2科目で、講義時間の合計は84分45秒です。

産婦人科以外の医師が初診からのオンライン診療で緊急避妊薬を処方する場合に、上の研修とは別に受講が義務づけられています。この研修については、受講した医師と薬剤師のリストが厚生労働省のホームページに掲載されます。

へき地における患者が看護師等といる場合の研修

3つ目が、へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修です。1科目で37分10秒と、最も短い研修になります。

このへき地向けの研修だけは、診療報酬の施設基準にも位置づけられています。看護師等遠隔診療補助加算の施設基準では、当該研修を修了した医師を配置していることが要件の1つです。

費用と所要時間

費用と時間は、受講を先送りにする理由になりやすい2点です。医師向けの研修は5科目で、講義時間の合計は150分23秒、テキストのページ数は合計224ページになります。

費用はかからない

研修サイトには「料金はかかりません」と明記されています。受講費用の負担はなく、院内で予算を確保する必要もありません。

形式はeラーニングです。受講者登録メールを受信したあとであれば、インターネット上でいつでも受講できます。診療の合間や閉院後に少しずつ進める運用が取れるため、まとまった時間を確保できなくても着手できるでしょう。半日を空けるのではなく、1科目ずつ数日に分けるほうが進めやすくなります。

申し込みから届出までの流れ

申し込みから届出までの流れ

手順そのものは複雑ではありません。ただし順序を取り違えると、手戻りが発生します。

申し込みには医籍登録番号が要る

申込時には医籍登録番号を記載します。研修サイトは、記入間違いがないよう医師等資格確認検索システムで登録内容を確認してから申請するよう案内しています。

番号を誤って申請すると、確認や修正のやり取りが発生するものです。申し込みの前に手元で番号を照合しておくと、この往復を避けられます。

複数の医師がオンライン診療を担当する予定なら、それぞれが受講する必要があります。研修は医籍登録番号で申し込む仕組みのため、受講の記録は医療機関ではなく医師に紐づく形です。非常勤の医師に任せる場合も、受講状況を事前に確かめておきましょう。

研修修了から届出・算定までの順序

研修は指針に基づく医師個人の義務であり、診療報酬の届出とは別の階層にあるため、順序としては研修の受講が先になります。

そのうえで、施設基準を満たし、別添7の様式1で地方厚生局長等に届け出て、はじめて情報通信機器を用いた場合の点数を算定できます。なお、保険診療かどうかを問わず、オンライン診療を行う旨の医療法上の届出も別に必要です。

システムの導入を先に決めて研修を後回しにすると、システムが動いても診療を開始できない期間が生まれます。研修・施設基準・届出の3つを並行で進めるのが現実的な段取りです。

▶︎関連記事:オンライン診療の施設基準とは?届出の種類・様式・期限を解説

受講に関する注意点

受講に関する注意点

オンライン診療研修でつまずきやすいのは、受講時の通信環境、医師等資格確認検索システムへの事前登録、そして修了後の記録の3点です。

安定したインターネット接続を確保する

オンライン診療研修はインターネットを利用して受講するため、安定した通信環境が欠かせません。回線が不安定だと、動画講義の読み込みが遅れたり、演習問題の回答送信に時間がかかったりします。

講義中に動画が中断すると、学習の流れが途切れて内容の理解が不十分になる恐れもあるでしょう。研修時に問題がなかったとしても、実際のオンライン診療で回線が不安定になる可能性は残ります。診察時の回線不良は医療機関にとって致命的なため、この機会に環境を整えておくことをおすすめします。

医師等資格確認検索システムに事前登録する

研修を受講するためには、医師等資格確認検索システムへの事前登録が必要です。厚生労働省は、このシステムへの登録情報をもとに受講者を登録しています。

登録が済んでいない場合は、まず登録の手続きから始めましょう。登録の有無を確認したいときは、医師等資格確認検索システムで医師名を検索すれば分かります。具体的な登録手順は、厚生労働省の申し込みページに記載されています。

修了の記録を保管する

研修を修了すると、修了の認定を受けます。この記録は、施設基準の届出や院内での確認に備えて保管しておきましょう。

保管先も先に決めておくと迷いません。届出の担当者と受講した医師が違う場合、受け渡しが抜けやすい部分です。院内の共有フォルダに置き場所を作っておくと、更新や照会のたびに探さずに済みます。届出の様式と一緒に保管しておけば、次の更新時にも迷いません。

なお研修サイトは、不正が発覚した場合に受講停止の措置や修了認定の取消を行う場合があると明示していました。また、指針の改訂等に伴う再受講義務については、現時点では予定がないとしています。

まとめ

研修は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づく医師個人の義務です。2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師に受講が求められています。費用はかからず、eラーニング形式のため受講者登録後は時間を選ばずに進められます。オンライン診療を行う医師向けの研修は5科目・合計150分23秒で、各科目に10題の演習問題が付く構成です。

研修は3種類で、緊急避妊薬の処方に関する研修とへき地向けの研修は別立てです。へき地向けの研修だけは、看護師等遠隔診療補助加算の施設基準に修了医師の配置が要件として置かれています。歯科医師は対象外で、別の指針と研修が用意されている点にも注意が要ります。

保険診療で算定するまでの順序は、研修の受講が先で、施設基準を満たしたうえでの届出が後です。申し込みには医籍登録番号が必要なため、医師等資格確認検索システムへの事前登録も済ませておきましょう。システム導入だけを先行させると、診療を開始できない期間が生まれます。marchのような仕組みの選定と並行して、研修と届出を進めることが大切です。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属