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電子カルテの費用は?導入費用・月額・抑え方をタイプ別に解説

2026.07.12

電子カルテの費用は?導入費用・月額・抑え方をタイプ別に解説

電子カルテの導入を考えるうえで、誰もが気になるのが費用ではないでしょうか。タイプによって金額の構造が大きく異なり、目先の価格だけで判断すると後悔しかねません。

本記事では、電子カルテの費用の全体像、クラウド型とオンプレミス型の違い、費用を左右する要素や見落としやすい隠れコスト、費用を抑えるポイントを、クリニックの視点から解説します。

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電子カルテの費用の全体像

電子カルテの費用の全体像

電子カルテの費用は、導入時に一度かかるものと、使い続ける限り発生し続けるものに分かれます。まずは費用の構造と、長期的な視点で考えるべき理由を押さえておきましょう。

初期費用とランニングコストの内訳

電子カルテの費用は、大きく「初期費用」と「ランニングコスト」の二つに分けられます。初期費用には、ソフトウェアのライセンス料、サーバーや端末などの機器代、システムの初期設定費、紙カルテや旧システムからのデータ移行費などが含まれます。

一方のランニングコストは、毎月または毎年かかる費用で、システムの利用料や保守費用、サポート費用、診療報酬改定への対応費などが代表的です。

どちらか一方だけを見て安いと判断するのは禁物です。初期費用が安くても月額が高ければ、長く使ううちに総額がかさむこともあります。両方を合わせた費用構造を理解することが、適切な比較の第一歩になります。

5年間の総コスト(TCO)で考える理由

電子カルテの費用を比べるときは、初期費用と月額を別々に見るのではなく、一定期間の総額で考えることが大切です。

この考え方は、総所有コスト(TCO)と呼ばれます。目安としてよく使われるのが5年間です。オンプレミス型はサーバーの保守期限などの関係で、5年前後でシステムの入れ替えが必要になることが多いためです。

たとえば、初期費用が高いタイプでも、月額が安ければ5年間の合計では割安になる場合があります。

逆に、初期費用が安くても、更新やオプションの費用がかさんで総額が膨らむこともあります。導入時の金額だけでなく、数年単位で支払う総額を見積もって比較する視点が欠かせません。

クラウド型とオンプレミス型の費用の違い

クラウド型とオンプレミス型の費用の違い

電子カルテの費用を最も大きく左右するのが、クラウド型かオンプレミス型かという形態の違いです。それぞれの費用の特徴を、具体的な目安とあわせて見ていきましょう。

クラウド型の費用の特徴

クラウド型は、院内にサーバーを置かず、インターネットを通じて利用する方式です。費用面の最大の特徴は、初期費用を大きく抑えられる点にあります。

自前で大型のサーバーを用意する必要がないため、初期費用は0円から数十万円程度に収まるケースが多く、製品によっては端末代と設定費のみで始められます。その代わり、毎月の利用料が発生し、月額の目安はおおむね1万〜5万円程度です。

この月額には、システムの利用料に加え、保守やセキュリティ管理、診療報酬改定への対応アップデートなどが含まれるのが一般的です。

さらに、5年前後で発生するサーバーの買い替え費用がかからないため、長期的なTCOで見ても負担を平準化しやすいのが強みです。初期投資を抑えて始めたい開業医に向いた費用構造といえます。

オンプレミス型の費用の特徴

オンプレミス型は、院内にサーバーを設置して運用する方式で、その分だけ初期費用が高くなる傾向があります。サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアのライセンスなどをそろえる必要があり、初期費用の目安はおおむね200万〜500万円程度とされます。

規模やカスタマイズの内容によっては、さらに高額になることもあります。月々の保守費用は2万〜3万円程度が一つの目安ですが、レセコンを別に用意する場合は追加の費用がかかります。注意したいのが、5年前後ごとに必要になるサーバーの入れ替え費用です。

一度に数百万円規模の出費が発生することもあり、長期的なTCOではこの更新費を織り込んでおく必要があります。カスタマイズ性と引き換えに、まとまった資金力が求められる費用構造です。

費用を左右する要素

費用を左右する要素

同じ形態の電子カルテでも、選ぶ製品や条件によって最終的な費用は変わってきます。見積もりを正しく読み解き、製品どうしを比較するために、価格を動かす主な要素を確認しておきましょう。

レセコン一体型/連携型・ライセンス数

費用を左右する要素として、まずレセコンとの関係が挙げられます。電子カルテとレセコンが一つになった一体型は、別々にそろえるより初期費用や設定の手間を抑えやすい傾向があります。

一方、既存のレセコンと連携させる連携型は、いま使っている資産を活かせますが、連携のための設定費が発生する場合があります。もう一つ重要なのがライセンス数です。

クラウド型では、利用する端末の台数や同時に使う人数に応じて月額が変わる仕組みが一般的です。同時に電子カルテを操作するスタッフが多いクリニックほど、月額は上がります。自院の規模や運用に合ったライセンス形態を選ぶことが、費用の最適化につながります。

データ移行・周辺システム連携・サポート

既存のカルテやシステムからデータを移す場合、その移行作業にも費用がかかります。特に、別のメーカーの電子カルテから乗り換えるときは、互換性の問題で移行費が想定以上にふくらむことがあります。

また、予約システムや検査機器など、周辺システムと連携させる場合にも追加費用が生じることがあります。

導入時の研修や運用開始後の問い合わせ対応といったサポートの範囲によっても、総額は変わってきます。どこまでが基本料金に含まれ、どこからが別料金になるのかを、契約前に必ず確認しておきましょう。

標準化対応・更新費用

近年は、国が進める医療情報の標準化への対応も費用に関わる要素です。標準規格への対応が基本機能に含まれているか、オプション扱いで追加費用がかかるかは、製品によって異なります。

あわせて、システムの更新やバージョンアップにかかる費用も確認しておきたいポイントです。将来の制度改定で想定外の出費が生じないよう、見通しを立てておくと安心です。

見落としやすい隠れコスト

電子カルテの費用を比べるとき、表に出ている金額だけを見ていると、思わぬ出費に後から気づくことがあります。見落としやすい隠れコストを把握しておきましょう。

初期設定・研修・データ移行費

カタログ上の初期費用に含まれていないことが多いのが、初期設定や研修にかかる費用です。クラウド型では、システムの設定サポートが別料金になっているケースがあります。

また、医師だけでなく、看護師や医療事務など電子カルテを使うすべてのスタッフが操作に習熟する必要があり、研修の時間も実質的なコストになります。

通常業務を止めて研修にあてる人件費まで含めて考えておくと、現実的な見積もりに近づきます。前述のデータ移行費も、見落とされがちな隠れコストの一つです。

連携・オプション費用

基本機能だけでは足りず、後からオプションを追加して費用が想定を上回ることもあります。たとえば、予約システムやWeb問診、オンライン診療といった機能を連携させる際に、別途料金が発生する製品は少なくありません。

導入してから「この機能は追加費用が必要だった」と気づくケースを避けるには、自院に必要な機能をあらかじめ洗い出しておくことが大切です。見積もりを取る段階で、必要な連携やオプションをすべて含めた金額を提示してもらうと、製品ごとの比較が正確になります。

電子カルテの費用を抑えるポイント

電子カルテの費用を抑えるポイント

電子カルテは決して安い買い物ではありませんが、工夫しだいで費用を抑えることは可能です。無理なく導入するための、具体的なポイントを確認しましょう。

複数社の見積もり比較と必要機能の絞り込み

費用を抑える基本は、複数の製品から見積もりを取り、比較することです。一社だけで決めてしまうと、価格や機能が自院に見合っているかを判断しにくくなります。比較の際は、初期費用と月額、隠れコストまで含めた総額で並べることが大切です。

あわせて、自院に本当に必要な機能を見極めることも欠かせません。多機能な製品は魅力的に見えますが、使わない機能のために費用を払うのは無駄になります。

診療科や規模に照らして、必須の機能とあれば便利な機能を切り分け、過不足のない構成を選ぶことが、結果として費用の最適化につながります。導入前にデモやトライアルで使い勝手を確かめておくと、ミスマッチも防げます。

補助金の活用と段階的導入

導入費用の負担を軽くする手段として、補助金の活用も検討しましょう。中小企業や小規模事業者のITツール導入を支援する制度は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が変わり、従来のIT導入補助金を引き継いでいます。電子カルテなどが対象となる場合があり、医療機関向けには医療情報化支援基金といった支援もあります。

ただし、補助金は対象や金額、申請期間が年度ごとに変わるため、必ず最新の公募内容を確認してください。

あわせて、すべてを一度にそろえず、必要な機能から段階的に導入する進め方も有効です。予約から問診・オンライン診療・決済までを一体化できるmarchのような仕組みを活用すれば、周辺システムを個別にそろえるより効率よく運用を整えられます。

まとめ

電子カルテの費用は、初期費用とランニングコスト、更新費用を合わせた総額で考えることが重要です。一般にクラウド型は初期費用を抑えやすく、オンプレミス型は初期費用が高い一方でカスタマイズ性に優れます。

レセコン形態やライセンス数、データ移行や周辺システム連携によっても変動するため、複数社の見積もり比較が欠かせません。補助金も活用しながら、予約やオンライン診療との連携まで見据えて選びましょう。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属