医療機関でオンライン研修を実施するにあたり「研修が必要」という言葉を見聞きし、具体的にどうすればいいのかと疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では、オンライン診療研修の内容に加えて、申し込みから導入の流れ、注意点を詳しく解説していきます。これからオンライン診療研修の受講を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
オンライン診療研修とは
オンライン診療研修とは、厚生労働省が発表している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で定められている研修のことです。情報通信機器の使用や情報セキュリティなど、オンライン診療を実施する際に必須となる知識の取得を目的としています。
受講するためには、厚生労働省の専用ページから申し込む必要があります。研修はe-learning形式のため、パソコンやスマホで受講が可能です。なお、申請の際は「医籍登録番号」が必要なため、申し込む前に医師等資格確認検索システムで登録番号を控えておきましょう。
オンライン診療研修が必須となった背景
2023年7月31日以前は、新型コロナウィルスの拡大により、電話・オンラインによる診療の診療報酬上の算定が特例として認められていました。
しかし、8月以降も引き続きオンライン診療を実施する場合は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿った診療を行う必要があります。したがって、今後もオンライン診療を実施する場合は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に則り、オンライン診療研修を受講しなければいけません。
オンライン診療研修の試験に合格して、地方厚生局へ届出を提出することで、オンライン診療を実施できるようになります。
オンライン診療研修のプログラム内容
オンライン診療の研修プログラムには、下記の3種類があります。
- オンライン診療を行う医師向けの研修
- 緊急避妊薬の処方に関する研修
- へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修
それぞれの研修には、1~5つの科目が設けられており、科目ごとに動画講義・テキスト・演習問題が用意されています。演習問題は科目ごとに10問用意されており、一定以上の正答率を達成することで合格となります。
ここでは、各研修の内容を詳しく解説していきます。
1.オンライン診療を行う医師向けの研修
「オンライン診療を行う医師向けの研修」とは、厚生労働省が策定する「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で受講を義務づけている研修です。
「オンライン診療を行う医師向けの研修」を受講して合格しなければ、指針に反することとなり、オンライン診療は実施できません。オンライン診療を行う医師向けの研修には、次の5つの科目が設けられています。
- オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度
- オンライン診療の提供にあたって遵守すべき事項
- オンライン診療の提供体制
- オンライン診療とセキュリティ
- 実臨床におけるオンライン診療の事例
主な目的としては、指針や制度の遵守や情報通信機器の使用、情報セキュリティ等に関する知識の習得です。5つの科目全てに10問の演習問題が用意されており、一定以上の正答率を達成して合格となります。
2.緊急避妊薬の処方に関する研修
令和元年7月、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂により、初診のオンライン診療でも例外的に緊急避妊薬の処方が可能となりました。
「緊急避妊薬の処方に関する研修」とは、産婦人科以外の医師が緊急避妊薬を処方する場合に受講が義務づけられている研修のことです。下記の2つが研修科目となります。
- 経口避妊薬(OC)について理解すべき事項-各種避妊法とOC全般
- 緊急避妊(Emergency Contraception:EC)
「オンライン診療を行う医師向けの研修」と同様に、科目ごとに10問の演習問題が設けられており、一定以上の正答率を達成して合格となります。
3.へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修
令和6年の診療報酬改定により「看護師等遠隔診療補助加算」が新設されました。
看護師等遠隔診療補助加算とは、へき地診療所やへき地医療拠点病院がD to P with N(看護師を介して実施するオンライン診療)を実施した場合に評価される診療報酬のことです。
算定するには、厚生労働大臣が定める施設基準に適合している必要があります。施設基準に適合するためには、医師が「へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修」を修了していなければなりません。
研修科目は「へき地における患者が看護師といる場合のオンライン診療」の一つです。10問の演習問題に解答して、一定以上の正答率を達成して合格となります。
オンライン診療研修の申し込みから導入までの流れ
オンライン診療の導入に向けて、研修から実施までの流れを把握しておきましょう。流れを把握していないと、手続きに漏れが発生してしまい、オンライン診療の導入に相当な時間を要してしまいます。
ここでは、オンライン診療研修の申し込みから導入までの流れを5ステップで解説します。
1.オンライン診療システムを導入する
オンライン診療を実施するためには、ツール・システムを導入し、環境を整えなければなりません。具体的には、ZoomやGoogle MeetなどのWebサービスの導入や、ビデオ通話を実施するためのパソコン・タブレットの準備が必要です。
また、オンライン診療システムを導入するのも選択肢の一つです。オンライン診療システムを導入することで、患者からの予約受付や診療録を作成など、クリニックの業務を自動化でき、業務の効率化を図れます。また、高画質なビデオ通話機能により、対面診療に近い環境で診察が可能となります。
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2.施設基準を満たす環境を整える
オンライン診療を実施するためには、次の2つの施設基準を満たす必要があります。
- 情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されている
- オンライン指針に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関である
「情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制」とは、対面診療を提供できる、他の保険医療機関と連携できる体制を指します。
詳しくは、厚生労働省の「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」をご覧ください。16ページの「情報通信機器を用いた診療」で確認できます。
3.地方厚生局へ届出をする
施設基準を満たす環境を整えた後は、地方厚生局へ施設基準の届出を提出します。提出する書類は、次の2つです。
- 基本診療料の施設基準等に係る届出書
- 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類
各書類を提出後、地方厚生局より正式に受理されれば、オンライン診療を実施できます。また、診療報酬の請求も可能となります。不明点や疑問がある場合は、事前に地方厚生局に相談してください。
各書類は、以下のURLからダウンロードできます。
北海道厚生局:基本診療料の届出一覧
東北厚生局:基本診療料の届出様式
関東信越厚生局:基本診療料の届出一覧
東海北陸厚生局:基本診療料の届出様式
近畿厚生局:基本診療料の届出様式
中国四国厚生局:基本診療料の届出一覧
九州厚生局:令和4年度診療報酬改定に係る施設基準の届出等
4.オンライン診療研修を受講・修了書の発行する
オンライン診療を実施するためには「オンライン診療を行う医師向けの研修」に合格し、修了書を発行しなければなりません。
先述のように、オンライン診療研修には、下記の3つがあります。
- オンライン診療を行う医師向けの研修
- 緊急避妊薬の処方に関する研修
- へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修
オンライン診療で緊急避妊薬を処方する場合や、D to P with N型の診療(看護師を介して実施するオンライン診療)を実施する場合は、2や3の研修も受講しましょう。
なお、オンライン診療研修はe-learning形式であるため、インターネット環境があれば、場所と問わず好きなタイミングで受講できます。忙しい方でも、自身のペースで学習を進められるでしょう。
5.オンライン診療時の診療計画書を作成する
オンライン診療を実施するためには、事前に診療計画書を作成して、患者へ説明・同意を得なければなりません。厚生労働省の指針では、下記の項目を計画書に盛り込み、2年間の保存を義務づけています。
- オンライン診療で実施する具体的な診療内容
- オンライン診療・対面診療・検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)
- 診療時間・予約に関する事項
- オンライン診療で使用する情報通信機器
- オンライン診療が不可となる場合の条件
- オンライン診療は患者の協力も必須である旨
- 急病急変時の対応方針
- オンライン診療を担当する医師全員の氏名
- セキュリティリスクに関する責任の範囲の明確化
オンライン診療を実施する前に、各項目について十分に検討したうえで、計画書を作成しましょう。詳しくは、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」をご確認ください。16ページの「最低限遵守する事項」で確認できます。
オンライン診療研修の受講に関する注意点
オンライン診療研修をスムーズに終えるためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。下記の3つの点に注意しておきましょう。
- 安定したインターネット接続を確保する
- 医師等資格確認検索システムに事前登録する
- 修了証はPDFファイルで保管する
安定したインターネット接続を確保する
オンライン診療研修はインターネットを利用して受講するため、安定したインターネット環境が不可欠です。インターネットが不安定だと動画講義の読み込みが遅かったり、演習問題の回答送信に時間がかかったりすると、研修に支障をきたしてしまいます。
特に、講義中に動画が中断してしまうと、学習の流れが途切れてしまい、内容の理解が不十分になる恐れがあります。たとえ研修時に問題がなかったとしても、オンライン診療の際に回線が不安定になる可能性も否定できません。
診察時の回線不良は、医療機関にとっても致命的です。後に実施するオンライン診療をスムーズに進めるためにも、安定したインターネット環境を整えておくことをおすすめします。
医師等資格確認検索システムに事前登録する
オンライン診療を受講するためには、医師等資格確認検索システムに事前登録しなければなりません。厚生労働省は、医師等資格確認検索システムへの登録情報から、受講者の登録を行っているためです。
そのため、医師等資格確認検索システムへの登録が済んでいない方は、まずは登録の手続きから行いましょう。登録の有無について確認したい場合は、医師等資格確認検索システムより、医師名で検索をかけてみてください。
医師等資格確認検索システムに登録するには、「医師等資格確認検索システム掲載申請書」に必要事項を記入して、指定の送付先へ郵送する必要があります。具体的な登録手順については、厚生労働省の「オンライン診療研修お申込み」というページに記載されているため、参考にしてください。
修了証はPDFファイルで保管する
オンライン診療研修に合格すると、研修修了の証として修了証が発行されます。修了証はスクリーンショットではなく、必ずPDFで保存するようにしてください。
取得した修了証は、医療機関の公式サイトに掲載する義務がありますが、その際スクリーンショットでは認められないためです。スクリーンショットは画像データであるため、改ざんしやすい欠点があります。 正式な証明として使用するため、必ずPDFで保存しておきましょう。
PDFを保存する際は、ファイル名に「研修名」や「取得日」などを含めておくことをおすすめします。後から必要なときにすぐに探し出せるためです。なお、修了証データを失った場合でも、e-learningサイトのログインページから直接ダウンロードできます。修了証を保存し忘れた場合でも、再度研修を受講する必要はありません。
まとめ
オンライン診療を導入するには、厚生労働省が定めるオンライン診療研修を受講し、修了証を取得する必要があります。修了証と取得後は施設基準を満たし、オンライン診療の準備を始めていきましょう。
オンライン診療の準備では、必要な機器を揃えたりセキュリティの対策をしたりする必要があり、多くの時間や労力を要します。これらの準備負担を軽減するためにも、オンライン診療システムの導入をご検討ください。
オンライン診療システムを導入すれば、ビデオ通話に必要なツールを用意したり、詳細に設定したりする必要がありません。また、患者情報や診療情報などの個人情報を保護するために、高度なセキュリティ対策が施されているので安心です。
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この記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属