患者にとって利用しやすい環境を整えるために、オンライン診療システムの導入を検討する医療機関が増えています。しかし、オンライン診療システムを利用するには利用料が発生するため、「相場はいくらか」「医療機関が負担するのが一般的か」と疑問に思う人もいるでしょう。
この記事では、オンライン診療システムの利用料の相場や、利用料以外で発生する費用について詳しく解説します。
オンライン診療とは?
オンライン診療(遠隔診療)とは、スマートフォンやパソコン、タブレットなどのビデオ通話機能を活用して行う診療のことです。新型コロナウイルス感染症蔓延をきっかけに浸透していき、総務省のデータによると2021年6月末時点で医療機関全体の15.0%がオンライン診療を活用しています。受診行動の変化に伴い、これまで行われてきた通話による診療は、2023年8月より算定基準に含まれなくなりました。
規定の改正により、今後もオンライン診療を導入する医療機関は徐々に増え続けていくでしょう。日本オンライン診療研究会の調査によると、オンライン診療を導入している施設の57.1%が診療所であることがわかっています(2019年2月時点)。患者獲得の競争が激しい医院やクリニックでは、いち早くオンライン診療を導入する傾向にあるといえます。
オンライン診療のシステム利用料とは
オンライン診療のシステム利用料とは、オンライン診療のシステムを使うことによって発生する利用料のことです。診察代とは別で発生します。
オンライン診療のシステム利用料には、オンライン診療のシステム導入時にかかる導入費用やオンライン診療のシステムを使用し続けるための維持費、アップデートのための費用などさまざまなものが含まれます。そのため、一度の支払いではなく、継続して支払うことが一般的です。
オンライン診療のシステム利用料は医療機関負担?患者負担?
オンライン診療のシステム利用料は、「医療機関負担」と「患者負担」のどちらになるのか気になる人もいるでしょう。システム利用料は、どちらにも負担するケースがあるため、支払いに関するトラブルを引き起こさないためにも、慎重な判断が必要です。
ここでは、医療者側と患者側それぞれ負担するケースについて詳しく解説します。
医療機関側が負担するケース
導入費や維持費などシステムを利用するにあたりかかる費用が高額であれば、医療機関側が負担するケースが一般的でしょう。システム利用料は、オンライン診療システムを提供する会社によって異なります。
例えば、「初期費用のみ・月額無料」「初期費用無料・月額〇〇円」とさまざまです。月額費用は、数万円程度から数十万円程度と幅がありますが、料金が高いからといって「サービスの質がよい」とは限りません。費用に関わらず、自身の医療機関にマッチしたシステムを利用するとよいでしょう。
患者側が負担するケース
オンライン診療システム利用料は、患者にも請求することが可能です。請求する金額は、導入しているシステムの利用料によるため、医療機関の判断となります。しかし、あまりに患者の負担が大きいと、オンライン診療導入による受診促進の効果は期待できないでしょう。
患者側に請求している多くの医療機関では、1,000円~2,000円程度に設定されていることが多いです。
患者が負担する場合は事前説明と同意が必要
オンライン診療のシステム利用料を患者側に負担してもらう場合は、「療養の給付と直接関係ないサービス等の費用」として、患者に説明をして同意を得る必要があります。しかし、患者に負担をかけてしまうため、多くの医療機関では、医療機関負担としています。
患者負担とする場合は、患者がオンライン診療後の請求金額の違いに違和感を感じることのないよう、事前説明を徹底し、医療スタッフ全員にもシステム利用料について周知しておきましょう。
システム利用料以外で医療機関・患者が負担する費用
医療機関や患者は、システム利用料以外にもオンライン診療料や決済手数料など、さまざまな費用を負担する必要があります。ここでは、オンライン診療にまつわる費用負担を理解しておきましょう。
オンライン診療料
オンライン診療料とは、オンライン診療を利用している患者1人につき1回算定できる費用のことです。オンライン診療でも、対面診療と同様に健康保険が適用されます。2022年診療報酬改定より、オンラインによる初診は251点(2,510円)、再診料は73点(730円)と定められました。
対面診察と料金に大きな差はありませんが、システム手数料や配送料を加えると患者の負担が大きくなります。そのため、「診察料無料」「配送料無料」と差別化を図るクリニックも増えています。
決済手数料
オンライン診療の支払いでは、クレジット決済が一般的です。そのため、決済手数料を考慮する必要があるでしょう。決済手数料の相場は3.5~4%程度ですが、利用するオンラインシステムや、対象とするクレジットカードによって異なります。
決済手数料は、医療機関担としている場合が多いですが、もし患者負担とする場合には、「療養の給付と直接関係ないサービス等の費用」に該当するため患者への説明と同意を得ることが必須です。
処方箋料
オンライン診療の処方箋料は、280円(薬剤投与管理加算)または680円(情報通信機器を用いた場合の処方箋料)が患者負担となります。
薬剤を処方する場合は、薬局の収入である調剤報酬の請求も必要です。
オンライン診療の導入に関する注意点
自身のクリニックとオンライン診療のミスマッチが生じると、オンライン診療の導入により、損失が発生してしまうこともあるでしょう。そうした事態にならないよう、これから紹介する注意点をあらかじめ押さえておくことが大切です。
処方できない薬がある
オンライン診療では、睡眠剤や免疫抑制剤、抗不安薬等の向精神薬など、副作用のリスクが高い薬剤の処方はできません。また、医師の管理が必要となる麻薬関係の処方もできません。そのため、これらの薬を処方する可能性のある「精神科」や「心療内科」は、オンライン診療の導入は慎重に検討した方がよいでしょう。
精神科・心療内科のクリニックでオンライン診療を導入する場合は、対面で薬剤を処方、オンラインで経過観察と分けて実施するケースが一般的です。
初診の方はオンライン診療ができない可能性も
現在は、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、初診でもオンライン診療ができるようになっています。しかし、今後の情勢によっては初診の場合オンライン診療が不可となることも考えられます。また、原則としてかかりつけ医など、患者の状態を把握している医師による再診は、オンライン診療で受けることは推奨されていません。
ただし、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合は実施できます。そのため、これから初診の患者を多く取り入れようと考えている方も注意が必要です。
まとめ
オンライン診療システムの利用料は、利用する診療システムによって異なります。また、医療機関側が負担する費用か患者側が負担する費用の判断も導入する診療システムによって変わるでしょう。そのため、費用面も含めて自分の医療機関にマッチするオンライン診療システムを選ぶことが大切です。とはいえ、数多くのサービスから選び出すことは、相当な労力がかかるでしょう。
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この記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属