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電子処方箋の使い方とは?導入手順・運用の流れを解説

2026.08.07

クリニックへの影響と必要な対応

電子処方箋の導入を検討しているものの、「何から準備すればよいのか」「実際の運用はどう進めるのか」と悩むクリニックも多いのではないでしょうか。スムーズに導入・運用するには、事前準備から日々の業務フローまでを把握しておくことが大切です。

本記事では、電子処方箋の導入準備や申請手順、診療現場での運用フロー、患者への案内方法、運用時の注意点までを分かりやすく解説します。 

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電子処方箋を使うための事前準備

電子処方箋を使い始めるには、いくつかの準備が欠かせません。まずは、土台となるシステムと、処方箋の発行に必須となる電子署名の準備について確認しましょう。

オンライン資格確認とシステム対応

電子処方箋を利用するには、まずオンライン資格確認の環境が整っている必要があります。電子処方箋管理サービスは、オンライン資格確認の基盤上で運用されるためです。

すでにオンライン資格確認を導入している場合、顔認証付きカードリーダーなどの設備は整っています。

そのうえで、利用中の電子カルテやレセコンが電子処方箋に対応しているかを確認しましょう。未対応の場合は、改修やシステム変更に時間や費用がかかるため、早めにベンダーへ相談することが大切です。

まずは、自院のシステム環境で電子処方箋を利用できる状態かを把握することが、導入準備の第一歩です。

HPKIカード・電子署名の準備

電子処方箋の発行には、医師による電子署名が必須です。この電子署名に使われるのが、医師資格を電子的に証明するHPKIカードです。HPKIカードは、日本医師会などに個人で申請して取得します。

発行までに一定の時間がかかるため、早めの申請が肝心です。なお、電子処方箋のシステム導入前でも、電子署名の申請自体は行えます。近年は、HPKIカードに加え、マイナンバーカードを活用した電子署名にも対応が広がっています。

あらかじめ登録しておけば、スマートフォンの生体認証などを使い、カードを持ち歩かずにリモートで署名する方法も選べます。電子署名ができないと処方箋を発行できないため、導入準備の重要な項目です。

電子処方箋の導入ステップ

電子処方箋の導入ステップ

準備の見通しが立ったら、実際の導入手続きに進みます。申請から運用開始まで、どのような順番で進めるのか、全体のステップを押さえておきましょう。

利用申請・システム導入の申し込み

電子処方箋の導入は、利用申請から始まります。医療機関等向けの総合ポータルサイトを通じて、電子処方箋管理サービスの利用を申請します。オンライン資格確認をすでに利用している場合は、その延長として手続きを進められます。

あわせて、電子カルテやレセコンのベンダーへ、電子処方箋対応に向けたシステム改修や設定を申し込みます。この対応が導入準備の大きな工程となるため、ベンダーごとの対応時期や内容を確認し、早めにスケジュールを調整しておくことが大切です。

申請とシステム改修は並行して進むことが多いため、全体の流れを把握することで、手戻りなく進めやすくなります。また、導入時期によってはベンダーの対応に時間を要する場合もあるため、余裕を持った準備を心がけましょう。  

医薬品マスタ整備・院内テスト・運用開始日の登録

システム改修が完了したら、運用開始に向けた準備を進めます。まずは、処方に使用する医薬品情報を管理するマスタを整備し、電子処方箋で正しく扱えるよう設定します。

その後、実際の運用を想定した院内テストを行い、処方入力から電子署名、登録までの流れを確認します。

テストとあわせて、医師やスタッフが操作に慣れておくことも重要です。問題なく運用できることを確認したら、総合ポータルサイトで運用開始日を登録します。開始日は、スタッフの習熟度や院内の準備状況を踏まえて余裕を持って設定すると、導入後の混乱を防ぎやすくなります。

診療現場での使い方(操作フロー)

診療現場での使い方(操作フロー)

導入が完了したら、いよいよ日々の診療での運用です。受付から会計まで、電子処方箋を使う際の一連の操作フローを、場面ごとに具体的に見ていきましょう。

受付:処方箋の発行形態の選択

電子処方箋の運用は、受付時の確認から始まります。患者が来院したら、マイナンバーカードや健康保険証でオンライン資格確認を行い、過去の薬剤情報や診療情報の提供への同意を確認します。同意が得られた場合、医師は他院での処方状況も踏まえて診療できます。

また、処方箋を電子・紙のどちらで発行するかも確認します。電子処方箋は医療機関や薬局によって対応状況が異なるため、利用予定の薬局が対応しているか案内することも必要です。

受付時に確認を済ませておくことで、診察から会計までを円滑に進められます。スタッフ間で対応を共有し、患者へわかりやすく説明できる体制を整えましょう。

診察:電子署名と処方登録

診察では、医師が電子カルテなどへ処方内容を入力します。

電子処方箋管理サービスと連携しているため、入力時には他院を含む過去の処方情報と照合され、重複投薬や危険な飲み合わせをチェックできます。警告が表示された場合は、内容を確認したうえで処方を判断します。

処方内容が確定したら、HPKIカードやマイナンバーカードを使って電子署名を行い、処方情報を電子処方箋管理サービスへ登録します。この電子署名は、紙の処方箋における記名押印に代わる正式な手続きです。

登録後は、薬局が処方情報を取得できる状態になります。これにより、薬局側でも最新の処方内容を速やかに確認でき、調剤までを円滑に進めやすくなります。 

会計:処方内容控え・引換番号の受け渡し

会計時には、患者へ「処方内容(控え)」を渡します。これは正式な処方箋ではなく、処方された薬の内容を確認するための書面です。控えには、薬局で処方情報を取得する際に使用する引換番号が記載されています。

患者は薬局でマイナンバーカードを提示するか、引換番号を伝えることで薬を受け取れます。マイナンバーカードを利用する場合は、引換番号の提示は不要です。会計時に薬局での受け取り方法を簡単に案内しておくと、患者も安心して利用できます。

患者への案内と薬局への引き継ぎ

患者への案内と薬局への引き継ぎ

電子処方箋を円滑に運用するには、患者への丁寧な案内と、薬局とのスムーズな連携が欠かせません。それぞれのポイントを確認しておきましょう。

患者への説明・電子版お薬手帳の案内

電子処方箋は、患者にとってまだなじみの薄い仕組みです。そのため、初めて利用する患者には丁寧な説明が求められます。

紙の処方箋との違いや、薬局での薬の受け取り方、引換番号やマイナンバーカードの使い方をわかりやすく伝えましょう。特に、電子処方箋に対応していない薬局もある点は、あらかじめ案内しておくと親切です。

あわせて紹介したいのが、電子版お薬手帳です。マイナポータルと連携すれば、患者は自分の処方や調剤の履歴をスマートフォンで確認できます。

飲んでいる薬を自分で把握しやすくなり、服薬の管理に役立つほか、医療機関をまたいで受診する場合でも処方履歴を確認しやすく、継続的な服薬管理にもつながります。

薬局での受け取りと連携

電子処方箋では、処方情報が電子処方箋管理サービスを介して薬局へ共有されます。患者が薬局でマイナンバーカードを提示するか引換番号を伝えると、薬局は最新の処方情報を取得して調剤します。

紙の処方箋のように、原本を薬局へ持参したり、クリニックが郵送したりする必要がありません。オンライン診療の場合でも、処方情報が電子的に届くため、患者は薬局での受け取りや配送で薬を入手できます。

薬局とスムーズに連携するには、日ごろから近隣の薬局が電子処方箋に対応しているかを把握しておくことも大切です。対応状況を踏まえて患者を案内できれば、受け取りの行き違いを防ぎやすくなります。医療機関と薬局が同じ処方情報を共有できることは、電子処方箋ならではの大きな強みといえるでしょう。

使う上での注意点とトラブル対処

使う上での注意点とトラブル対処

電子処方箋を運用する際は、紙の処方箋との併用が続くことを前提に準備しておく必要があります。患者が利用する薬局が電子処方箋に対応していない場合もあるため、紙でも発行できる体制を残しておくと安心です。

また、医薬品マスタの管理も重要です。新しい薬の追加や情報更新が正しく反映されていないと、適切な処方ができない可能性があります。

定期的に内容を確認し、常に最新の状態を保ちましょう。さらに、システム障害や通信トラブルへの備えも欠かせません。電子処方箋が利用できない場合に備え、紙の処方箋へ切り替える手順などを事前に決めておくことで、トラブル時も落ち着いて対応できます。

あわせて、電子署名や操作に関するスタッフ研修も必要です。医師だけでなく、受付や会計を担当するスタッフも流れを理解しておくことで、安定した運用につながります。

電子処方箋はオンライン診療とも相性がよく、予約・問診・診療・決済までをLINEやWebで一元管理できるmarchのようなシステムと組み合わせることで、診察から服薬までの流れをより効率化できます。

まとめ

電子処方箋の使い方は、事前準備から運用まで順を追って進めることが大切です。オンライン資格確認とシステム対応、医師の電子署名の準備を整え、利用申請とシステム改修、テストを経て運用を開始します。

診療現場では、受付での発行形態の確認、診察での電子署名と登録、会計での控えの受け渡しが基本の流れです。患者への案内や薬局との連携も含め、オンライン診療と一体運用できるmarchも活用しながら導入を進めましょう。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属