クリニックの数が増えるなか、患者に選ばれるためには診療の質だけでなく、自院を知ってもらうための情報発信や来院後の満足度を高める工夫が欠かせません。
クリニックマーケティングでは、新規患者の集患だけでなく、継続して通ってもらう仕組みづくりも重要です。
本記事では、クリニックマーケティングの基本的な考え方から、オンライン・オフラインの集患施策、再診率を高めるポイント、医療広告ガイドライン上の注意点まで解説します。
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クリニックマーケティングとは
クリニックマーケティングとは、患者に選ばれ、継続して通ってもらうための取り組みです。まずは、その基本的な考え方と、患者の受診行動がどのように変化しているのかを確認しましょう。
集患マーケティングの考え方
クリニックの集患では、ただ患者数を増やすだけでなく、自院を必要としている人に適切な情報を届ける視点が重要です。どのような患者に来てほしいのかを明確にし、その層に届く方法で情報を発信することで、来院のきっかけをつくれます。
さらに、来院後の満足度を高め、継続して通ってもらうための仕組みづくりも欠かせません。新しい患者を集める新規集患と、既存の患者に通い続けてもらう再診対策は、どちらもクリニック経営を支える重要なポイントです。特に競合の多い地域では、自院の強みや特徴を明確に伝えることが、選ばれるための鍵になります。診療の質という土台に、患者へ届ける工夫を重ねることが大切です。
患者の受診行動の変化
マーケティングを考えるうえで見逃せないのが、患者の受診行動の変化です。以前は、近所だから、看板を見かけたからといった理由で受診先を選ぶ人も多くいました。
しかし現在は、多くの人がまずスマートフォンで検索し、情報を調べてから受診先を決めています。「地域名+診療科」で検索し、表示されたクリニックのホームページや口コミを比較し、予約のしやすさまで確認したうえで来院する流れが一般的です。
つまり、患者はより多くの情報をもとに比較しながらクリニックを選ぶようになっています。この変化に対応するには、オンライン上で見つけてもらい、信頼につながる情報を整えることが欠かせません。患者目線で情報発信を見直すことが、集患の出発点になります。
オンラインの集患施策

現在、集患の中心はオンライン施策へと移っています。検索で見つけてもらう取り組みから、患者との関係を維持する方法まで、代表的なオンライン施策を見ていきましょう。
ホームページ・SEO・MEO
オンライン集患の土台となるのが、ホームページです。診療内容やアクセス、診療時間、医師の紹介などをわかりやすく掲載し、患者が安心して受診を決められる情報を整える必要があります。スマートフォンで見やすい設計も欠かせません。
あわせて取り組みたいのが、検索からクリニックを見つけてもらうための対策です。通常のWeb検索で上位表示を目指すSEOと、地図検索で表示を高めるMEOがあります。特にMEOは、Googleビジネスプロフィールを整え、「近くの内科」などの検索で地図上に表示されやすくする施策で、来院につながりやすい特徴があります。
ホームページで信頼感を高め、SEOやMEOで見つけてもらう。この組み合わせが、オンライン集患の基本となります。
Web広告・SNS・ポータルサイト
より多くの人に認知を広げたい場合は、Web広告も有効な手段です。検索結果に表示されるリスティング広告などを活用すれば、開業直後など早期に患者へ情報を届けたい時期にも役立ちます。ただし費用が発生するため、目的や予算を踏まえて活用することが大切です。
SNSも、情報発信や患者との距離を縮める手段として活用できます。健康に関する役立つ情報を発信することで、クリニックへの安心感や親しみにつながります。また、医療機関の情報を掲載するポータルサイトへの登録も、患者との接点を増やす方法の一つです。
それぞれの施策には異なる役割があります。自院の目的や患者層に合わせて、複数の方法を組み合わせることが効果的です。
LINE・メルマガによる関係維持
集患では、新しい患者を増やすだけでなく、一度来院した患者との関係を維持することも重要です。その手段として活用できるのが、LINEやメールマガジンです。
友だち登録やメール登録をしてもらうことで、季節の健康情報や予防接種の案内、休診のお知らせなどを直接届けられます。定期的に接点を持つことで、体調不良時に受診先として思い出してもらいやすくなります。
患者にとって役立つ情報を適切な頻度で届けることが、長期的な関係づくりにつながります。
オフラインの集患施策

オンラインが主流になった今も、地域に根ざしたオフラインの施策は依然として有効です。リアルな接点ならではの強みを持つ取り組みを確認しましょう。
看板・内覧会・チラシ
クリニックの存在を地域に知らせる基本的な手段が、看板です。通りがかった人の目に留まりやすく、場所や診療科を覚えてもらう役割があります。見やすく、何を診療しているのかがひと目で伝わるデザインが適しています。
開業時に効果を発揮するのが、内覧会です。院内の雰囲気を実際に見てもらい、医師やスタッフと接することで、受診前の不安を和らげられます。地域へのあいさつの機会としても活用できます。
また、チラシのポスティングや新聞折り込みは、インターネットを利用しない層にも情報を届けられる方法です。配布エリアを絞ることで、近隣住民へ効率よく認知を広げられます。
地域連携・紹介
見落とされやすいものの、地域の医療機関との連携も重要な集患の一つです。近隣の病院や他科のクリニックと関係を築いておくことで、専門的な治療が必要な患者を適切につなげられます。
例えば、総合病院から地域のクリニックへ、またクリニックから専門病院へ患者を紹介するなど、医療機関同士で役割を補完する関係です。こうした連携は、患者に切れ目のない医療を提供するとともに、安定した紹介にもつながります。
さらに、既存患者からの口コミや紹介も、信頼性の高い集患経路です。患者が家族や知人に勧めたいと思えるよう、日々の診療や対応の質を高めることが長期的な集患を支えます。
再診率・患者体験の向上

新規の集患ばかりに目が向きがちですが、経営を安定させるには、来院した患者に通い続けてもらうことが欠かせません。再診率を高める患者体験の工夫を見ていきましょう。
予約のしやすさ・待ち時間短縮
患者が通い続けるかどうかは、予約の取りやすさや待ち時間にも大きく左右されます。電話がつながらない、希望日に予約できないといった不便は、受診をためらうきっかけになりかねません。
24時間いつでも予約できるWeb予約やLINE予約を導入すると、患者は都合のよいタイミングで予約でき、来院時の負担を抑えられます。また、長い待ち時間も患者満足度を下げる要因の一つです。予約制や順番待ちシステムを取り入れることで、待ち時間の短縮を図れます。
予約から問診・オンライン診療・決済までをLINEやWebで一体化できるmarchのような仕組みを活用すれば、予約の利便性を高めながら受付業務の効率化も可能です。患者とスタッフ双方が利用しやすい診療環境づくりに役立つでしょう。
説明・フォローによる継続受診
再診率を高めるには、診療時の体験も重要な要素です。患者の話を丁寧に聞き、治療内容や今後の見通しをわかりやすく説明することで、安心感や信頼につながります。
一方で、説明が不十分なまま不安が残ると、別の医療機関を選ばれる可能性もあります。診察時には、次回受診の目安や治療の流れを伝えておくことが、継続的な通院につながります。
慢性疾患の患者には、定期的な受診の必要性を説明し、次回予約を促すことも効果的です。
さらに、受診後のフォロー連絡などで患者を気にかける姿勢を示すことで、大切にされているという安心感が生まれます。一人ひとりに寄り添った対応が、長く通ってもらえる関係づくりにつながります。
医療広告ガイドラインと進め方の注意点

クリニックのマーケティングには、一般の業種にはない特有のルールがあります。安心して施策を進めるために、守るべき規制と、効果的に運用するための考え方を確認しましょう。
医療広告ガイドラインの遵守
クリニックの広告や情報発信は、医療法にもとづく医療広告ガイドラインの規制対象です。対象となる媒体は、ホームページやSNS、Web広告など多岐にわたります。ガイドラインは2024年9月に改正され、厚生労働省による監視体制も強化されています。
禁止されている表現には、事実と異なる虚偽広告、他院より優れていると示す比較優良広告、根拠なく効果を強調する誇大広告などがあります。
また、患者自身の体験にもとづく治療内容や効果の口コミ掲載も認められていません。ビフォーアフター写真についても原則禁止であり、費用やリスクなど必要な情報を併記する限定解除の要件を満たした場合に限り掲載できます。
特に注意したいのが口コミの扱いです。割引や特典と引き換えに好意的な口コミを依頼する行為は、規制に抵触する可能性があるため避ける必要があります。
効果測定と外注の判断
マーケティングは、施策を実施するだけで終わりではありません。どの取り組みが成果につながっているかを把握し、改善を重ねることが大切です。
ホームページのアクセス数や予約につながった経路、新患が自院を知ったきっかけなどを確認することで、効果の高い施策を見極められます。来院時に「何をきっかけに当院を知りましたか」と尋ねるだけでも、今後の改善に役立つ情報を得られます。
一方で、これらの施策をすべて院内で対応するには負担も伴います。ホームページ制作やWeb広告運用など専門的な分野は、外部の専門会社へ依頼する方法もあります。
その際は、医療広告ガイドラインへの理解がある会社を選ぶと安心です。自院で対応する範囲と外部へ任せる部分を整理し、無理なく継続できる体制を整えましょう。
まとめ
クリニックマーケティングは、患者に選ばれ、継続して通ってもらうための取り組みです。ホームページやSEO・MEO、Web広告などのオンライン施策と、看板や地域連携などのオフライン施策を、自院の状況に合わせて組み合わせることが重要です。
予約のしやすさや診療時の説明など、患者体験を高める工夫も再診率向上に役立ちます。医療広告ガイドラインを遵守しながら、予約から診療までの流れを整え、効率的な運営を目指しましょう。
最短10秒、かんたんこの記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

