オンライン診療は、通院が難しい患者の受診機会を広げるだけでなく、医療機関の診療体制を柔軟にする手段として注目されています。
2026年4月にはオンライン診療に関する医療法上の規定が施行され、医療機関には届出やオンライン診療基準への対応が求められるようになりました。
厚生労働省の通知でも、令和8年4月1日からオンライン診療関係の規定が施行されることが示されています。一方、オンライン診療を保険診療として行うには、診療報酬上の要件や施設基準・患者への説明・対面診療との連携体制などを正しく理解する必要があります。
本記事では、オンライン診療の保険適用に関する基本的な考え方と、算定時に確認したい実務上のポイントを解説します。
最短10秒、かんたん最新の診療報酬改定におけるオンライン診療の確認ポイント

オンライン診療の保険適用では、点数だけでなく、対象患者、実施方法、施設基準、届出状況をあわせて確認することが重要です。
オンライン診療に関する評価・算定要件の見直し
オンライン診療は、診療報酬上「情報通信機器を用いた診療」として評価される場面があります。令和6年度診療報酬改定でも、情報通信機器を用いた診療に関する評価の見直しや、情報通信機器を用いた通院精神療法などの新たな評価が示されました。
厚生労働省の資料では、通院精神療法について情報通信機器を用いて行った場合の評価が新設されたことが確認できます。
2026年度以降も、オンライン診療を保険診療として運用する際には、最新の診療報酬改定資料や告示、疑義解釈を確認する必要があります。
初診・再診・医学管理料・精神科領域・在宅医療との組み合わせなど、診療内容によって算定可否や要件が異なるため注意しましょう。
医学管理料などをオンラインで算定する際の注意点
オンライン診療では、通常の診察料に加えて医学管理料などを算定できる場合があります。ただし、すべての管理料がオンラインで同じように算定できるわけではありません。
対象疾患・過去の対面診療の有無・診療計画・患者の状態・指導内容・記録の残し方など、細かな要件まで含めた確認が求められます。
たとえば、情報通信機器を用いた精神療法では、同一の疾病に対して過去1年以内に対面診療を行ったことがある患者であることなどが示されています。オンラインで実施できる診療行為であっても、算定には条件が付く場合があります。
実務では「オンラインで診療したから算定できる」と考えるのではなく、診療報酬上の施設基準・対象患者・実施頻度・記録要件を一つずつ確認することが欠かせません。
レセコンに任せきりにせず、院内で算定ルールを共有しておくことで、算定漏れや誤算定を防ぎやすくなります。
【要注意】算定に必須となる「施設基準」と「届出制度」の仕組み

オンライン診療を保険診療として安定運用するには、診療報酬上の施設基準に加え、医療法上の届出制度も確認する必要があります。
1. 都道府県への「オンライン診療を行う旨」の届出と算定実務
2026年4月以降、オンライン診療を行う医療機関はその旨を都道府県知事等へ届け出る制度の対象となりました。
厚生労働省の通知では、病院または診療所の開設時に届け出る事項に「勤務する医師又は歯科医師がオンライン診療を行うときはその旨」を追加し、変更時も10日以内に届け出ることが示されています。
この届出は医療法上のオンライン診療の運用体制を把握するための制度です。診療報酬の算定要件とは別の制度ですが、オンライン診療を適切に実施するためには、届出状況や院内体制をあわせて把握しておくことが欠かせません 。
実務上は、オンライン診療を開始する前に、医療法上の届出・診療報酬上の施設基準・オンライン診療の適切な実施に関する指針への対応をあわせて整理しておくと安心です。自治体によって案内や様式が示される場合もあるため、都道府県の最新情報も確認しましょう。
2. 緊急時の対面診療連携体制をどう確保するか
オンライン診療は、対面診療と同じ情報量を得られるわけではありません。触診・聴診・検査が必要な場合には、オンラインのみで判断せず対面診療へつなぐ必要があります。
厚生労働省のオンライン診療に関するページでも、オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本とされています。保険診療として算定する場合にも、患者の安全を確保するため、緊急時や症状悪化時の対応フローを整えておきましょう。
自院で対面診療へ切り替える体制があるか、夜間や休診日に症状が悪化した場合の案内はどうするか、他院や地域医療機関と連携する場合のルールはあるか。こうした点を事前に確認しておくことで、トラブルを防ぎやすくなります。
3. 医療情報システムの安全管理ガイドラインに沿った体制整備
オンライン診療では、患者の診療情報・問診内容・決済情報・本人確認情報など、プライバシーな情報を取り扱います。保険診療として運用する場合でも、医療情報システムとしての安全管理は欠かせません。
厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」や医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストなどを案内しています。システム選定時には、通信の暗号化・アクセス権限の管理・ログ保存・バックアップ・障害時の対応・ベンダーの保守体制を確認しましょう。
保険算定のミスと漏れを防ぐための実務チェックポイント

オンライン診療の算定では、対象患者、診療内容、記録、レセコン入力、資格確認の各段階でミスが起こりやすくなります。
①レセコン連携と点数計算で起きやすいミスとその対策
オンライン診療の算定では、対面診療と異なる点数や要件が設定されている場合があります。レセコンに入力する際、診療区分・算定する管理料・オンライン実施の有無・施設基準の届出状況などを正しく反映できていないと、算定漏れや誤算定につながります。
特に、初診・再診の区分・過去の対面診療歴・医学管理料の算定要件・情報通信機器を用いた診療の対象患者かどうかは、院内で確認フローを明確にしておくことが大切です。
医師・受付・医療事務がそれぞれ別々に判断していると、入力内容にばらつきが出やすくなります。対策としては、オンライン診療用の算定チェックリストを作成し、診療前後の確認項目を統一することが有効です。
レセコンや電子カルテの設定を見直し、オンライン診療時に必要な項目が抜けないようテンプレート化しておくことで、実務上のミスを減らしやすくなります。
なお、marchはレセコン連携や点数計算を行うシステムではありません。算定そのものはレセコンや電子カルテ・医療事務側の確認体制で管理するものとして整理しましょう。
②オンライン資格確認・マイナ保険証対応の現状と実務上の注意点
オンライン診療では患者が来院しないため、本人確認や保険資格確認の流れをあらかじめ整理しておく必要があります。マイナ保険証やオンライン資格確認を活用する場合でも、患者側の操作や環境によってはスムーズに進まないことがあります。
実務では、予約時に保険証情報やマイナ保険証利用の有無を確認し、診療前に本人確認資料を提出してもらう運用を設計しておくとよいでしょう。初診・再診、保険診療・自由診療、処方の有無によって確認事項が変わるため、院内マニュアルを整えることが大切です。
高齢患者やスマートフォン操作に不慣れな患者には、オンライン資格確認や本人確認の手順を丁寧に案内することが求められます。 事前案内・電話サポート・LINEでの案内など、複数の導線を用意しておくことで、患者が途中で離脱するリスクを防ぎやすくなるでしょう。
自己負担額とシステム利用料の徴収に関する適正ルール

オンライン診療では、保険診療の自己負担に加え、システム利用料などの費用説明が必要になる場合があります。
負担割合別の自己負担シミュレーションと会計のデジタル化
保険診療としてオンライン診療を行う場合、患者の自己負担額は診療報酬点数と負担割合に応じて決まります。1割・2割・3割など患者ごとに負担割合が異なるため、会計時には正確な計算が必要です。
オンライン診療では診療後にオンライン決済を利用するケースもあります。会計のデジタル化により、患者は来院せずに支払いを済ませられ、医療機関側も窓口会計の負担を減らしやすくなります。
ただし、決済手数料・領収書や明細書の発行方法・返金対応などは事前に整理しておく必要があります。
患者から見ると、診療費・システム利用料・薬代・配送料などの違いがわかりにくい場合があります。どの費用が保険診療に関する自己負担で、どの費用が別途発生するものなのかを、診療前に明確に説明しましょう。
システム利用料の適切な設定と患者同意取得の手順
オンライン診療では、医療機関やシステムによって、システム利用料・通信費・予約料・配送関連費用などが発生する場合があります。これらを徴収する場合には、患者が内容を事前に理解し、同意したうえで利用できるようにすることが重要です。
特に保険診療では、保険診療分の自己負担と保険外で徴収する費用を混同しないように注意が必要です。費用の内訳・支払い方法・キャンセル時の扱い・領収書の発行方法をわかりやすく案内しておきましょう。
オンライン服薬指導や薬の配送を利用する場合、薬局側で別途費用が発生することもあります。クリニック側がすべての費用を管理しているように説明するのではなく、薬局やシステム提供会社の費用と分けて案内することが大切です。
まとめ
オンライン診療を保険診療として行うには、診療報酬上の算定要件だけでなく、医療法上の届出・オンライン診療基準・本人確認・セキュリティ対策・対面診療との連携体制を総合的に確認する必要があります。
2026年4月以降はオンライン診療を行う医療機関の届出制度も整備されており、運用体制の見直しがより重要になっています。
一方でオンライン診療は、患者の通院負担を軽減し、継続診療や慢性疾患フォローを支えやすくする手段でもあります。
算定漏れや誤算定を防ぐには、レセコンや電子カルテの設定・院内チェックリスト・スタッフ教育を整え、最新の診療報酬資料を確認しながら運用することが欠かせません。
Wrustyのmarchシリーズのように、LINEを起点とした患者対応・予約後フォロー・CRM・決済やEC管理を支援する仕組みを活用すれば、オンライン診療まわりの案内や継続支援を効率化しやすくなります。
ただし、レセコン連携や診療報酬の点数計算・処方や配送管理までをmarchの機能として断定することは避け、自院の電子カルテやレセコン・薬局連携と役割を分けて運用することが大切です。
最短10秒、かんたんこの記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属


