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クラウド型電子カルテとは?クリニックで導入するメリット・注意点・選び方を解説

2026.06.18

クラウド型電子カルテとは?クリニックで導入するメリット・注意点・選び方を解説

クラウド型電子カルテは、院内サーバーを持たず、インターネット経由で利用できる電子カルテです。初期費用や保守負担を抑えやすく、複数端末からアクセスしやすい点から、新規開業クリニックや小規模医療機関でも導入しやすい選択肢になっています。

一方で、医療情報を扱う以上、セキュリティ対策や障害時の運用、データ移行、他システム連携の確認は欠かせません。クラウド型だから必ず安全、必ず安いと判断するのではなく、自院の診療体制に合うかを見極めることが大切です。

本記事では、クラウド型電子カルテの基本、導入メリット、注意点、選び方を解説します。構成案では、オンプレミス型との違い、導入メリット、安全管理、標準化、選定ポイントが整理されています。

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クラウド型電子カルテとは?オンプレミス型との違い

クラウド型電子カルテとは?オンプレミス型との違い

クラウド型とオンプレミス型では、データ管理や保守方法、導入費用、障害時対応が異なります。まずは基本を押さえましょう。

クラウド型電子カルテの基本的な仕組み

クラウド型電子カルテは、ベンダーが用意するクラウド環境上で電子カルテを利用する方式です。医療機関はインターネットを通じてシステムにアクセスし、患者情報や診療記録を入力・閲覧します。

院内に専用サーバーを設置しないため、サーバー購入や保守管理の負担を抑えやすい点が特徴です。システム更新やバックアップをベンダー側が担うケースも多く、院内にIT担当者を置きにくいクリニックでも運用しやすい傾向があります。

また、端末を選びにくい製品であれば、受付、診察室、処置室、訪問診療先など、複数の場所から情報を確認しやすくなります。ただし、利用できる端末やブラウザ、接続環境は製品ごとに異なるため、導入前に確認しましょう。

オンプレミス型との違いと導入しやすさ

オンプレミス型は、院内にサーバーを設置して電子カルテを運用する方式です。院内ネットワークで利用するため、レスポンスが安定しやすく、独自のカスタマイズに対応しやすい場合があります。

一方で、サーバー購入、保守、バックアップ、障害対応などを医療機関側で管理する必要があり、初期費用や運用負担は大きくなりがちです。小規模クリニックや新規開業では、こうした負担が導入のハードルになることもあります。

クラウド型は、初期費用を抑えやすく、導入までの期間も比較的短くしやすい方式です。ただし、通信環境に依存するため、インターネット障害時の対応をあらかじめ決めておく必要があります。

クリニックがクラウド型電子カルテを導入するメリット

クラウド型電子カルテは、初期費用、保守、連携、訪問診療などの面でメリットがあります。自院の運用に合うか確認しましょう。

初期費用や保守負担を抑えやすい

クラウド型電子カルテは、院内サーバーを設置しないため、初期費用を抑えやすい傾向があります。サーバー機器の購入、設置スペース、保守契約などが不要または軽減されるため、開業時の資金計画にも組み込みやすい方式です。

また、システム更新や保守をベンダー側が行うことが多く、医療機関側の管理負担も減らせます。診療報酬改定や制度変更に伴うアップデートも、クラウド型であれば比較的反映しやすい場合があります。

ただし、月額利用料やオプション費用は継続的に発生します。初期費用だけでなく、5年程度の総コストで比較すると、導入後の費用感を把握しやすくなります。

予約・問診・会計システムと連携しやすい

クラウド型電子カルテの多くは、Web予約、Web問診、オンライン診療、キャッシュレス決済など、外部システムとの連携を前提に設計されています。これにより、受付から診察、会計までの流れを効率化しやすくなります。

たとえば、患者が事前にWeb問診を入力し、その内容が電子カルテに反映されれば、スタッフの転記作業を減らせます。予約情報や会計情報も連携できれば、受付業務の負担軽減につながるでしょう。

ただし、連携できるシステムは製品ごとに異なります。現在利用している予約システムや、今後導入したいオンライン診療・決済サービスと連携できるかを確認しておくことが重要です。

訪問診療や複数拠点運営にも対応しやすい

クラウド型電子カルテは、インターネット環境があれば院外から利用できる製品もあります。訪問診療や在宅医療を行うクリニックでは、外出先で患者情報や過去の診療記録を確認できることがメリットになります。

また、複数拠点を運営する場合にも、クラウド上で情報を管理できれば、拠点間の情報共有がしやすくなります。非常勤医師や複数医師で診療するクリニックでも、診療記録を確認しやすくなるでしょう。

一方で、院外アクセスにはセキュリティ上の注意が必要です。端末管理、アクセス権限、二要素認証、紛失時の対応ルールなどを整えておく必要があります。

クラウド型電子カルテ導入時に確認すべき注意点

クラウド型電子カルテ導入時に確認すべき注意点

クラウド型電子カルテを安全に使うには、セキュリティ、通信障害、データ移行の3点を必ず確認しましょう。

医療情報システムの安全管理ガイドラインへの対応

電子カルテには、患者の氏名、病歴、検査結果、処方内容など、機微な医療情報が保存されます。クラウド型を選ぶ場合でも、医療機関として安全管理責任がなくなるわけではありません。

厚生労働省は、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版を公表し、医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストも示しています。

導入前には、通信の暗号化、アクセス権限、ログ管理、バックアップ、データセンターの管理体制、ベンダーの保守体制を確認しましょう。院内でも、IDの使い回しを避ける、退職者のアカウントを停止する、端末管理を徹底するなどの運用が必要です。

障害時・通信トラブル時の運用ルール

クラウド型電子カルテは、インターネット接続を前提に利用します。そのため、通信障害やサービス障害が起きた場合の対応を事前に決めておくことが重要です。

たとえば、予備回線を用意する、モバイル回線へ切り替える、必要最低限の患者情報を確認できるバックアップを用意する、紙運用に切り替える手順を決めるなどの対策が考えられます。

また、障害発生時に誰がベンダーへ連絡し、スタッフへどう共有するのかも決めておきましょう。平常時は便利なクラウド型でも、非常時のルールがなければ診療現場が混乱します。

データ移行や解約時の取り扱い

電子カルテは長く使うシステムですが、将来的に乗り換えや解約が発生する可能性もあります。その際に問題になりやすいのがデータ移行です。

患者基本情報、過去カルテ、処方履歴、検査結果、紹介状などをどの形式で出力できるのか、移行費用はいくらか、解約後も一定期間データを閲覧できるのかを確認しましょう。

導入時には使いやすさに目が向きがちですが、出口戦略も重要です。データ出力機能が限定的だと、乗り換え時に手作業が増え、時間と費用がかかる可能性があります。

電子カルテの標準化とクラウド化の最新動向

電子カルテの標準化とクラウド化の最新動向

医療DXの進展により、電子カルテには標準化や外部連携への対応が求められています。将来性も確認しましょう。

医療DXで進む電子カルテ情報の標準化

厚生労働省は、電子カルテ情報共有サービスや標準型電子カルテ、電子カルテ・レセコンの標準仕様に関する情報を公表しています。電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関や薬局などで患者の電子カルテ情報を共有する仕組みとして整理されています。

今後、医療機関には、院内だけで完結する電子カルテではなく、他の医療機関や薬局、行政システムとの情報連携も視野に入れた対応が求められる可能性があります。

クラウド型電子カルテを選ぶ際も、現在の機能だけでなく、標準仕様や医療DX施策への対応状況を確認しておくと安心です。

標準APIやデータ引き継ぎへの対応が重要になる理由

電子カルテの乗り換えや外部連携では、データの出し入れが重要になります。標準APIや標準形式でのデータ出力に対応していれば、将来的なシステム連携や乗り換え時の負担を減らしやすくなります。

逆に、データが特定ベンダーの独自形式に閉じていると、乗り換え時に移行費用が高くなったり、必要なデータを十分に引き継げなかったりする可能性があります。

電子カルテは一度導入すると長期間使うため、今の便利さだけでなく、将来の拡張性やデータ活用のしやすさも確認しましょう。

クラウド型電子カルテの選び方

クラウド型電子カルテの選び方

クラウド型電子カルテは、診療科、費用、サポート、連携機能、運用定着まで含めて比較することが大切です。

診療科やクリニック規模に合う機能を確認する

必要な電子カルテ機能は、診療科やクリニック規模によって異なります。内科では入力スピードや処方セット、小児科では予約や予防接種管理、皮膚科では画像管理、美容医療ではカウンセリングや自由診療の管理が重要になる場合があります。

自院に不要な機能が多すぎると、操作が複雑になり、スタッフが使いにくくなることもあります。導入前には、実際の診療フローに沿ってデモを確認しましょう。

サポート体制・費用・連携機能を比較する

クラウド型電子カルテを選ぶ際は、月額費用だけでなく、サポート範囲、初期設定費、データ移行費、オプション費用も含めて比較しましょう。

また、Web予約、Web問診、オンライン診療、キャッシュレス決済、検査システムなどとの連携も確認が必要です。導入後に追加したい機能がある場合は、将来的な拡張性も見ておくと安心です。

導入後の運用定着まで見据えて選ぶ

電子カルテは、導入して終わりではありません。スタッフが使いこなし、日常業務に定着して初めて効果が出ます。

導入前の研修、マニュアル、問い合わせ窓口、運用開始後のフォロー体制を確認しましょう。スタッフの不安を減らし、現場の意見を反映しながら運用を改善していくことが大切です。

まとめ

クラウド型電子カルテは、初期費用や保守負担を抑えやすく、外部システムとの連携もしやすい選択肢です。Web予約、Web問診、オンライン診療、キャッシュレス決済などと組み合わせれば、受付から診療、会計までの業務効率化につながります。

一方で、医療情報を扱う以上、セキュリティ、通信障害時の対応、データ移行、解約時の取り扱いは必ず確認しましょう。クラウド型だから安心と決めつけず、ベンダーの管理体制と院内の運用ルールをセットで整えることが重要です。

今後は電子カルテ情報共有サービスや標準仕様への対応など、医療DXを見据えた選定も必要になります。自院の診療科や規模に合う機能を見極め、長く使えるクラウド型電子カルテを選びましょう。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属