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クリニックの開業資金はいくら?相場・内訳・資金調達方法を解説

2026.07.12

クリニックの開業資金はいくら?相場・内訳・資金調達方法を解説

クリニックの開業を考えるとき、最初に気になるのが「資金はいくら必要か」という点ではないでしょうか。診療科や立地によって幅があり、自己資金と融資をどう組み合わせるかが成功の分かれ目になります。

本記事では、開業資金の相場と内訳、必要な自己資金の目安、日本政策金融公庫などの調達方法、資金計画を成功させるポイントを解説します。

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クリニックの開業資金の相場

開業資金は診療科や開業形態によって大きく変わります。資金計画の出発点として相場観を持っておくことが重要です。まずは総額の目安と、何によって金額が変動するのかを押さえておきましょう。

開業資金の総額の目安(5,000万〜1億円)

クリニックの開業資金は、一般に5,000万円から1億円程度が目安とされています。多くを占めるのは、物件の取得や内装工事、医療機器の購入といった初期投資です。

テナントを借りて開業する形態が主流ですが、土地と建物を取得する戸建て開業では、土地建物だけで数千万円規模の費用がかかることも珍しくありません。

さらに、開業後しばらくは患者数が安定しないため、当面の人件費や家賃をまかなう運転資金も別途必要です。これらを合算すると、自己資金だけで全額を準備するのは難しく、多くの医師が融資を組み合わせて開業資金を確保しています。

診療科・開業形態による違い

開業資金は、診療科によって必要額が大きく異なります。高額な医療機器を使う眼科や整形外科、内視鏡を備える消化器内科などは設備投資がかさみ、総額が1億円を超えることもあります。

一方、特別な機器が少ない心療内科や小児科などは、比較的抑えやすい傾向です。開業形態の違いも金額を左右します。テナント開業は初期費用を抑えやすく、戸建て開業は土地建物の取得費が加わるぶん高額になりがちです。

医療モール内での開業や、居抜き物件の活用によって費用を圧縮できるケースもあります。自院の診療科と開業スタイルを踏まえ、現実的な総額を見積もることが第一歩です。

開業資金の内訳

開業資金の内訳

開業資金の全体像をつかむには、何にいくらかかるのかを項目ごとに把握することが欠かせません。内訳を理解しておくと、削れる費用と優先すべき投資の判断もしやすくなります。ここでは代表的な費用を三つに分けて見ていきます。

物件取得・内装工事費

開業資金の中で大きな比重を占めるのが、物件取得費と内装工事費です。テナント開業では、保証金や敷金、礼金、前家賃などのまとまった初期費用が発生します。

さらに、診察室や待合室、処置室といった医療空間をつくる内装工事には、坪あたり数十万円規模の費用がかかります。バリアフリー対応や給排水・電気設備の工事、感染対策を踏まえた動線設計など、医療機関ならではの要件も加わります。

立地の良し悪しは集患に直結するため、賃料とのバランスを見ながら慎重に選定することが重要です。

医療機器・什器備品費

診療に欠かせない医療機器も、大きな出費となります。レントゲンや超音波診断装置、内視鏡などの機器は診療科によって必要なものが異なり、合計で数百万円から数千万円に及ぶこともあります。

あわせて、電子カルテやレセコン、予約システムといった院内システムの導入費用も見込んでおく必要があります。待合室の椅子や受付カウンター、診察用ベッドなどの什器備品も忘れてはなりません。

高額な機器はリースを活用すれば初期費用を抑えられるため、購入とリースを使い分ける視点も持っておくとよいでしょう。

運転資金・採用/広報費

見落とされがちですが、開業後の運転資金は資金計画の要です。開業直後は患者数が伸び悩むことが多く、収入が安定するまでの数か月間も、家賃やスタッフの人件費、医薬品の仕入れ費用は発生し続けます。

一般に、運転資金として数か月分の固定費を確保しておくと安心です。加えて、看護師や医療事務などスタッフの採用費、開業を地域に知らせる広報・集患費も必要になります。内覧会の開催やホームページの制作、Web広告などにも一定の予算を割り当てましょう。

開業時に予約やオンライン診療を支えるmarchのようなシステムを整えておけば、開業初期から効率的な集患と受付体制を築けます。

必要な自己資金の目安

必要な自己資金の目安

開業資金のすべてを融資でまかなえるわけではなく、一定の自己資金を準備しておくことが求められます。目安は開業資金総額のおおむね1〜2割で、総額が8,000万円なら800万〜1,600万円程度です。

自己資金は、金融機関に対して計画性や本気度を示す材料にもなり、額が多いほど融資審査で有利に働きます。

なお、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では制度上の自己資金要件は撤廃されていますが、審査では引き続き自己資金の状況が重視されます。自己資金として評価されるのは、計画的に積み立ててきた預貯金や退職金などです。

開業直前に一時的に借り入れて見せかけた資金は、通帳の動きから見抜かれ、評価につながりません。準備期間のうちから、家族の理解を得て計画的に貯蓄を進めておきましょう。また、手元資金をすべて開業時に使い切るのは危険です。

開業後しばらくは収入が不安定なため、当面の生活費や予備の運転資金を残しておく必要があります。融資額を増やせば毎月の返済負担も重くなるため、自己資金と借入のバランスを取りながら、無理のない資金計画を立てることが大切です。

開業資金の調達方法

開業資金の調達方法

自己資金で不足する分は、複数の調達手段を組み合わせて準備するのが一般的です。金利や返済条件は手段ごとに異なるため、特徴を踏まえて使い分けることが大切です。代表的な選択肢を確認しましょう。

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金

開業資金の調達でまず検討したいのが、政府系金融機関である日本政策金融公庫です。創業者向けの「新規開業・スタートアップ支援資金」は、融資限度額が7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、原則として無担保・無保証人で利用できます。

返済期間は設備資金が最長20年、運転資金が最長10年と長く、一定期間は元本の返済を据え置くこともできます。民間金融機関に比べて創業期の融資に積極的で、医療機関も対象です。

固定金利で借りられる点も、長期の返済計画を立てやすい利点といえます。物件が決まったら早めに相談し、面談に向けて事業計画書を整えておきましょう。

民間金融機関・医師信用組合

民間の金融機関からの融資も、有力な調達手段です。メガバンクや地方銀行、信用金庫のほか、医師を対象とした医師信用組合があり、開業医向けの専用ローンを用意しているところもあります。

担保や保証人を求められることが多い一方、公庫より大きな金額を借りられたり、地域での関係づくりにつながったりする利点があります。

実務では、日本政策金融公庫と民間金融機関の両方から借りる「協調融資」によって、必要額を確保するケースも多く見られます。複数の金融機関の条件を比較し、金利や返済期間を踏まえて組み合わせを検討するとよいでしょう。

福祉医療機構(WAM)・リースの活用

独立行政法人福祉医療機構(WAM)の医療貸付事業も、開業資金の調達先のひとつです。医療機関の整備を目的とした融資制度で、長期・固定金利での借入が可能なため、設備資金の調達に向いています。

あわせて活用したいのがリースです。医療機器や什器を購入せずリースで導入すれば、初期費用を抑えながら最新機器を使えます。費用を経費として平準化できる点もメリットです。借入とリースを上手に組み合わせることで、開業時の資金負担を和らげられます。

補助金・助成金の活用

返済不要の補助金・助成金も、活用できれば負担軽減につながります。電子カルテや予約システムなどのIT導入を支援する補助金や、スタッフ雇用に関する助成金、自治体独自の開業支援制度などが代表例です。

ただし、補助金は年度ごとに内容や募集時期が変わり、採択にも条件があります。最新の公募要領を必ず確認し、計画段階から情報を集めておくことが大切です。

資金計画・融資を成功させるポイント

資金計画・融資を成功させるポイント

必要な資金を確実に調達し、開業後も安定した経営を続けるには、準備の質が問われます。融資審査を通過し、無理のない返済を実現するための要点を押さえましょう。

事業計画書・診療圏調査の重要性

融資を成功させる鍵は、説得力のある事業計画書です。金融機関は、貸した資金が確実に返済されるかを重視します。そのため、開業の動機や診療方針だけでなく、収支の見通しや返済計画を、根拠とともに数字で示すことが欠かせません。

その裏づけとなるのが診療圏調査です。開業予定地の人口構成や競合医院の状況、想定される1日あたりの患者数などを調べ、需要を客観的に把握します。診療圏調査の結果を反映した患者数の予測は、事業計画の信頼性を大きく高めます。

医療に詳しい税理士やコンサルタントの支援を受けながら、精度の高い計画を作り込むことが、審査通過への近道です。

開業資金を抑える工夫(リース・設備の優先順位)

開業資金を抑える工夫も、安定経営には欠かせません。まず意識したいのが、設備投資の優先順位づけです。開業当初から最高水準の機器をすべてそろえる必要はなく、診療に不可欠なものから段階的に整えていく考え方が有効です。

高額な医療機器はリースを活用すれば、初期費用を圧縮しながら導入できます。物件も、居抜きや医療モールを選べば内装工事費を抑えられる場合があります。

一方で、集患に直結する立地や、業務効率を左右する院内システムなど、開業後の経営を支える部分への投資は惜しむべきではありません。削るところと投じるところを見極め、メリハリのある資金配分を心がけましょう。

まとめ

クリニックの開業資金は、診療科や立地によって5,000万〜1億円程度が目安で、内訳は物件・内装・医療機器・運転資金などに分かれます。

自己資金は総額の1〜2割を準備し、不足分は日本政策金融公庫や民間金融機関、福祉医療機構、リースなどを組み合わせて調達するのが一般的です。

融資を受けるには、精度の高い事業計画書や診療圏調査が重要になります。開業後の集患や業務効率も見据えながら、無理のない設備投資計画を立てましょう。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属