オンライン診療の処方箋とは、自宅などで受けたオンライン診療において医師が発行する処方箋と、患者が薬を受け取るまでの一連の仕組みを指します。
対面診療とは異なり、処方箋を患者に直接手渡せないため、薬局への情報伝達や薬の受け取り方には独自のルールがあります。
本記事では、処方箋の発行から薬の受け取りまでの流れ、院内処方と院外処方の違い、電子処方箋の仕組みと導入準備、運用上の注意点を解説します。
最短10秒、かんたんオンライン診療における処方箋の基本

オンライン診療では、処方箋の扱いや薬の受け取り方が対面診療とは異なります。まずは、基本的な仕組みと薬を受け取るまでの流れを確認しましょう。
オンライン診療では処方箋を直接渡せない
オンライン診療では、医師と患者が離れた場所にいるため、対面診療のように処方箋を直接手渡すことができません。そのため、医師が発行した処方箋の情報を、患者が利用する薬局へ届ける手段を確保する必要があります。
一般的には、クリニックが処方箋の情報をFAXやメールで薬局へ先に送り、紙の原本は後から郵送する方法がとられてきました。紙の処方箋には有効期限があり、交付日を含めて4日以内に薬局へ提出しなければなりません。
こうした手間を軽減する仕組みとして、電子処方箋への移行も進められています。
処方箋の発行から薬の受け取りまでの全体の流れ
オンライン診療では、患者がオンラインで診察を受け、医師が処方の必要性を判断します。処方が必要な場合、医師は処方箋を発行し、クリニックはその情報を患者が指定した薬局へ送ります。送付方法は、FAXやメール、電子処方箋などです。
薬局は受け取った情報をもとに薬を準備し、必要に応じて薬剤師がオンラインで服薬指導を行います。その後、患者は薬局に来局して薬を受け取るか、自宅への配送を選びます。
利用する薬局によって、処方箋情報の伝達方法や薬の受け取り方は変わります。クリニック側は、患者が利用する薬局を事前に確認し、必要な案内を丁寧に行うことが大切です。
処方箋情報を薬局へ伝える3つの方法

オンライン診療で発行した処方箋の情報を薬局へ届ける方法は、主に3つあります。それぞれの手順と、クリニックが押さえておくべき注意点を確認していきましょう。
FAX送信と原本郵送を組み合わせる方法
最も広く使われてきたのが、FAX送信と原本郵送を組み合わせる方法です。
クリニックが患者の指定した薬局へ処方箋の情報をFAXで送ると、薬局はその内容をもとに調剤の準備を進められます。患者にとっては、来局時に薬を受け取りやすくなる点がメリットです。
ただし、FAXの情報だけでは正式な処方箋とはならないため、紙の原本は後日必ず郵送します。原本は交付日を含めて4日以内に送り、備考欄にはオンライン診療である旨を記載しておきましょう。
メールで処方箋情報を送る方法
FAXに代えて、処方箋の情報をメールで薬局へ送る方法もあります。
処方箋をスキャンした画像やPDFをメールに添付して送信すれば、薬局は調剤の事前準備を進められます。FAX機を介さずに送れるため、ペーパーレス化を進めるクリニックにとっては扱いやすい手段です。
ただし、この場合も後から紙の原本を薬局へ郵送する必要があります。また、処方箋には患者の個人情報が含まれるため、誤送信や情報漏えいを防ぐ対策も欠かせません。
電子処方箋で発行・共有する方法
3つ目が、電子処方箋として発行し、オンラインで共有する方法です。
電子処方箋に対応していれば、クリニックは処方情報を電子処方箋管理サービスに登録し、患者には引換番号を伝えます。患者が薬局でその番号を提示すると、薬局はサービス上で処方情報を確認し、調剤を行います。
この仕組みの大きな利点は、紙の原本を郵送する手間がなくなることです。FAXやメールのように、後から原本を送る必要がなく、クリニックの事務負担を軽減できます。
さらに、複数の医療機関や薬局をまたいだ重複投薬や飲み合わせのチェックにもつながります。患者の安全性を高めるうえでも、重要な仕組みといえるでしょう。
院内処方と院外処方の違い

処方箋の扱いは、クリニックが院内処方と院外処方のどちらを採用しているかで変わります。それぞれの流れと、オンライン診療における対応のポイントを見ていきましょう。
院外処方の流れとクリニック側の対応
院外処方とは、クリニックが処方箋を発行し、患者が外部の調剤薬局で薬を受け取る方式です。現在、多くの医療機関で採用されている方法です。
オンライン診療の場合、クリニックは処方箋の情報をFAXやメール、電子処方箋などで薬局へ伝えます。その後、患者は薬局で薬を受け取るか、配送によって自宅で受け取ります。
クリニック側は、患者がどの薬局を利用するのかを事前に確認し、その薬局へ確実に情報を届けることが基本です。薬局によってはオンラインで服薬指導を行っている場合もあり、患者が来局せずに薬を受け取れるケースもあります。
薬の管理や在庫を薬局が担うため、クリニックは診療に集中しやすくなります。一方で、患者への案内や薬局との連携は丁寧に行う必要があります。
院内処方の流れとメリット・負担
院内処方とは、クリニック自身が薬を用意し、患者に直接渡す方式です。
対面診療であれば、患者は会計時にその場で薬を受け取れます。しかしオンライン診療では患者が来院しないため、薬をどのように届けるかが課題になります。
一般的には、クリニックから患者の自宅へ薬を配送する形がとられます。そのため、配送方法や費用の扱いをあらかじめ決めておくことが重要です。
院内処方のメリットは、患者が薬局へ行く手間を省けることです。診療から投薬までをクリニック内で一括して管理しやすい点も利点といえます。
一方で、薬の在庫管理や発送業務といった負担が生じます。オンライン診療で院内処方を行う場合は、自院の体制に合うかを事前に見極めることが大切です。
電子処方箋の仕組みと導入準備
原本郵送の手間をなくし、重複投薬チェックも可能にする電子処方箋は、オンライン診療と相性のよい仕組みです。その中身と、導入にあたって必要な準備を整理します。
電子処方箋とは(電子処方箋管理サービス・重複投薬チェック)
電子処方箋とは、これまで紙でやり取りしてきた処方箋を電子化し、医療機関と薬局の間でオンライン共有する仕組みです。
電子処方箋を支えるのが、、国が運営する電子処方箋管理サービスです。クリニックが発行した処方情報はこのサービスに登録され、患者が薬局で引換番号やマイナンバーカードを提示すると、薬局が処方情報を確認して調剤します。
紙の原本を郵送する必要がないため、オンライン診療では特に事務負担の軽減につながります。
さらに、複数の医療機関や薬局で処方された薬の情報を確認しやすくなる点も大きな特徴です。飲み合わせの悪い薬や重複した処方を確認しやすくなり、患者の安全性向上にも役立ちます。
導入に必要な準備(オンライン資格確認・電子署名・利用申請)
電子処方箋を導入するには、いくつかの準備が必要です。
まず前提となるのが、オンライン資格確認の仕組みが整っていることです。電子処方箋管理サービスはこの基盤の上で運用されるため、未導入の場合は先に環境を整える必要があります。
次に、医師が処方箋に電子署名を行うための仕組みも必要です。医師資格を電子的に証明するHPKIカードなどを用いて署名し、紙の押印に代わる正式な処方箋として扱えるようにします。
あわせて、電子カルテやレセコンの改修、システムベンダーとの調整も求められます。環境を整えたうえで利用申請を行い、運用を開始する流れです。
補助金などの支援が用意される場合もあるため、最新の制度を確認しながら計画的に進めましょう。
オンライン診療で処方する際の注意点

オンライン診療での処方には、対面診療とは異なるルールや制限があります。安全な医療を提供するために、クリニックが押さえておくべき注意点を確認しておきましょう。
処方日数や処方できない薬などの制限
オンライン診療での処方には、安全性を確保するための制限が設けられています。
特に初診からオンライン診療を行う場合は、処方日数が原則として制限されるほか、処方できない薬の種類も定められています。たとえば、麻薬や向精神薬は、初診のオンライン診療では処方できません。
これは、患者の状態を画面越しでしか確認できないオンライン診療の特性を踏まえ、リスクの高い薬の不適切な処方を防ぐためです。
また、患者の状態によっては対面診療への切り替えが必要になる場合もあります。これらのルールは改定により見直されることもあるため、厚生労働省の最新の指針を確認し、ルールに沿って処方することが欠かせません。
連携薬局との体制づくりと診療録への記載
オンライン診療をスムーズに運用するには、薬局との連携体制を整えておくことが重要です。
処方箋の情報をやり取りする薬局とは、伝達方法、対応時間、服薬指導の進め方などをあらかじめすり合わせておくと、行き違いを防ぎやすくなります。日ごろから連携できる薬局を確保しておけば、患者を案内する際にも安心です。
あわせて、診療録への記載も忘れてはなりません。オンライン診療を行った事実や処方の内容に加え、処方箋の情報をどの薬局へ送ったのかを記録に残しておく必要があります。
記録を適切に残すことは、診療の安全性を担保するうえでも、後から経緯を確認するうえでも欠かせない対応です。
オンライン診療と処方をスムーズにする体制づくり
オンライン診療と処方を円滑に進めるには、診療の前後を含めた一連の流れを、無理なくつながる体制として設計しておくことが大切です。
患者は、予約を取り、事前の問診に回答し、オンラインで診察を受け、処方箋の案内を確認し、薬局とやり取りを行います。最後に決済を済ませるまで、複数のステップを踏むことになります。
これらの工程がバラバラのツールに分かれていると、患者は何度も操作を切り替えなければなりません。クリニック側も、予約管理、会計、薬局への連絡を別々に処理することになり、業務負担が増えやすくなります。
そこで、予約から問診、オンライン診療、決済までを一つのプラットフォームでつなぎ、処方や薬局連携の案内も同じ導線で行えるようにしておくと、患者にもスタッフにもわかりやすい運用になるでしょう。
予約・問診・オンライン診療・決済をLINEやWebで一体化できるmarchのような仕組みを活用すれば、患者の操作は一本の流れにまとまります。独自のルールがあるオンライン診療だからこそ、診療全体の流れを整えておくことが、安全でスムーズな運用につながります。
まとめ
オンライン診療の処方箋は、対面診療とは異なり、薬局への情報伝達と薬の受け取り方に複数の選択肢があります。
院内処方と院外処方の違い、紙の処方箋・FAX・メール・電子処方箋といった伝達手段を理解し、連携薬局との体制を整えることが、安全でスムーズな運用につながります。
電子処方箋やオンライン資格確認と組み合わせれば、業務効率と患者満足度の向上も期待できます。予約から問診、オンライン診療、決済までを支えるmarchの活用も、オンライン診療の運用を整える一つの方法です。
最短10秒、かんたんこの記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属


