歯科医院の集患では、新しい患者を増やすことに目が向きがちです。しかし、歯科は定期管理で通い続ける患者が多く、リコールが途切れると患者数はじわじわ減っていきます。
新患の獲得、リコールの維持、自費診療への相談の動線は、それぞれ打ち手も測り方も異なります。3つを分けて設計すれば、限られた人手でも成果につなげやすくなるでしょう。
本記事では、歯科の患者数の現状と新患の増やし方、リコール率、自費への転換、広告規制、効果の測り方と事例を解説します。
最短10秒、かんたん歯科医院の集患が難しくなっている理由

歯科診療所は6万施設を超え、地域によっては患者の確保が課題になっています。一方で、過去1年間に歯科検診を受けた人は6割を超えており、その機会を定期管理につなげる仕組みが重要です。
施設数と1施設あたりの患者数
厚生労働省の医療施設調査では、歯科診療所は2024年10月時点で66,378施設あり、前年より440施設減りました。2026年6月末の概数では65,035施設で、減少が続いています。「医療費の動向」によると、2025年度の歯科診療所1施設あたりの受診延日数は約6,100日(0.61万日)です。
年286日(週5.5日)診療すると仮定すれば、1日あたり約21人になります。これは保険診療の受診延日数を仮定の診療日数で割った参考値です。全額自費の来院は含まれず、個別の医院の目標人数を示すものでもありません。
治療から予防への受診行動の変化
2024年の歯科疾患実態調査では、過去1年間に歯科検診を受けた人は63.8%でした。受けた機会では、かかりつけの歯科医院での定期的な検診と答えた人が55.7%で最多です。年齢別では20〜24歳の男性が36.4%と最も低く、若い世代の定期検診には伸びしろがあります。
1年に一度の検診と、継続して通う定期管理は同じではありません。検診の機会を定期管理につなげられるかが、患者数を左右するでしょう。新患の獲得と同じくらい、定期管理の患者を途切れさせない仕組みが大切です。
Web・MEO・口コミで新患を増やす方法

新患を増やすには、近隣で歯科医院を探す人に見つけてもらい、比べたうえで選んでもらう必要があります。
見つけてもらう(ホームページ・MEO)
Googleビジネスプロフィールに、診療時間と休診日、予約方法、院内の写真を正しく載せておきましょう。ホームページには、診療内容と歯科医師の経歴、アクセス、ウェブ予約の入口をまとめましょう。予約の入口は、スマートフォンで開いてすぐ見つかる位置に置くのが基本です。
土日診療や小児の受け入れなど、自院の特徴を具体的に書くと、比較している人に選ばれやすくなります。むし歯や歯周病、小児、矯正など、治療ごとにページを分けて説明するのも有効です。MEO対策の詳しい進め方は、下記の記事で確認できます。
▶︎関連記事:クリニックのMEO対策とは?上位表示の仕組みと集患のコツを解説
口コミと紹介
口コミは、来院した患者の満足度から生まれます。説明のわかりやすさや待ち時間の短さなど、日々の診療の質が次の新患につながるのです。寄せられた口コミには、好意的なものにも厳しいものにも丁寧に返信します。
口コミの投稿に謝礼や物品を渡すことは避けましょう。口コミを頼むときは、感想を率直に書いてほしいと伝えるだけにとどめます。謝礼付きの依頼は、Googleの口コミに関するポリシーにも反する行為です。医院が費用を負担して誘引した口コミは、医療広告として規制される場合もあります。
リコール率を上げる連絡手段とタイミング

リコールは、定期管理が必要な患者に次の来院を促す仕組みです。次回予約の提案のように、追加の費用をかけずに始められる施策が多くあります。
リコール率の定義と計算
本記事では、リコール率を運用上の指標として次のように定義します。分母を「その月に定期検診を予定していた患者」、分子を「その月の末日までに定期管理で来院した患者」とし、翌月にずれた来院は別に記録します。たとえば予定していた患者が100人で、月末までに来院したのが60人なら、リコール率は60%です。
治療が終わって定期管理に移る患者には、継続的な管理の必要性を説明しておくことが欠かせません。2026年度改定では、歯科疾患管理料の算定にあたり、この説明を行うことが明記されました。歯周病の安定期治療と重症化予防治療も、「歯周病継続支援治療」に統合されました。定期管理の意味を患者にどう伝えるかは、保険の制度上も重視されています。
次回予約と連絡のタイミング
基本は、治療の最終日やメンテナンスの帰りに次回の予約を提案することです。受付で「次は3か月後の同じ曜日で」と具体的に提案すると、予約が決まりやすくなります。数か月先の予約でも、日時を決めておけば来院の約束になるでしょう。メンテナンスの間隔は、患者の口の状態に合わせて歯科医師が決めるものです。
予約を取らずに帰った患者には、定期検診の時期が近づいたら案内を送ります。前回の口の状態と、次回の検診で確認することを一言添えると、来院する理由が伝わります。はがきや電話、LINEやメールのうち、患者が希望する手段で届けましょう。予約の前日にもリマインドを送り、無断キャンセルを防ぎましょう。毎月、予定時期を過ぎても予約のない患者を抽出し、連絡を希望するか確かめたうえで再度案内します。返信や予約の有無は、患者ごとに記録しておきます。
▶︎関連記事:クリニックの無断キャンセルを減らすには?原因と予約システムを活用した対策を解説
自費への転換をどう設計するか
定期管理の来院時も、患者が歯並びや歯の色について相談できる機会になります。信頼関係ができている患者に、必要な情報を適切な場面で伝える動線を作ります。
定期管理の場で相談を受ける
メンテナンスの際に、歯並びや歯の色、詰め物の状態について患者が気にしていることを聞き取ります。説明の場では、保険診療でできる治療と自費診療の違いを、費用と期間を並べて示します。患者が関心を示したら、その場で決めてもらうのではなく、後日の相談日を設けるのが基本です。
相談は歯科医師だけでなく、歯科衛生士が話を聞く体制にしておくと、患者も気軽に切り出せます。相談の記録は、患者ごとに残しておきましょう。次の来院時に同じ話題を続けられれば、患者は自分の関心を覚えてもらえていると感じます。
説明資料と費用の示し方
自費診療の説明では、治療内容と標準的な費用、治療期間と回数、主なリスクや副作用をそろえて伝えます。費用が一律でない場合は、最低額から最高額までの範囲と、追加でかかりやすい費用も示しましょう。
院内で渡す資料も、ホームページの料金表と内容をそろえておくと、患者が比べやすくなります。支払い方法の選択肢も、相談の段階で案内しておくと安心です。患者が持ち帰って家族と相談できるよう、資料は紙かデータで渡せる形にしておきます。
医療広告ガイドラインで注意する点

歯科医院のホームページやSNSも医療広告の規制対象で、ガイドラインは2026年3月に改正されました。インプラントや矯正、ホワイトニングなど自費診療の情報を載せるときは、特に注意が必要です。
体験談・費用の強調・物品プレゼント
患者の体験談は、治療内容や効果に関するものを広告に使えません。「キャンペーン中」「50%オフ」のように費用を強調する表現は、品位を損ねるものとされています。「無料相談の方全員にプレゼント」のような誘引も、避けるべき例です。
「即日インプラント」のような表現や、根拠のない成功率の表示も虚偽広告にあたるおそれがあります。施設基準の届出を、国から認定を受けたかのように見せる書き方も誇大広告の例とされています。
インプラント・矯正の限定解除とビフォーアフター
自費診療の詳しい情報を載せるには、限定解除の4つの要件を満たす必要があります。
- 患者が自ら求めて見るウェブサイトなどであること
- 問い合わせ先を明示していること
- 治療内容と標準的な費用、治療期間と回数を記載していること
- 主なリスクや副作用を記載していること
治療前後の写真は、これらの説明を写真と同じ場所に添えれば掲載できます。写真だけのものや、クリックしないと説明が出ないもの、複数の症例をまとめて説明するものは認められていません。
集患施策の効果の測り方と導入事例
施策の効果は、新患数とリコール率、自費の相談数の3つを分けて毎月確かめます。新患が少ないなら来院経路と予約の導線から見直します。予定時期を過ぎた患者が多いなら次回予約と再案内、自費の相談が少ないなら希望の聞き取りが先です。
効果を測る指標
| 指標 | 計算の例 |
| 新患数と来院経路 | 初診の問診票で経路を聞いて集計 |
| リコール率 | 月末までに定期管理で来院した人÷その月に定期検診を予定していた患者 |
| 次回予約率 | 次回予約を取って帰った人÷その月の来院患者 |
| 自費の相談数・成約数 | 相談の記録から集計 |
| 自費率 | 自費の売上÷医業収入 |
本記事の自費率は、自費の売上÷医業収入で計算します。患者数で見たい場合は、自費診療を受けた実患者数÷全実患者数として別に集計し、毎月同じ定義で比べることが大切です。相談数は増えたのに成約が伸びない場合は、説明資料や費用の示し方を見直す合図です。リコール率が下がった月は、どの時期の患者で来院が途切れたかを確かめます。
marchの歯科の導入事例
marchを導入したONLINE WHITENINGは、オンラインでホワイトニングの診療を提供するサービスです。予約から決済までを一つの仕組みにまとめました。オンライン診察の件数は、導入前の月5件から導入5か月で月30件ほどまで伸びたと報告されています。
THE DENTAL OFFICE 志木駅前院が使うのは、LINEでの診察予約や満足度アンケート、矯正の経過の写真共有です。既存の患者とLINEで連絡を取れるようになり、ホワイトニングや矯正などの自費率が上がったといいます。定期管理の案内から自費の相談までを一つの窓口で続けたい歯科医院には、LINEで予約から配信までまかなえるmarchをおすすめします。
まとめ
歯科医院の集患は、新患の獲得とリコールの維持、自費への転換の3つに分けて設計すると、打ち手と測り方がはっきりします。2024年の歯科疾患実態調査で、過去1年間に歯科検診を受けた人は63.8%でした。
リコールは次回予約と時期に合わせた案内で守り、自費は定期管理の場で相談を受けて丁寧に説明します。広告規制を守りながら、リコール率や自費の相談数を毎月確かめましょう。
リコールの案内から自費の相談までをLINEでつなぎたい歯科医院には、marchが向いています。
最短10秒、かんたんこの記事の監修者
監修者尾崎 功治
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。
日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属

