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オンライン診療の導入手順とは?工程表・届出・運用設計を解説

2026.10.26

オンライン診療の導入手順とは?工程表・届出・運用設計を解説

オンライン診療を始めると決めても、研修と届出、システム選定や院内の運用づくりなど、やることは多岐にわたります。順番を誤ると、システムを入れたのに算定できない、予約は入ったのに受付が回らないといった手戻りが起きがちです。

2026年4月からは医療法上の届出も加わり、導入の手続きは以前より一段増えました。何をどの順で進めるかを先に決めておけば、準備の抜けを防げます。

本記事では、導入の流れと工程表、研修と届出の順序、システムの選び方、運用設計、導入後につまずきやすい点を解説します。

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オンライン診療を導入するまでの全体の流れ

オンライン診療を導入するまでの全体の流れ

オンライン診療の導入は、「何のために、誰に、いつ行うか」を決めることから始まります。システム選びは、その後で十分に間に合います。情報通信機器を用いた診療の施設基準を届け出た医療機関は、2025年4月時点で13,357と、2022年4月の約3.6倍に増えました。

導入までの5つの段階

厚生労働省は、医療機関向けに導入までの流れを5つの段階で示しています。

  • 事前検討:課題と患者のニーズ、対象の範囲と患者数、時間帯と予約枠
  • 体制の整備:院内の合意形成と、担当する人の確保・育成
  • 導入の準備:予算の確保とシステムの選定
  • 実施環境の構築:パソコンやカメラなどの機器の用意
  • 実施手順の確認:届出、患者への説明資料、業務の手順

同じページには、医療機関向けの手引書や、指針を守っているかを確かめるチェックリスト、患者への説明内容のチェックリストも掲載されています。導入を決めたら、まずこれらに目を通しておくと全体像がつかめます。

最初に決める3つのこと

事前検討で決めるのは、対象にする患者と疾患、実施する時間帯と予約枠、保険診療か自由診療かの3つです。慢性疾患の再診を中心にするのか、自由診療の相談を受けるのかで、必要な届出も運用も変わってきます。自由診療だけなら施設基準の届出は不要でも、医療法上の届出と指針の遵守は保険診療と同じく欠かせません。

厚生労働省の資料では、他院の導入事例を調べることも事前検討の項目に挙げられています。同じ診療科の事例を見ておけば、自院に合う運用を具体的に描けるはずです。

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研修・届出・システム選定の工程表

導入の作業は、順番に進めるものと並行して進められるものがあります。次の表は、保険診療で始める場合の標準的な流れです。

順序工程担当の例期限・完了の目安
1対象患者・時間帯・保険か自費かを決める院長自院で決める
2医師がオンライン診療研修を受講する医師講義は約2時間半、修了証の取得まで
3システムを比較して選定・契約する事務長稼働までの日数を事業者に確認
4予約・受付・決済・処方・対面への切り替えを決める事務長・受付試験運用の前まで
5ウェブサイトへの掲示と患者説明資料を整える事務長施設基準の届出の前まで
6都道府県等に医療法上の変更届を出す事務長変更から10日以内(起算点は管轄窓口で確認)
7地方厚生局に施設基準を届け出る事務長月末までの受理で翌月1日から算定
8試験運用を経て本格的に開始する全員予約数を絞って始める

日数が決まっている工程と見積もる工程

制度で期限や時期が決まっているのは、医療法上の届出の期限と、施設基準の算定開始の時期くらいです。研修は講義の視聴に約2時間半かかり、修了証の取得までを1つの工程として見込みます。システムの導入期間は事業者によって異なるため、見積もりの段階で、契約から稼働までの日数と初期設定の支援内容を確認しましょう。

施設基準の届出は、月末までに受理されれば翌月1日から算定できます。開始したい月から逆算して、届出の準備を前の月に終えておくのが基本です。届出の様式や提出方法は、管轄の地方厚生局のページで確認しましょう。

並行して進められる作業

研修の受講とシステムの比較は、同時に進めて構いません。研修は医師が空き時間に受講でき、その間に事務長がシステムの資料請求やデモの手配を進められます。運用の設計は選ぶシステムの機能によって変わるため、たとえば候補を2〜3社に絞った段階で始めると、手戻りを減らせます。

患者への説明資料や同意書の雛形づくりも、システムの選定と並行して進めましょう。厚生労働省の患者向け説明内容のチェックリストを下敷きにすると、説明の漏れを防げます。

研修と届出を進める順序

研修と届出を進める順序

研修は、オンライン診療を行う医師が必ず受けなければならないものです。届出は、医療法上の届出と診療報酬上の施設基準の届出の2つがあります。

オンライン診療研修の受け方

研修は厚生労働省が指定するもので、インターネット上で受講します。料金はかからず、講義は5科目で合計約2時間半です。

申し込みには医籍登録番号と登録日が必要で、医師等資格確認検索に掲載されていることが前提です。修了証は研修サイトからダウンロードでき、施設基準の届出では修了した医師の修了証登録番号を記入します。修了を確認できる書類は、院内で保管しておきます。

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2つの届出と施設基準のウェブ掲示

2026年4月から、勤務する医師がオンライン診療を行う場合は、その旨を都道府県知事等に届け出ることになりました。すでに開設している医療機関が新たに始める場合は、変更から10日以内の届出です。2026年4月1日の時点ですでに実施していた医療機関は、2027年3月31日まで届出が猶予されています。

保険で算定するには、地方厚生局への施設基準の届出も必要です。施設基準では、初診で向精神薬を処方しない旨と、指針の遵守を確かめるチェックリストをウェブサイトに掲示することが求められます。医療広告ガイドラインを守ることも要件の一つです。

▶︎関連記事:オンライン診療の施設基準とは?届出の種類・様式・期限を解説

オンライン診療システムの選び方と比較軸

オンライン診療システムの選び方と比較軸

システムは、診察の画面だけでなく、予約から決済、処方までの流れを一つにできるかで比べます。

比較の軸

主な比較の軸は次の4つです。

  • 予約・問診・決済・処方箋の送付との連携
  • 通信の安定性
  • セキュリティ
  • 初期費用と月額費用

医療情報を扱うため、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿っているかも確認します。

厚生労働省の実態調査では、オンライン診療システムの初期費用は中央値27.5万円、月額の維持費用は中央値1万円でした。費用は事業者や機能で大きく変わるため、複数社の見積もりを同じ条件で比べましょう。

▶︎関連記事:オンライン診療システム比較13選|費用相場・選び方を解説

汎用のビデオ通話ツールとの違い

一般的なビデオ通話ツールでも診察はできますが、予約や決済、本人確認の記録は別に管理することになります。患者側にアプリのインストールや会員登録が必要かどうかも、受診のしやすさを左右する点です。障害時の対応やセキュリティの責任の範囲も、医療向けのシステムと異なる場合があるため、利用規約の確認が欠かせません。

予約枠・受付フロー・決済と配送の運用設計

運用設計は、導入後に現場が回るかどうかを左右します。予約の受け方から薬の届け方までを、事前に一本の流れとして決めておきましょう。決めた流れは手順書にまとめ、受付と事務のスタッフ全員で共有します。

予約枠と受付の流れ

総務省の参考書には、オンライン診療の予約枠を外来の時間外に設け、1回あたり5〜10分程度とする例が載っています。対面の外来と同じ時間帯に入れるなら、呼び出しが遅れたときの待ち方も決めておくべきでしょう。

受付では、保険資格の確認と本人確認を分けて手順を決めます。保険資格は、オンライン資格確認の居宅同意取得型などで確認できるかをシステムの選定時に確かめ、確認できない場合の対応も決めておきます。予約時刻に患者がつながらなかったときの連絡方法も必要です。予約の前日にリマインドを送る流れも、ここで組み込んでおきます。高齢の患者には、初回だけ電話で接続の手順を案内するなどの支援も考えられます。

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決済と処方・配送

診察料の受け取り方には、クレジットカードなどのオンライン決済のほか、銀行振込や次回来院時の支払いがあります。決済エラーのときに誰が連絡し、いつまでに回収するかも決めておきましょう。

院外処方なら、患者の希望する薬局を確認し、対応できるかを確かめたうえで、紙か電子かに応じて処方箋を受け渡します。服薬指導や薬の受け取り方は、薬局の案内に沿って患者に伝えましょう。院内処方なら、自院から薬を配送します。

診察中にオンラインでの継続が難しいと医師が判断した場合や、通信が切れた場合の対応も欠かせません。自院の対面の受診枠、他院を案内するときの連携先、通信が切れたときの連絡先を、開始前に決めておきます。システム利用料を患者から徴収する場合は、院内掲示と原則ウェブサイトへの掲載、文書による同意が必要です。

▶︎関連記事:オンライン診療の処方箋とは?送り方・院外処方・電子処方箋を解説

導入後につまずきやすい点

導入後につまずきやすい点

導入後に多いのは、事務作業の増加と、予約どおりに診療が進まないことです。厚生労働省の基本方針も、診察料の回収の滞りや、予約時刻に患者がつながらず次の患者に影響することを課題に挙げています。

事務作業と未収

総務省の参考書の事例では、患者へのアプリの説明や薬局への確認、処方箋の郵送など、事務作業が増えたという声が載っています。導入の前に、受付と事務の担当を決め、1件あたりの作業を書き出しておくのが有効です。厚生労働省の基本方針でも、事務作業の煩雑さや、高齢者へのIT支援の必要性、通信環境の地域差が課題として整理されています。

未収を防ぐには、予約の時点でカードを登録してもらうなど、診察の前に決済の準備を済ませる流れが有効です。例として、開始から1〜2か月は予約数を絞った試験運用とし、つまずいた点を手順書に反映してから枠を広げると安心です。

報告書と継続的な見直し

施設基準を届け出た医療機関は、実績がある場合、毎年8月に情報通信機器を用いた診療に係る報告書を地方厚生局に提出します。算定の件数と患者の傾向は、この報告の準備も兼ねて定期的に集計しておきましょう。

予約からオンライン診療、決済、配送までを別々のシステムで運用すると、予約情報と入金状況の照合などの作業が増えます。marchは、LINEを基盤に予約から配送までを一つの流れでまかなえる仕組みです。LINEを使っている患者なら、診療用のアプリを追加せずに受診できます。

まとめ

オンライン診療の導入は、対象と時間帯を決めてから研修とシステム選定、運用設計、届出の順に進めると手戻りが少なくなります。日数が決まっているのは研修の講義と届出の期限くらいで、ほかは自院とシステム事業者で見積もる必要があります。

導入後は、事務作業の増加や未収、つながらない患者への対応でつまずきがちです。予約から決済までの流れを事前に決め、毎年8月の報告も見据えて実績を集計しておきましょう。

LINEを使う患者に専用アプリなしで受診してもらいたいクリニックには、予約から配送までをLINEでつなぐmarchをおすすめします。

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この記事の監修者

監修者尾崎 功治

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、順天堂大学付属順天堂医院に勤務。国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。

日本美容皮膚科学会・国際臨床医学会所属